サキ視点 3話
それからはあっという間に過ぎていった・・・
仕事の為に学校を変えた。レッスンがあるから・・仕事があるから・・
という理由でヒロアキと会う機会、ううん機会だけではない。連絡をとる時間もなくなっていった。
この世界に入って驚いた・・・いや、改めて認識したのが
チャンスは平等ではない
ということだった。 才能に溢れていてもチャンスを掴まなければいつか消えてしまう。
実際に消えて行く人々を見ながらそう思った。
チャンスを掴むため・・ううん、チャンスに巡り合うため・・必死に頑張った。
辛い時間ばかりだった。 ヒロアキに会いたい・・声を聞きたい・・
でも今聞いてしまえば・・会ってしまえば・・
自分の決心なんて砕けてしまうだろう・・そう考えて必死に頑張った。
そんなある日・・
やっと来た。チャンスだ。
あるドラマの主役。その時間帯の主役、ヒロインを演じればほぼ将来は約束されたようなものだった。
ここが踏ん張り時、ここを乗り越えれば今までの苦労が報われる。私とヒロアキは永遠に結ばれる・・
そう信じていた。
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しかし、過密に組み込まれたスケジュール、そして一つも穴を空けられないとのプレッシャー・・
それに打ち勝つためにも、1回だけ・・1回だけ電話をしたい、声だけでも聞きたい、愛しい人の声だけでも・・
それが聞ければ耐えられる・・そう考えて、レッスンの騒がしい現場からヒロアキに電話した。
「ヒロアキ。やっとチャンスが巡ってきたよ」と。
周囲が騒がしく、ヒロアキが何を言っているかは分からなかった。でも心は通じている。それだけは分かっていた。
その後は無事に役を演じきり、ドラマは大成功だった。 その成功の結果として、連日のインタビューに歌手デビューと目まぐるしく過ぎていった。
既に自分の愛しい人がいないことに気づきもしないで・・・
遅くなりました。本当であれば新しい作品を書いている予定だったのに・・
もし、この作品を待っていた方がいたとしましたらお詫び申し上げます。
遅くなって申し訳ありませんでした><(次で終わりです)