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28:Lesson2『最高の縛りプレイ』

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感想や質問は励みになります! 是非是非。 

また2022年12月13日から、ツイッター(@Yumiera_naro)も始めました。

こちらのフォローも差し支えなければ。

「――正直に言おう。わしの名前はミリカ=キース。またの名を、『絶剣』」


 もう平原は夜に近づいていた。明るく照らす焚き火の日が揺れた気がした。


「あの伝説の…………」


「うむ。そうじゃ、空前絶後の伝説の冒険者グループ『絶』。わしはその中のメンバーの一人じゃよ」


「……あなたのことはわかりました。けれど、どうして私の身辺情報を知っている理由にはならないです。……理由次第では、あなたに立ち向かわなければならない」


 ボクは間合いをとり、いつでも臨戦態勢に入れるように構えた。


「そう邪険にするでない。わしはただ、お主をよーく知っているものに頼まれただけじゃ」


 ミリカは武器を捨てて、降伏の意を示した。


「…………その者とは」


「これはいうなと言われていたのだがのお……しょうがない。お前さんの父。『絶生』こと、ロールランド=クーデリカじゃよ」



   ○○○



『拝啓、お父様へ。そろそろ新春が近づいていますが、お元気でしょうか? 私は以前授与式でお会いした同様、とても元気です。さて、本題に入りたいのですが、私は最近ミリカ=キースというものに魔力制御の指南を教わっております。その際、彼女はお父様に頼まれたから、と申していました。私にはとても信じられません。どうか真相のご確認をさせていただけませんか。   敬具。愛しの娘、オーウェンス=クーデリカ』



『拝啓、親愛なる我が娘オーウェンスよ。確かにミリカ=キースは私の旧友だ。彼女が絶剣であることも間違いない。古風な言葉遣いに、大人とは思えない顔容に体つき、そして、魔法剣はお前より上ならば間違いなく、その彼女だ。私が保証する。彼女はかつて、魔力暴走から無理やり脱却した身でね。こう言ったことには少し詳しいのだ。(これは秘密だよ。)だから、安心して教わりなさい。   敬具。お前の父、ロールランド=クーデリカ』



「――と、お父様にも許可が降りたので、これからもよろしくお願いします。疑って申し訳ありませんでした」



 ボクはお詫びの品とことの顛末と手紙でお父様に確認が取れたことを伝え、今までの非礼を詫びた。


「よいよい。疑うことは誰でも大事じゃ。……それにしても、これは何かのう?」


 ミリカはお礼の品を取り出した。


「――あ、それは最新作のアーティファクトで……スライムファンデーション言います。使い方は付属の説明書にあるので、そちらを参照していただければ……」


「ふおおおおおお! こ、これはすごいのう!」


 ミリカは説明を皆まで聞かず、自身の魔力を込め、顔に塗りたくっていた。あ、ちょ……それ塗りすぎ……顔真っ白になりすぎてるじゃん。


「――き、気に入っていただけたら幸いですわ。またおっしゃってくだされば、持っていきますので」


「うむ。お願いするぞ。……確認するが、お主はこの先のレッスンを受けるのじゃろう?」


「もちろんでございます。どうかご教授いただければ幸いです」


「そうか、しょうがないのお。このまま断ってくれれば、わしは何もせずに金が手に入ったというのに……」


「…………」


 こいつ……っ! 人の金を……っ!! 


 ――だめだ。我慢だ。せっかくお父様が彼女にお願いをしたのだ。それを無碍にしてはいけない。



「――では、次のレッスンに入ろうかのう」




「――お主は今からそのリストバンドをつけた状態で、わしと戦ってもらう。わしが合格と認めるまで攻撃はやめんぞ。……そして、わしはこの木の棒をつかう」


 ミリカは平原にあったものを拾い上げた。


「……怪我、しても知りませんよ」


「わしを誰じゃと思っておる。弱体化した今のお前さんには絶対負けんよ」


「――身体強化、超加速……っ! ――あれ」


 魔力が練れない……だと!? 


「先刻も言ったじゃろう。そのバンドはお主の魔力放出を一時的に抑えるものじゃと。お主には外部の魔力だけを借りて詠唱をしてもらう。――ほれい」


「――――ちぃっ!」


 間一髪、なんとかミリカの攻撃を交わした刹那。ミリカは姿を消していた。


「――ちなみにじゃが、わしはちと体術も得意でのう」


「――っ!」


 なんとか反応をして、背後からの攻撃を受け身する。


 おいおい。そんなのありかよ。相手は『絶剣』、手加減しているとはいえ、向こうは身体強化してくる。対して自分は魔力もろくに練れない。


 こんなの……


「――さいこう、ですわ」


「いい笑顔じゃ」


 そして、明け方までミリカの合格は来なかった。

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