39:勝利と、栄光と(兄妹対決 後編)
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「聖騎士の進行!」
「水龍の咆哮!」
形勢逆転。攻守交代ともいうだろうか、今までマリィが受け身側だったのに対し、今度はユリウスが圧倒されている。
「――逃しませんわっ! ホーリーランス!」
ホーリーナイトを水龍の咆哮で防ぎ、一旦距離を取ろうとしたユリウスに迎撃の光魔法・ホーリーランスが飛んでくる……っ!
「――っ。が、ウォーター!」
なんとかユリウスはウォーターで相殺。両者拮抗状態となった。
――否、実質マリィの方が分があるだろうか。ユリウスの魔力はほぼ枯渇。
かたやマリィは一定時間とはいえ、無限に攻撃が可能だ。
さらには攻撃したところで、回復魔法で治され、今のマリィには意味が全くない……っ!
まさに、ユリウスは絶対絶命のピンチに立たされていた。
(だが……これが長く続かないのも眼に見えている……)
事実、『永久なる至上の喜び』の立方牢はだんだん薄くなってきていた。
「――ウォータ!」
転機だ。
ユリウスは強気に中級魔法・ウォータを出した。
「――無駄ですわ! 精霊の喜び!」
しかし虚しくもユリウスの攻撃はかき消される。
だが――――
ユリウスの目的はそこではなかった。
「――今のはブラフだ」
「……っ!? そんな!」
ウォータが防がれた刹那、マリィの目の前にはユリウスがいた。ウォータはあくまで囮……身体強化魔法で一気に近づき、次なる一手を繰り出す……っ!
「これで終わりだ。――水龍の咆哮っっ!!!!」
最後の魔力を使い、最後の攻撃、水龍の方向を放つ……っ!
「ほ、ホーリーナイト! …………っ!!!」
防御が間に合わなかったマリィは直接ユリウスの攻撃を喰らい、そのまま吹き飛ばされる。
次第に立方牢は消え去り、マリィは瀕死の状態ながらも立ち上がる。
「……さすがお兄様ですわね……全力を賭しても、この状態……完敗、です…………」
「――ばかいえ……私だってもう限界、だ……」
両者ノックダウン。二人は力尽きて倒れた。
結果はわずかに倒れるのが遅かったユリウスの勝利となった。
○○○
「――…………」
オーウェンスは彼らの試合を見て、今日初めて驚いた。
手応えのある対戦相手がおらず、そのままリーグ優勝してしまい不服だったが、その不満さえも吹き飛ばされてしまった。
「マリィに……それにユリウスも……強かったんだなあ……」
ふとしてその感想が落ちる。
「当たり前です。オーウェンスが転入する前は彼らはトップだったのですから。それに、ユリウス様は聖マルクス学園の主席合格者ですよ」
赤く泣き腫らした目のリリィが言った。
「――リリィ。まだ目が赤いよ」
「――!?!? す、すみません!」
「あはは……」
オーウェンスは思考に耽る。
……彼らの試合はそれこそ、1級リーグでも十分勝てるレベルだ。
ユリウスやマリィだけでない。
クライムやフェーリだって、その実力は確かなものだった。
もしリーグが違えば…………オーウェンスその先を考えることやめた。
正直、オーウェンスは自他ともに認める最強だと理解していた。
しかし、その常識も今や崩れかけようとしている。
「――これはより一層気が抜けないなあ……」
オーウェンスの目にはより強い炎が宿った。
「そ、れ、に! 総合優勝して、古代魔道具はボクのものだっ!!」
「――いえ、それが欲しいのはオーウェンス様だけかと……――ひゃうっ! な、何をするんですか!!」
ボクは黙ってリリィの胸を揉んだ。
久しぶりのリリィの巨峰は柔らかかった。
最近、更新ペースを守れずすみません。




