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序章:はじまりのはじまり

 高校2年の秋だった。学校で修学旅行に行くこととなった。

 出発は北海道、飛行機を使って大阪まで行って、そこからはバスで移動だ。

 クラスメートは各々男子も女子も楽しんでいる。普段なら喧しいと感じるだろうその喧騒も、浮かれているのかいつもより気にならない自分がいた。


「バスの長旅も、本を読む時間に充てられると思うと悪くないな」


 声を出したのは俺。名前は葛葉(くずは)憂太(ゆうた)

 最近本屋で表紙買いしてしまった小説を読んでいる。

 内容は「大人気シリーズの本を書いている作家が炎上し、シリーズ途中で自殺、それに伴ってファンまで自殺を図ってしまった」という導入から始まるものだった。なかなか、興味深い。


「バスの長旅も、外の景色を楽しむ、ということで出来ると思うんだけどなー」


 横の席から声が聞こえる。

 声の主は高司(たかつかさ)(かえで)。所謂俺の幼馴染の女の子だ。幼稚園から一緒に住んでいて実家は神社というちょっとかっこいいところ。高校生らしく体は成長しているが、中身は昔から変わらない。良く付きまとってくるが「幼馴染とはそういうものなのだよ」だそうで、よく分からないが美学があるらしい。


「北海道から見ても大して変わりはしない。それなら俺は新刊を読みたい」

「本こそどこで読んでも変わらないと思うけどなー」

「そんなことはない。静かに1人で読むよりも、みんなの楽しそうな雰囲気がより一層感情移入しやすくなる」

「へー?普段は教室で声の大きい女の子に舌打ちしてるくせに?」


 ぬっと反論に困った。大きなノイズなんて普段なら不快でしかない。やっぱり、浮かれているのだろうな。


「浮かれてるんだね、憂太」

「そう、かもしれない」

「絶対思い出に残る修学旅行にしようね!」


 その言葉を放たれるとほぼ同時に、俺たちが乗っていたトラックは崖から落ちてしまった。

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