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1話 転移

 「〜〜♪」

 スマホから響くけたたましいクラシック音楽で目が覚める。

 泥のように重たい体を必死で動かし、朝の準備をして朝食を食べて制服を着る。

 なんてことない日常。いい加減飽きてきたので、何か変わったことをしようと考えつつ、何もしないで毎日やりすごす。

 家を出て最寄り駅にまで歩く。

 目をつぶってもたどり着けるくらい慣れきった道も、違う道を歩いてみようかと考えながら、考えている間にいつもの道で駅に着く。

 駅には学生がごった返していた。4月中旬の17日、まだ見慣れない顔の新一年生がところどころで話て、笑ってふざけている。

 おめでたい奴らめ。

 吹奏楽部の部長として、この中の誰かを部に誘うくらいのことはすべきなのだろうが、朝からとてもそんな気にはなれない。

 近所に友達がいないので、1人で音楽を聴きながら電車を待っている。別に寂しくはないと自分に言い聞かせながら孤独を誤魔化して電車を待つ。昨日や一昨日と同じように、快速電車が一つ通り過ぎた後の普通電車に乗る。

 一年間ですっかり慣れきったいつもの日常。崩されたくない日常。

「ちょお前〜やめろよww」

 騒ぐ一年生の背中がホームの端に立つ僕に直撃した。

 瞬間、僕は宙を舞う。

 なんてカッコよく言ってみたが、普通にホームから落ちた。異常事態だ。やべ。何しやがる。よじ登らなければ。一年生がこっちをみて驚いている。あ。嫌に頭が回る。えっと。どうしよう。

 赤色のラインが入った巨大な鉄の塊が迫ってくる。運転手がこっちを見てる。

 僕の血と肉が周囲に飛び散ることは無かった。何事もなかったように轟音をたてて快速電車はホームを通り過ぎていった。

 落ちたレールから僕は、忽然と姿を消した。


ーーーーー


「ひぁうぅああああぁ」

 情けない僕の声が狭い部屋で鳴り響いた。

 我ながらなんとも間抜けな声を出すのだろうと恥いるが、そんな余計な思考は一瞬で吹き飛んだ。なんで?どこ?電車は?えっと。えっと。

 ポケットのスマホを見る。左上に圏外とある。肝心な時に役に立たない。あーーもう!、、ふぅー

 深呼吸して落ち着いて視覚情報を整理する。

 4畳か5畳くらいの部屋。壁一面の本棚と机があって、机にはフラスコ?ガラスの容器が並べてある。研究室?

 長いこと放置されていた風でフラスコは割れてるし、天井には蜘蛛の巣が張ってる。すごい埃っぽい。

 何より一番目を引くのが床に書いてある。(描いてある?)複雑な紋様だった。なんか微妙に光ってる?

 拉致された?こんなボロボロの研究室に?拉致された訳ではないと思う。

 やばい。情報が多すぎる。混乱する。もう帰って寝たい。学校行かなきゃ。あーーー。

…………

「よし!」

 1人で多いな声をだし、自分を奮い立たせる。何かしなければ。

 身の前にある古ぼけた扉に手をかける。

 ガチャ、ガチャガチャ

 開かねえ!

半ば八つ当たり気味に乱暴な手付きでドアノブを押し引きしたが、びくともしない。

「だァーーー!」

 気合いを入れて扉に向かって乱暴に手を突き出す。

 その瞬間、瞬い白い閃光が視界を覆った。

 キラリ!どちゅーん!ばがずーん!

と巨大な音を立てて目の前の扉が消し飛んだ。

 なんだこれェ!ビーム?!

 大きな重い玉でも転がったかのような軌跡が荒地を走っていた。

 外だ!

 と思うのも束の間、頭にズキンと激痛が走ると共に、僕の意識はそこで途切れた。

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