42:猫リセットですか?
【前日に内容構成しているので、一部改変があるかもしれません】
今月中に100話行く目処がたちました。以降どんどん更新していきます。
「ボク、死んだんだ……」
確かにボクは自殺した記憶がある。……思い出すだけでも気分が悪いが。
それで今の状況……うん、理解したぞ。これは噂の、タイムリープものの異世界転生だ。
でもまさか乙女ゲームでやるとはなあ……。
ていうか、これ元々乙女ゲームなんだよね? 前々から思っていたけど、どうしてファンタジー要素強めなの?
普通、恋愛要素が多いよね?
それなのに魔力暴走を抑えるためだとかで、ミドガルド学校に転校、ならそこで恋愛要素起こせやぁ!
今度は違う理由で、家にあるカルバン商会特注鏡を殴った。
グーで。
案の定、ドーナツ状に割れている。
――いやまあ、元々はリリィと結婚するのが目的だったんだし?
生き返れるなら、それで問題ないよ?
……今回生き返った理由なんてのはどうでもいい。
ファンタジー世界なんだし、変な理論の一つや二つあってもおかしくない。
そもそも、現実世界に魔法なんてものはないのだし、そこを気にした時点で負け、だ。
ボクは転生者で、出張先がファンタジー要素強めの乙女ゲームなだけだ。
前世で遊んでいない以上、つべこべいうのも制作者に失礼だ。
てことで考えた。
――新春大会に出場するのはやめよう。
もうあんなことは二度とごめんだ。
そして、本筋であるリリィとの結婚……うん、それは変わりない。
ボクは何度生き返っても、リリィのことが好きなんだ。
もちろん、恋愛としてね?
「そっか。じゃあ、リリィと学園ライフを送ればいいんだ……」
――ということで、ボクは実力隠して、都立ミドガルド学園での転校を回避、それで何事もなく5年間過ごして、リリィとの結婚エンドに向かいます。今、決め直しました。
「リリィ」
「なんでしょう、オーウェンス様」
「アックスの部屋ってどこにあったっけ?」
「アックス様、ですか……それは一体どうしてですか?」
「うぐ……」
くそう、実力隠すための腕輪が必要なため、とはいえないしなあ……。
「――――魔法を使いたいからなんだよ」
精一杯の嘘をついた。
「なるほど。ですが学園を入学して、まだ数週間ですよ? 魔法の学習はもう少し先ですので、まだ早いかと……」
「んん。まあ、そうなんだけど……ほ、ほら! 予習とかした方がよくない?」
「予習、ですか?」
「そう! 予習! 先に学習しといて、みんなにいい目で見られるの! そうすれば、次期主の威厳も示せるじゃない?」
「……確かにそうですね」
「でしょ? じゃあ、その場所を教えて!」
「いえ、私も『予習』したいので、一緒にいきましょう」
「…………いや、教えてくれるだけでいいんだよ?」
「いえ、オーウェンス様では迷子になりかねないので」
「いやいや、そこまでボクもバカじゃないよ。流石にボクを舐めすぎ」
「10年暮らしているのに、トイレの場所を知らないオーウェンス様がですか?」
「…………」
――い、いや、それはしょうがないじゃないか。だってボクは転生者だったんだよ?
それに、ついさっきまで寮暮らしだったんだ。
一年近く暮らしていない場所のトイレなんて忘れるじゃないか。
「それに……私はオーウェンス様の専属メイドです。私がもしできなかったら、オーウェンスの顔に泥を塗ってしまいます」
「いやリリィは気にすることはんないんだよ? ボクたちは主従関係だけど、それ以前に友達……なんだから!」
まだ結婚してくれとは言っていない。言うタイミングを逃してしまったのだ。
「……じ、実は私も魔法に興味があるのです……ダメ、ですか……?」
「う…………」
くそ。目を潤ませて上目遣いで、か弱い子犬のような顔で見ないでくれ。
ボクが悪いことをしているみたいじゃないか。
「――だ、ダメじゃない、ケド…………」
「――やった。では決まりですねっ!」
リリィはあの顔から一転、嬉しそうな顔になった。
「…………」
なんか言いように騙された気がするのは気のせいだろうか。
「――ふんふ〜ん。魔法、魔法♪ ……――ひゃあ! お、オーウェンス様! 何をするんですか!?」
意趣返しとして、リリィの胸を揉んでやった。
久しぶりの感触は、どこか懐かしい感じがした。
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投稿頻度が落ちる日もありますが、2022年中には100話到達します!!




