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25:唐突の暗殺者、ですか?

面白いと思った方は、いいねブックマークしていただけると見逃すことなく閲覧することができます! 何卒何卒。

感想や質問は励みになります! 是非是非。 

また2022年12月13日から、ツイッター(@Yumiera_naro)も始めました。

こちらのフォローも差し支えなければ。


 ある日、ボクは歩いていました。年の終わりも近くになり、寒さに震える季節になりかけていた頃です。


 鼻歌まじりに、「ふんふ〜ん」と魔獣平原(新しい開発のため)歩いていたら、背後から急に、斬り掛かってくる人がいたのです。


 現在その人と戦っております。


「――ふ! ……っ!」


 おかしい。何かがおかしい。ボクは焦っていた。


 先ほどから、身体上昇の魔法をかけているのに、自分が戦っている相手の姿が全く捉えられないのだ。


 正直いうと、「きゃああ!」と助けを呼びたかったが、ここには人除けの魔法がかけられている。


 魔獣平原に人除けの魔法。つまり、ボクは暗殺されようとしているのだ。


 背中に冷や汗を滲ませながら、音を頼りに相手の次の攻撃を防ぐ。


 幸いここは平原だ。朝で霜も降りているから、ステップや踏み込みは必ず、音が鳴る。ボクはそれを防ぎつつ、王都に戻れば良いだけ。


 暗殺者と言っても、王都の朝の賑わいから、人の目を忍んでボクを暗殺するのは難しいはず。


 それに…………――――


「……相手は子供、か?」


 踏み込まれた草の跡や痕跡を見る限り、足はかなり小さく、体重も軽い。


 これが速さの秘訣なのだろうかと、考えているそのとき。


「――! 音がしない!?!?」


 聞き逃したのか? いやそんなはずはない。ボクは常に聴覚過敏の魔法をかけている。


 これで聞き取れないということは…………


「――上か!!」


 かすかな魔力痕跡とヤマカンを元に、ボクは頭上を携えていた剣で受け止めた。


 ――どうして、ボクは剣を持っているって? 


 ――そんなの、かっこいいからに決まっているじゃないか。


 刹那、その読みは当たり、ボクは襲ってきた敵を確かに視認した。


「――っ! 〜〜〜〜〜〜〜!!」


 ボクは空中にいる暗殺者の攻撃を受け止める――が、それも重く強く速く、今や押し切られそうになる。 


 ここで、負けていられるかよ……! 


「……スライム! ボーール!!」


 ボクはここで隠し球を出した。


 そのままのとおり、スライムをボール状に固め、捕縛術式を施した簡易的な魔道具である。


 しかもこれは相手の魔力を自動追尾するので、咄嗟の反撃に逃げようとした、素早い暗殺者をも捕える……っ!! 


 形勢は逆転、暗殺者は程なくして捕えられたのだ。


「――って、女の子?」


 ボクは縛られた人をじっと見た。年齢は若いだろう、明らかに短く切り揃えられ、どう見ても男の子見えるが、完全に魔力は女の人の色をしていた。



 ボクが魔力探知を覚えて、分かったことがある。


 一つ、有効範囲内は数メートル程度。


 二つ、格上の魔力探知は難しい。(事実ハイン先生を探知することは不可能。)


 そして三つ。あくまで傾向だが、性別ごとに、色の違いが決定的に生まれるということ。



 これは生まれながらのものなので、一生背負っていく業となる人もいる。


 幸い、これは肉体の方の魔力なので、ボクはどの分類的にも女の子だった。


「お主……わしを女子と呼んだのか!?」


 ややじじい口調の人は、驚いた顔でボクに聞いた。


「あ、ごめんなさい。そういうつもりはなくて……」


「素晴らしい!」


 彼女はボクに抱きついた。


 ――え、待って捕縛は? 



「……え、えーっと、それはよかったです……? た、確かに短髪で、一見すると男に見間違える人もいるかもしれないですが、ちゃんと見れば、いえ見なくとも、わかります」


 ボクは言葉を慎重に選びながら、次の反撃の糸口を見出す。


 何せボクは抱きつかれ、生殺与奪の権を完璧に握られているからだ。


「そうじゃろうそうじゃろう……わしを初見で、女子と判断したのはお主とお前の父だけじゃ」


 彼女はボクに顔を擦り寄せた。


「え、お父様が!?」


 お父様……昔は大変だったんだなあ……


 ――ていうか、その因縁をボクに持ってこないでくれます? 


 しかし、ほのぼのとした雰囲気も次の一言で途絶えた。


「――お主も、わしのような発達しておるからのお、将来はよく間違えらえれるかもしれんな」



 ――ぶちっ。と何かが切れる音がした。



「――スライム、魔剣モード。……刻印、最上位5大魔法。プロメテウス・アクエリオン・ワイバーン・ガイア・アマテラス。……神技、オールドゼウス」


 ボクは握っていたスライムに魔力を込め、無理やり反撃に転じた。


 許さない……ユルサナイ! 


「ボクを、ペチャパイ貧乳やろうって言ったかあああ!」


「言っていない!」


 形勢逆転、完全にボクの優位だ。


「――確かにボクは胸はないよ? でもまだ10歳じゃん! 世の中には完全に頭の悪い設計者もいるけど、ボクは発達が遅いだけだ! それを……さも知ったかのようにボクを永久認定するし……ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス、お前を殺す!」


 しかし頭が真っ白だ。


 ボクの刃は、


 大地を削り、


 空気を削り、


 天をも削り、


 完全に彼女を断絶する――っ!!


 ――


 ――――


 ――――――


 ――――――――


 刹那、ボクの暴走は途絶えた。



「……神技。絶剣」


 ――――――――


 ――――――


 ――――


 ――

まだ続きます。

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