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プロローグ




『さあ今回もやってまいりました。ロボットと人間の複合競技。舞台は、なんと4年ぶり、カイボー発祥の地、ここ日本。ローマのコロッセウムをイメージして造られた円形劇場の観客席には、多くの人で賑わいを見せております。その中を颯爽と入ってくる各国の代表選手達です。紹介していきましょう。まず、最初の登場は、アメリカの・・・』

 壁に掛けられた薄っぺらいテレビの向こうでは、会場を上空から撮影した映像とその熱気をどう伝えようかと模索するアナウンサーの声が、薄いテレビの向こう側を小さな部屋にいる幼い私を会場にいるかのように、見せてくる。

『そして、最後に入ってきますのは、日本代表、昨年マシリンピック優勝者、金城 正志。後に続いて出てくる彼の右腕と言っても過言ではないでしょう。彼の吹き鳴らす南風を勢いづける炎、原田・・』

 日本代表のチームが入場すると会場は一気に盛り上がり、入場してくる日本代表は、それに応える。

『各チームが、今メンテナンスルームにそれぞれの観客に応えながら入っていきます。これより最終メンテナンスが行われる間に、これまでのカイボーの歴史に遡って行きましょう』

 生中継の画面が、切り替わり編集された映像が、テレビに映し出される。


 日本で少子高齢化社会が社会問題となる中、介護用として生まれた。有人介護用ロボット、通称『カイボー』。製作者側は現在でも『ケアリングロボット』と言っておりますが、新聞一面に出された『カイボー』という言葉が、市民に定着しカイボーは、介護施設や自宅介護の老夫婦で現在でも活躍しております。

『像に踏まれても、逆に持ち上げます』

 そんな歌い文句で、発売されたカイボーは、某テレビ番組のある企画で、新たな道を作り出すことになりました。それは、本当に像に踏まれても問題がないのか実験するという企画でした。

 像を実際に使用するのではなく、一般人がカイボーを装着し、どれほど無難な問題を解決していけるかという、明らかに悪質な嫌がらせのようなこの企画ですが、お馬鹿タレント三人組『劣等感』人気アイドル下地、鷺野、山久保が三人とも、100m走で世界新記録を一秒以上も、上回る記録を打ち出し、リトルリーグ『パワフル カブス』対QL学院の試合では、なんとQL学院の完封負け、ノーヒットノーランを達成し、15対0のまさかの敗北。

 さらなる追い打ちは、一般の奥さんを募集し、集まったママさん達が、本場のアメフト選手を第1Qで、本国へ帰らせる事態となり、このテレビ企画は終了しますが、ネットで話題となり、介護以外の目的で購入する事態が起き、目をつぶっていた製作者側も、その対応に追われる事態となり、アウトドアスポーツとして新商品を発売。手ごろな価格と言う事で若者たちの中で、広まりストリートから始まったこの競技は、国内、国際的な物になるのも時間の問題でした。

 競技の種類は、いくつにもなり、力・技・速といった三種類に分ける事が出来ます。ですが、今回行われる競技は、世界で最も注目度、人気度があり、力・技・速が組み込まれたスポーツ。一体誰が命名したんでしょう。『何でもあり徒競走』です。




『さぁ、歴史を振り返っているうちに、各選手がスタートラインにつきました』

 画面は再びLIVE映像に切り替わり、選手一人一人を映し出し、各国の特徴あるカイボーが現れる。体全体を鉄の塊で隠された選手の表情を窺う事は出来ないが、アナウンサーは、とても集中しているようにこちらには伝わってきますなど、訳のわからない事を言ってくる。

最後に映し出された日本代表のカイボーを映し出すと、画面は再び全体を映し出した。

『ここからは実況の歯取に伝えていただきましょう』

『ハイ、お伝えします』

 実況の行われる部屋を映し出し、画面の半分以上に、ほとんどの歯が溶けた男の人が現れた。

『お勤め後の初の仕事です』

 そんな言葉に、横にいる解説者も苦笑いをし、テレビ画面に映る人を見ておそらく、テレビを見ている誰もが表情を強張らせ、今頃ネットでは、大荒らしが起きているのだろう。ノートパソコンを取り出し、固定カメラに見せてくる。

『ハイ、今ネットで「帰れ!」とか、歯の事について書き込んでいる人~・・オジサン怒るよ~。・・・えっ?なんで、クビにならないかって?それはね、じ・つ・りょ・く!』

 右腕の袖をまくり、腕を見せつけるアナウンサーに、スイッチが入り、先ほどのアナウンサーとは、まるで違う表現の仕方で画面に映る映像を語り始める。


『さぁ、今回は一体どんなエクセレントな、ビックイベントが起きるのか~楽しみでありますう。そして、今スタートのホイッスルが吹かれる!』





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