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22:気怠い……おっと失礼。謁見ですか?

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感想や質問は励みになります! 是非是非。 

また2022年12月13日からツイッター(@Yumiera_naro)も始めました。

こちらのフォローも差し支えなければ。

 国王直々の授与式があると言うことで、ボクはさっきまで大量のメイドさんに囲まれながら、おめかしをしてもらっていた。


 ……この謁見にはいいところと悪いところがある。


 まずはいいところ。――ヒャッホウ! なんでこんなにカワイイ服たくさんあるの!? さっすが王家じゃーん。ボク好みの服しかなくて、2時間も着ていく服選びに悩んだよ……しかも、好きなもの持って帰っていいってマ? えーどうしようかなあ〜……。今来てるこの服は確定でしょ。それにこれとこれとあれと……――あ、あの淡い水色のドレスもいい! そこのカチューシャも! 


 ……コホン。と言うふうに、調子に乗ったらリリィに怒られてしまった。悲しい。


 でもしょうがないじゃん? 王家のメイドさんたちは愛想笑い半端なかったけど、こんなにカワイイ服を揃えている王家が悪いんです。はい。


 …………そして悪い点。しょーじき。これで全ての喜びが消え失せました。


 どうしてって? はは、そりゃあ……



「――なんで! あの3人組がこっちに転校するんだよおおおおおお!?!?!?」



 今日、謁見の連れとして、お呼ばれした父上に告げられました。来週から愛しの彼らが転校するからな。と。


 ええ。まさかとは思いましたよ……。


 ――でもまあ? 学園にいた頃に聞いていた話だと、彼らの立場ではこちらに転校することはまずないと踏んでいましたわ。だって、ありえないじゃない。



 ユリウスくんが寮に入ったのも、親離れがしたかったから。


 フェーリくんは、隣国イライザの代表。


 そしてカルバンくんは、なんとボク目当てだそうです。先日、商談した帰りにそうお告げられました。――で、す、が。ボクは誠心誠意お断りしましたわ。だって、ボクが好きなのは……リリィですから。



 ――あらいけない。王家がいるとなると、口調がこっちにまで移ってしまいますわね。ご容赦を。


 しかも腹が立つのは、お父様のニヤニヤと「どうだこれが望みだろう」という、あのお顔……っ!! 思い出すだけでも、ぶん殴りたくなってきますわ。


 念のため、ここでもう一度宣言しますわ。



 ボクは誰がなんと言おうと、リリィと結婚します。とうの昔に決めております。




 ――はい、宣言終了。あー、ついでに早く授与式も終わらねーかなー。


 気怠い……失敬。〝光栄な〟謁見ですわ。


「――オーウェンス様、失礼します」


「リリィ……!」


 ボクはすぐさまリリィに抱きついた。


「――あー! 早く帰りたいよーー! なんでみんないるの? ボク、断ったんだよ? 彼らは事情があるから、いいって。すごく、婉曲的にだけど、断ったのよ。なのにどうして来週から、彼らと対応しないといけないんだよ〜〜!」


 ボクはリリィの大きな胸元を濡らした。


「…………よしよし。オーウェンス様はなんにも悪くありませんよー」


 こういうときのリリィはいつもよりボクに甘い。ものすんごいバブみを刺激される。


 はあー、母性感じるわあ…………。


 しかし、ボクの甘いひとときは、ノックの音によってすぐかき消された。


「――失礼します。オーウェンス様でしょうか? そろそろお時間が近づいております。準備をしろ、と。ロールランド様が」


「ありがとうございます。もちろん怠っていませんわ」


 ドア越しに、ボクは完璧な淑女として応対した。だが内側ではボクの目は赤く腫れ上がっている。とりあえずお父様をしばきあげるのは脳内だけにして。


「――じゃあ、行ってくるね」


「オーウェンス様」


「なに――っ!?!?」


 突如、ボクはリリィに抱きしめられた。あまりのことに、ボクは思考が停止する。


「は、はわわ……り、リリィ、どうしたの?」


「……………………」


 リリィは何も言わず、ただボクを強く抱きしめるばかりだ。……色々と柔らかいとこが当たって……その、ふかふかだ……。


「あ、あの……リリィさん? これは一体どう言うことデスカネ?」


 幸せホルモン! セトロニン。オキシトシン。βエンドルフィン。が過剰供給されていますわあ……。


「――迷惑ですか?」


 リリィは不安な声で聞いた。


「ううん! め、迷惑じゃないよ。全然むしろ時間が許す限りこうしていたいぐらいだ」


「……もう、時間が近いですね…………」


「そうだね……」


「――最近、変なんです。オーウェンス様を見ると恥ずかしくなって、オーウェンス様が他の異性……ましてや同性にさえも、どこか胸の奥がキュッと締めつけられるんです……これって一体なんなんでしょうか?」


「なんだろうって……」



 突然だが、オーウェンスは、前世から今まで人とろくに関わってこなかったせいで、人の感情というものに、いまいちよくわかっていない。転生先の使用上、完璧な淑女対応はできるものの、それは、機能であって中身は空っぽだ。

 察しのいい人ならリリィがオーウェンスに恋をしかけていると気づくこの場面でも、オーウェンスは違う。こんなにわかりやすいサインにも気付けないもである。


「――なんだろうね……? 病気かな?」


「……いえ、ちょっと違うような……オーウェンスといるときだけなんです」


「何それこわ。今度医者に診てもらおうよ」


「そうですね」


 よって、彼らが結ばれるのはもう少し先のお話。


「――ありがとう。ちょっと元気湧いてきたよ」


「いいえ。こちらこそ無礼な真似をしてすみません」


「いいって。それじゃ、行ってくるね」


「行ってらっしゃいませ。その栄光をしかと目に焼き付けておきます」


 ボクは足取り軽く、会場に向かった。

土日は5本配信です。詳しくはプロフを。

お楽しみに。

フォローやいいねもよろしくお願いします。

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