表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

サキ視点 4話

毎日クタクタになるまで働いている。


 もう何日・・いいえ何十日彼の声を聞いてないのだろう。


 メールを送っても「送信先を確認してください・・」と送ることさえ出来ない。


 意を決してかつての友人に連絡したところ


      「母親が亡くなって、引っ越した。」


 ということであった。


  彼の家が母子家庭ということは知っている。そんなに裕福ではないことも・・


なぜ・・彼が一番辛いときに側にいることが出来なかったのだろう・・


 私は何か間違えたのだろうか・・きっとそうであろう。


 彼とは付き合うことができた。恋人になったのだ。それ以上望むものなどない。


  しかし、私は彼との絆を信じられず・・より強くしようと芸能界に入った。

 

   その結果彼を失ったのだ。


  皮肉としかいいようがない。


  それからは何も手につかなくなった。芝居も歌も・・そんな私の態度に、最初は事務所も寛大だった。


  しかし、私に復帰の目処がたたないと知るや自宅待機を命ぜられた。解雇にしなかったのは会社の体面だろう。


  そこから2年ほどは彼を探し回った。両親も私が芸能界を辞めた理由が分かったのか、彼を探すことには大反対で自由にお金を使えない私は、自分の足で探し回るしかなかった。


  毎日探した。雨の日も雪の日も・・・しかし、そんな簡単に見つかるはずもなく、時間だけが過ぎていった。


  ある日両親から

        「お前の思いは分かった。一つ条件がある」


  両親からの提案は一つだけ「芸能界の復帰すること」であった。


それさえすれば、ヒロアキの捜索は探偵を雇って探してくれる。


私はその条件を飲んだ。


約2年ぶりの復帰。 


そんな私を温かく迎えるほど甘い世界ではない。


新しい力の台頭。 


登龍門といえる役をこなし、その後不可解な行動から芸能界を去って行った私は


         「プッツン女優」

  と言われた。


仕事でのバラエティーしかり、たまにでるドラマでも濡れ場役・・・


しかし、歯を食いしばって頑張った。 両親との約束もそうだったが


     私がメディアに出ることでヒロアキが見てくれるかもしれない。


そう信じて・・


しかし、私の精神は限界を迎えていた。仕事では愛想笑いを浮かべ、頭の緩いキャラを演じ、お笑い芸人にいじられ・・ドラマではヒロアキ以外の人間と体を密着させ、時には口付けを交わし、テレビに出るために「枕営業」も行った。


  下品なスポンサーに体中を弄られて・・・


そんな中、私がクスリに手を出したのは至極当然だったと思う。


  そのクスリの成果は素晴らしかった。 そのクスリを飲めば、ヒロアキに会えるのだ。


実際は腹の出た、変態スポンサー等だったが、私の目にはヒロアキが映る。


その時間だけ、偽りの相手の情交ではあったが至福の時間でもあった。


1日1回が気がつけば1時間に1回になり、収録中でも服用した。


どんどん言動がおかしくなっていった。


 そしてある日、警察がきた。しかし、私にはヒロアキに見えたのである。私はその刑事に抱きつき涙ながらに「やっと帰って来てくれたんだね」と叫んだようだ・・


裁判は1日で終わった。常習とはいえ、単純な所持と服用だけである。


執行猶予がついたが、そのまま入院となった。


そして退院の日、迎えに来てくれたのは母親だけであった。


私の姿を見た母が「これからはゆっくりしましょう」と泣きながら言ってくれたのは嬉しかった。


家ではゆっくり過ごすことが出来た。 


  噂なんか熱しやすく冷めやすい。芸能人のクスリなんてたいして珍しくもなく、平穏に過ごすことができた。


家でゆっくり考える。


    ・・ヒロアキは何をしているのか・・




退院して1ヶ月がたったある日、父親から1冊のファイルを渡された。


「お前も落ちついてきたから、これを見せても大丈夫だろう」


そこにはヒロアキの近況が書かれていた。


写真のヒロアキは、私が知っているヒロアキよりも大人っぽくなっていた。


 報告書によると、高校を中退したヒロアキは住み込みで働きながら夜学を出て、現在は弁護士になっているとの事であった。


頑張り屋のヒロアキらしい・・・私は純粋にそう思ったが、次の一文をみて凍りついた


 **年に***と結婚し、現在は一児の父である。


 それに気づいたのか


「彼も結婚している。直ぐにとは言えないが、お前も気持ちを整理して・・・・」


父が何か言っているが聞こえない。


 カレガケッコンシテイル・・ワタシイガイトノノコヲモウケテイル・・


それからは何も手につかない日々が続いた。  両親も気持ちを察してくれたのか何も言わない。


 ある日、決意を決めた私は、ヒロアキが住んでいる家に向かった。


 カバンの中に包丁を忍ばせて・・・・・

ころころ30でございます。・ある終わり・投稿させていただきました。

遅くなってしまい、もし「この作品の続きを待っていた方」が居ましたら、謝罪させていただきます。 (この後書きも正座しながら書いています。)


言い訳ですが、仕事のほうで色々ありPCに向かう暇がありませんでした。

これからは、少しづづですが更新していきたいと思います(何ヶ月も空けるということは絶対にしません。)


作品についてですが、長くなりましたので2回に分けます。(次で終わりです。)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ