23:新たな教訓、ですか?
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また2022年12月13日から、ツイッター(@Yumiera_naro)も始めました。
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「――これで、栄典授与式を終わります。皆様大きな拍手を!」
ありがたいことに、たくさんの貴族や商人、学会でも名高い先生など、有名人が揃って大きな拍手をしてくださりました。
――意外だったけど、授与式といっても、国王様からのありがたーいお言葉にお礼を述べたり、王様と少しながら世間話をしたりするだけで、肉体的には楽なものでしたわ。でも、王妃様にスライムファンデ―ションを実演するのはなかなか息を呑んだわあ。
ああいうことは事前に言ってくれないと。もう、ちびりそうでしたわ。
でも結果、喜んでくださって安心したわ。
王妃様も去り際に、「あとで買いましょう」なんていうお言葉をいただいたわ。
うふふ。ぶっとい顧客げっと〜♪
しかも王家はめちゃくちゃ優しいから、いろんな服を恵んでもらったわあ。
そんなものでいいのか、と何度も聞かれたけど、これが、いいんです。
ということで♪ カッワイイお洋服もゲット〜♫
そんなウキウキで、応接間に戻ろうとしたら、たくさんの人に質問やら、勧誘やら、数えきれないほど囲まれましたわ。めんどくさいから、少々手荒に、魔法で逃げましたわ。
今は、ちょうどいいところにテラスがあったから、夜風を浴びています。
「……月が綺麗だな。オーウェンス。久しぶりだ」
「――っ! え、ええ。ユリウス様。お久しぶりです。半年ぶりでしょうか?」
「ああ、正確には半年と1週間、23時間だな」
「そ、そうでございますか……」
なんで心地いところに、こいつくるんだろう? さっさと退散させて参りましょう。
「――では、もう夜もふけてきますので、失礼させていただきますわ」
「待ってくれ」
ユリウスは真剣眼差しでボクを見つめた。
「はい。どうしました? あ、もしかして、ファンデーションのことですか? それでしたら後日……」
「いや、それはいい。もう見て完璧に理解した」
「そ、そうでございますか……」
食い気味に答えるから、ボクは気圧されて、つい生返事した。
「――その、私は! …………来週、君の学校に転校する」
「そのことは父上よりすでに聞いておりますわ。また仲良くしていただけると、嬉しいですわ。では、これにて失礼させてもらいます。おやすみなさいませ」
「そ、そうか……おやすみ」
ボクは魔法で夜に溶け込んだ。
○○○
はーダルかった。
どうして学校以外でもユリウスに会わにゃならんのだ。ボクは一刻も早く寝たい。
……仮に、これで残りの二人来たら許さんからな! あとで絶対復讐してやる!
ボクは固く決意した。
「――ム、オーウェンス様。どうしてここに?」
何気なしに立ち寄ったお庭にはフェーリがいたわ。はい、ユリウス。死刑かくてーい。
「い、いえ。別にこれといった意味は……」
「そうか……この庭も綺麗ですよね」
「そうですね。庭がお好きなのですか?」
「好きというわけではないですが……でも、学園の庭が一番す、好きデス」
フェーリの言葉は、なぜか終わりがカタコトだった。
「そういえば……僕、絶剣の弟子になったんです。それでミドガルド学校にも転校できて……本当に嬉しいです」
「あの名高い絶剣様と師弟関係になったのですか。それはたいへn喜ばしいことですわね」
「はい。ではそろそろ、夜もふけますので……おやすみなさい」
このとき、そう申し出てくれたのはフェーリだけだった。
○○○
「――あの、オーウェンス様……」
「もうわかっていましたわよ……」
「え?」
少し気分が良くなったと思ったらまたこれかよ。ボクは嫌そうに、いえ。何もなかったように笑顔で返しました。
「――なんでございましょうか? スライムファンデーションのことでしたら、またの機会にさせていただけると……」
「いや、その件ではなく……個人的な話で……」
「……もう夜がふけています。明後日、学校の日ではだめでしょうか?」
「え! どうしてそのことを!?」
ほらな、どうせそのことだろうと思ったよ。
「父上より、聞きましたわ。今後も友好な関係を気付けると嬉しいですわ。……では」
今日の学んだこと。終わりよければ全て善しというように、終わりが悪ければ、例えその前が最高でも後味は最悪なのである。




