5話 説明
「隊長。自分は反対です。あの男と二人だけでヨト遺跡まで行くなど。それに私なんぞに隊長が務まるとは思えません。」
「そう自分を卑下するな。そう言いつつ引き受けてくれるのだろう?ハリソン、貴様はそう言う男だ。」
「それは、そうなのですが…。しかし、やはり二人だけと言うのは、、」
「案ずるな。グランルイジュ北端までは遠い道のりだ。
人が多くては歩みが遅くなる。人数は少ない方が良い。それに道中で仲間も加える予定だ。」
「そう言う意味では、、、」
「それにユウスケくんは信用できる。なんせマチ様のお墨付きだ。」
「ユウスケ‘くん’ですと?!いつの間にそのような間柄になったのですか?!」
「ははっ。彼とはマチ様をお慕いする同士でな?彼のマチ様への愛は本物だ。
それよりも、私がいない間、レイニア伯爵領を頼んだぞ。」
「あっあぁ。はっ!承知致しました!
ハリソン・ネイビーナイト、臨時隊長として、レイニア伯爵領をあらゆる害から守護すると誓います!」
「うむ。任せた!」
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「さて、説明を続けよう。」
ソフィアちゃんは地図を取り出して話し始めた。
「ヨト遺跡までは、馬車で1ヶ月ほどかかるだろう。
まずはここパドルの街から東にあるハイドレンジアと言う街をを経由して王都ルイジュへ向かう。
そこで仲間を1人加える。少々伝手があってな。
王都から川沿いに北上し、10日ほどでヨト遺跡に着く。
道中では魔生物にも多く遭遇するだろう。魔生物はわかるか?
そうだよな、すまない。魔生物とは魔力を帯びた瘴気に当てられた生き物が凶暴化した姿だ。魔力を多く含んだ生き物を襲う習性がある。
人間という生き物は魔力を最も多く持つ祝福された生き物だ。当然、魔生物の被害を最も受けることになる。
だからユウスケくんにも戦う術を身につけてもらう。
では、旅の準備はこちらでしておこう。
色々あって疲れだだろう。明日の朝出発する。今日はとりあえず休んでくれ。
ハリソーン!ユウスケ殿を客間に案内してやってくれー!」
ソフィアちゃんがそう言うと、長身の騎士が兜を脱いだ状態で部屋に入ってきた。顔が濃くてかっこいい。
「ユウスケ殿、こちらです。自分について来てください。」
ハリソンさんはそう言うと、無骨な詰め所を出て、煌びやかな屋敷に案内してくれた。
屋敷の中は掃除が徹底されており、でかい絵画や繊細な調度品が並んでおり、場違い感が半端じゃなかった。
「ここが客間になります。夕食の時間になれば使いの者が来ますので、それまでごゆっくりお休みください。」
そう言って日当たりのいいこぢんまりした部屋に案内してくれた。
「ありがとうございます。ハリソンさん。」
「……いえ。仕事ですので。」
ハリソンさんはぶっきらぼうに答える。
「……ユウスケ殿、自分はヨト遺跡までの旅に同行したいと思っています。
自分はユウスケ殿をまだ信用していませんので。」
そう言ってハリソンさんは去っていった。
なんだこいつ態度悪いな。とも思ったが、確かに普通に考えれば小屋から現れた謎の人物を信用しろと言う方が難しい。
ソフィアちゃんが僕のことを信用するのは、間久鳥先輩のお陰だ。やはり間久鳥先輩。間久鳥先輩は全てを解決る。かわいいし。
その後、ソフィアちゃんとソフィアちゃんのご家族と共に食事を摂った。
マナーなんて分からないしクッソ緊張してせっかくの貴族料理の味が分からなかった
破壊光線を打つよりも疲れて、ぐっすり眠れた。
明日出発だ。