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ヒロアキ視点 2

男の人は『コウイチ』さんと言い母さんのお兄さんだった。


実は『父さん』だと思っていた僕は少し拍子抜けしたが、そこからの内容はきっと聞かなければよかっただろう。


コウイチさんの話によると、コウイチさんと母さんのお父さんは、日本有数のお金持ちということだった。


特に母さんは、お嬢様として育てられ何不自由なく過ごし、やがては結婚して幸せな家庭を築く、そんな幸せな生活が約束されていた。


しかしそれが壊れたのが母さんが高校1年の時・・学校帰りに友達と遊びに行き、そのまま帰らなかった。


母さんは「お嬢様」ということを鼻にかけず、友達と遊ぶときは迎えの車とか付き添いは一切断っていたらしい。それが裏目に出た。


母さんが発見されたのは、お嬢様にはにつかない廃工場だった。それだけで母さんの身に何が起きたのかは分かった。


それからの母さんは、対人恐怖症となり学校も休校した。


その日のうちに病院に連れて行き処置をしたので、それ以上のことはないと考え、対人恐怖症のこともあったので定期健診等はしていなかったらしい。


母さんの妊娠に気づいた時は、もう降ろせない段階であった。当然、母さんのお父さん、僕にとっての祖父は烈火のごとく怒り出した。


そんな何処の馬の骨ともいえない子供を、「自分の娘が出産しなければならないとは」と・・・


秘密裏に決まったことでは、僕は出産後直ぐに殺されるか、施設に出されることが決まっていたらしい。


しかし、出産の日、僕の産声を聞いた母さんは 僕を抱きしめ誰にも渡さなかったらしい。


当然に祖父は取り上げようとした。しかし、母さんは自殺未遂までして僕を守ったと言うことだ。その後の展開については聞かなくても分かる。


なぜ母さんが休みもなく働いて僕を育てたのか。 それは実家からの援助がなかっただけではなく、縁も切られたからであろう・・


一通り話すと、コウイチさんは


「正直言って僕は君が憎い。妹は本当に優しく聡明な子だった。君さえいなければ幸せな生活は約束されていたんだよ・・」


何も答えられなかった。


 僕は何なんだ・・母さんを苦しめるだけの存在? 働かすだけ働かせてその挙句、母さんは死んだ。母さんに感謝の言葉を伝えず、口には出していないが恨みまでしたりして・・


そんな僕を余所に、コウイチさんは続けた


「しかし一番憎いのは僕自身なんだ。父さんが縁を切ると言った時、どうして止められなかったのか。それだけではない、妹がどんな生活をしていたのかは分かっていたのに・・・父の逆鱗に触れたくないと思い何の手も差し伸べなかった・・・僕が一番最低だね・・」


僕は何も言えなかった。


「だから今更ながら協力させてもらうよ。大学までの学費は全て僕が出す。もちろん住むところだって僕が用意する。


君は僕の家で認知されていないから遺産相続は出来ないが、僕の取り分から君には渡す。」


 何がなんだか・・突然のことでついて行けない・・・自分の出生のこととかで・・


しかし、コウイチさんの申し出が何の裏もなく、善意からだということは分かった。僕からすれば、相当においしい話であろう。しかし僕の口から出た言葉は・・


「いいえ。何もいりません。本当のことを話してくださっただけで満足です。」


「何を言っているんだ・・これから君一人で生きていける分けないだろう。何も施しをしようとかいう意味ではない。これは君にではなく、妹をないがしろにしてきた僕からの謝罪だ。承諾してほしい。」


コウイチさんの真摯な言葉が続くが僕は


「母さんが僕を出産し、一人で僕を育てだしたのは今の僕とそう変わらない年のことです。母さんの苦労に比べたらそんなもの・・・それに・・・」


僕はコウイチさんに伝えた。 いつも一人にされて恨んでいたこと・・寂しかったこと・・母さんをないがしろにしてきたことを・・


「だからダメなんです。ここで僕がそれを受けたら。一人で頑張って一人前にならなければ天国の母さんも安心できません。」


また泣いてしまった。しかし、止めようと思っても後から後から流れてくる。何を思って泣いているのか?


母さんの生い立ち? 自分の出生? 母さんに対する思い? それは分からなかった。


コウイチさんは


「分かった。君の決心は強いみたいだから・・今日は帰るよ。でも・・・今日は君に会えて良かった。正直なところ君のことは『妹の子供』というよりは、妹を『汚した奴の子供』という認識だった。でも違う、君はやっぱり『妹の子』だよ。真の強いところなんかソックリだ。」


そう言いながら、コウイチさんは笑って帰って行った。


 文法がおかしいのは教養がないため・・とご了承ください。あと1回で終わります。

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