2話:大親ばか商人の息子
小説を書くのは楽しいけど、難しい!
この世界に転生して2日たった。まだ、1回も外出したことないから家のことしかわからないけど、家の事情はこんな感じ。
・父親 ロン・ウィンベリー:商人、親ばか1
・母親 リリア・ウィンベリー:主婦、刺繍が得意、親ばか2
・メイド フィーナ:ウィンベリー家のメイド長。基本的に僕に付きっ切り。
フランチェスカ:ウィンベリー家のキッチンメイド。すっげー料理がうまい。
他にもメイドさんが何人か
・祖父・祖母:おとといのパーティーに来訪。孫バカ。もともと商人だったらしい
自分 ローレンス・ウィンベリー:5歳。よく家族からはロールと呼ばれる。
……まとめてみるとこんな感じか。なんというか… 愛されてるなぁ.
でもよくよく考えたら、前世の両親も僕が幼い時にこんな感じだったわ。
ベッドや枕、衣服がかなり上物なのは、父さんが商人だからだったのか…
女神さまは剣と魔法の世界だと言っていたけど、この世界でも商業はかなり大事そう。この家の大きさから察するに多分相当儲かってんだろうなぁ…
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なんというか、暇だな。今転生してから、2日と半分。ベッドの上で絵本を読んでる。
日本語じゃないけど、わかる。すらすらと読めるし、喋れる。僕が思うに、日本語でためた知識とこの世界の言語がリンクしてるのかな?
確か今日は父さんはうちで商談だったな…
商談が終わったら、家庭教師でもつけてもらえるようにお願いしてみようかな。知識は強い強い武器になりますからね。
えぇ、もちろん自分の体を鍛えるのがめんどくさいというわけではないんですよ。ただ、この世界の常識と情勢を学ぶのにはちょうどいいだけですからね。
こんなことを言ったものの、この世界の常識と情勢は知らなければならないのは本当。
それらを知らないとこの世を生きていくうえで話にならない。
それに、女神様は重要なことを言っていた。そう。この世界は『剣と魔法の世界』だということ。
魔法が使える世界! なんとまぁ素晴らしいのだろうか。そりゃあもちろん僕だって前世に中二病という不治の病にかかったことがありましたよ。某有名RPGの呪文を唱えてみたり…
いや、今はこの話はよそう。とにかく、大切なものを守るための力の一つとして魔法はぜひ使えるようになりたい。こんな無力な幼児の力ではできることが限られてるからね。
もしかしたら、あの父さんのことだから、僕の部屋に魔導書とかあるかも!
もし見つかったら一人で練習しておいて、生まれてすぐ使えました!みたいなことができるかも!
そうと決まったら探索だ!
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……ない。
そりゃあそうか。そんなに危ないものを子供部屋に置いとけるわけないか。しょうがない。
いや、ちょっと待て。そういえば女神様、転生する直前にどんな形であれ女神さまに祈れば話をできるって言ってたな。そもそも僕に魔法の才能的なものがないかもしれないからね。
今度こそ成果を出すぞ!
「女神様、女神様。ちょっとお話がしたいです。どうにかしてくださ~い!」
さすがにこんなふざけたなんちゃってお祈りじゃダメか。でもまじめなお祈りなんてやりかたわかんないからなぁ…
「はいは~い! 呼ばれて登場女神様で~す!」
出てきた。マジで出てきちゃったよこの女神様。
「どうしたんですか? そんな驚いた顔して。ハッ! もしかして私の顔に何かついてます? どこ? どこどこ?」
そりゃあ驚くわ。このお方は自分の立場をわかってないのかな?
「いや… その… こんなに簡単に出てきて大丈夫なのかなって思って。お忙しい立場でしょう?」
とりあえず当たり障りのない返しをしておいた。女神様の扱いには注意が必要だ。前世日本人は伊達じゃないのだよ。
「それが聞いてくださいよ~! 前回のミスの1件で私の部下が私がしていた仕事を全部取っちゃったんですよ~ 前回のが最初のミスだったのに~」
確かにこれはすっごい暇なんだろうな。多分暇をしていると死んじゃうタイプの女神様なのだろうな。
「それで、どうして呼び出したんですか? 別に大した要件がなくてもお話だけで私は嬉しいですけど。」
おっと、そうだった。本題に入ろう。
「それでなんですが、僕って魔法使えるんです?」
なんというか、若い男の先生に質問する感じになっちゃったな。えらい方だというのはわかるんだけど、このテンションで話されたら気が狂うな。
「使えますよ。あなたが言う、『大切な人が守れるだけ』の魔法ぐらいなら不自由なく使えます。もし魔法の勉強がしたいなら家庭教師でも頼むといいと思いますよ」
家庭教師? それなら頼もうと思ってたけど…… 魔法を教えられるのかな?
「普通の家庭教師なら入門編の魔法を教えることぐらいできますよ。」
出た。女神様の十八番、読心術。これ話がポンポン進むから楽なんだけど、不意に言われるとびっくりするんだよね…
「なるほど… ありがとうございました。勉強になりました。」
すると女神さまは少し悲しそうな表情をする。
「これだけですか? もうちょっと話してもいいのに…」
たしかに。暇なんだな。とは言う僕も、父さんが商談中だから暇なんだよな。女神さまのこと言えないね。
「いいですよ。僕も父さんが商談中なので暇です。もう少しお話ししましょう。」
すると女神様は嬉しそうな表情をして堰を切ったように話し出した。
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結局2時間ぐらい話し込んじゃったな。女神様も満足したようだし、父さんも商談が終わったようだしね。
「じゃあそろそろ行きますね。父さんに家庭教師をお願いしないと。」
すると女神様は、えぇと言ってその場から消えてしまった。こう見ると本当に女神様なんだなとおもうなぁ。話してる限りは、同級生、あるいは少し抜けてる先輩って感じなんだけどね。
女神様とした話の中でこの世界の常識については結構教えてもらったから、あとは情勢と魔法だな。 ……よし。家庭教師をお願いしに行こう。
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「パパ、パパ!」
子供らしく可愛げに父親の部屋に入っていく。なぜ、僕が父さんのことをパパ呼びなのか。
それは、初めて転生後の両親に会ったとき、両親のことをお父さん、お母さん呼びしていたら、母さんに「無理せずいつものようにパパ、ママって呼んでいいのよ?」と圧強めに言われた。
前世では父さん母さん呼びだったから慣れないことこの上ないが、しょうがない。
「どうしたのかな~ ロール君?」
かわいらしく呼びかけた効果は抜群だな。親心を利用するのは気が引けるけど… これはこれ、それはそれだな。
ここぞとばかりに持ってきた辞書を開きながら話を続ける。
「僕最近この本を読んだんだけどね。この本が面白くて、もっと勉強したいな~って。
この… 先生?っていう人に教えてもらいたいの」
フッフッフ、この説明、完璧だ。学校に通えるのは10歳からだからね。
「それに、パパのお仕事についてもお勉強したいなって思って!」
ダメ押しだ! ここまでする必要はないけど、自分の仕事に興味を持ってもらって嫌な風に思う人はあんまりいないだろうしね。
「ロール、なんで…」
ん? ちょっと風向き変わったな? 職業については触れないほうがよかったかな? いや、でも、そんな薄暗いビジネスをしているわけじゃないよね…
「なんでそんなに賢いんだ!」
良かった、大丈夫そうだ。いつもの父さんだ。やっぱり職業について触れたのは間違いじゃなかったな!
「もちろん、ロールが勉強したいなら、勉強させてあげよう。ただ、ロールはまだ5才だろう? 10歳にならないと学校に行けなくって、先生から勉強を教えてもらうことはできないんだよ。だから、家庭教師を頼もう! もちろん、とびきりすごい先生をね。パパはすごいんだぞ!」
「わーい!パパありがとう! パパのおしごとはパパが教えてくれるんだよね?」
商業につて学ぶのもいいよね~ 父さんがどれだけすごい商人なのかわからないけど、本物から教えてもらえる機会は貴重だろうし。
「もちろん、お仕事についてはパパが教えよう。ただ、一つ聞きたいのは先生から何を教えてもらいたいんだい?」
魔法と言いかけて、思いとどまった。ここで魔法と言ったら、いらぬ心配をかけるかもしれない。魔法も学べて、この世界の情勢も学んで、心配をかけないためには…
「いろいろ!」
これが一番丸く収まるだろう返しかな。
「そっかぁ、いろいろかぁ。じゃあ、なんでも教えられるような先生を頼んでみよう。」
よっしゃ! これで第一関門クリアかな… 一安心だ。
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数日後――
「ロール! 先生が決まったよ! 明日からくるって。よかったねぇ」
どうやら明日、待ちに待った家庭教師が来るらしい。これでこの世界のことについて知ることができる。
あ! でも、怖い先生だったらいやだな…
まぁ、いないよりはずっといいや。
明日の備えて早く寝よう。
ちなみに、家庭教師のくだりを聞いた母さんはとんでもなく驚いた後、僕をべた褒めしていましたとさ。
女神様のサイドストーリーも書きたいな