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最終話

 ヒロアキの家は直ぐに分かった。


 決して大きくはないが、綺麗な家・・そう例えるなら本当に綺麗な家だ。


 干したての洗濯物、小さい庭に咲いている花たち・・どれもこれも私が手に入れるべきだったの

に、今彼の横にいるのは別な女・・・


 そうだ・・・きっとヒロアキは寂しかったんだ。私がアイドルになりつり合わないと考えて泣く泣く今の女と一緒になった。

 だったら幼馴染で運命の私が助けてあげなければ・・


 その時、玄関が開いてヒロアキが出てきた。


 ああヒロアキ・・


 昔は私と変わらなかった背は格段に大きくなっている。 スーツ姿も違和感がなくとても凛々しい。


 私はとっさに隠れた。すると、忌々しい女と、女が抱いている物体に話しかけたヒロアキがこっちに歩いてくる。


 私は動揺した。しかし、ここで私の姿を見せればヒロアキは感動するだろう。長年連絡が取れなかった最愛の人が自分を訪ねてきたと・・・


 そう考えている間にも、一歩一歩ヒロアキが近づいてくる。そして、私の前に差し掛かり、ヒロアキが私に目を向けた・・・

 

 が・・何事もなかったように歩いていってしまった。


 私は激しく動揺した。どうして話しかけてくれないの・・なぜ前みたいに笑顔を向けてくれないの・・


 動揺する私は、ふと喫茶店のガラスに映る自分を見た。



 誰だこれは・・髪はボサボサで肌はガサガサ。 おまけに皴も凄く痩せこけた女・・・


 そうか・・私はもう今までの私ではないのか・・


 彼の気持ちを理解せず、彼のためにと自分の夢を進め、それに縋った自分は・・



 気がつくと私たちが通っていた学校、彼との思い出の場所の屋上に来ていた。


 今でも目に浮かぶ、彼が私に言った告白の言葉・・彼の仕草・・その全てが鮮明に覚えている。



 自分は何処で間違えたのだろう・・自分だけが悪かったのか・・・それは分からない。


 しかし、今の私では彼は振り向いてくれない。だけど忘れて欲しくない・・


 その為に・・私が選んだ道は自分の人生を終わらせること・・彼との思い出の場所で終わらせれば彼は一生、私のことを忘れないだろう。


 フェンスを乗り越え、ためらうことなく一歩を踏み出す。


 もの凄い速度で地面が迫ってくるが、以外にも冷静な自分がいる。


 そして、地面に落ちる瞬間・・・



          ヒロアキ


 

 



 ここで臨時ニュースです。 一時アイドルとして騒がれた・・・

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