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19:いざ。カルバン商会へ、ですか?

面白いと思った方は、いいねブックマークしていただけると見逃すことなく閲覧することができます! 何卒何卒。

感想や質問は励みになります! 是非是非。 

また2022年12月13日から、ツイッター(@Yumiera_naro)も始めました。

こちらのフォローも差し支えなければ。

 差出人:オーウェンス=クーデリカ。



『拝啓 カルバン商会様へ。初秋の候、ますますご清栄のこととお慶び申しげます。この度、新たな商品を開発してまいりました。成人女性を対象とした、スライムファンデーションを作成しました。これは前回のアーティファクトと違い、魔石を使わず、少しばかりの魔力を込めるだけで、美白やハリ、ツヤ、さらには肌の健康改善までをも思い設ける商品となっております。まだ試作段階ですが、パッチテストやハイン先生に安全性を確認してもらっているので、こう言った心配はないかと思われます。また、第一王子のユリウス=ネーゼ様の従姉妹、マリィ=ネーゼ様にも、ご好評をいただきました。後日、現物をお見せしたいので、伺ってもよろしいでしょうか? 都合の目処が立ちましたら、ご連絡お願いします。ではまた、お目にかかれますことを心待ちにいたしております。 敬具』



 この一通の手紙で、カルバン商会はより一層、落ち着きをなくしていた。


 書類は散らばり、あちらこちらに別々の指示が入る。大量の人が行き来し、中にはぶつかっているものまでいた。こんにちのカルバン商会はこんな感じだ。


「どうしてもっと早く届かなかったんだ!」


 会長のシフォン=カルバンは社長室の机を叩いた。


 オーウェンスの父、ロールランドに負けず劣らず偉丈夫だが、その剣幕は野獣の眼光に等しい。



 手紙が直接彼の元に届いたのは、オーウェンスが郵便ポストに出して、1週間後のことだった。オーウェンスはカルバン商会を大躍進させたいわば、VIP客だ。彼女が持ってくる商品は必ずと言っても、繁栄する。それは、2つしか世に出されていないアーティファクトシリーズの売り上げを見ても一目瞭然だった。常時、生産が追いつかず品切れ殺到、開発所を新規建設、の繰り返しだ。



「あれほど彼女のことは逐次報告しろと言っただろうがぁ!!」

 シフォンは秘書に向かって、書類を投げ飛ばす。

「も、申し訳ございません!! できたばかりの王都支部のほうではまだ通達が回っておらず……」


「――まあ、良い。して、返戻はしたのだろうな?」


「はい。至急、王都支部のものに対応させることにしました。日程はええと……明日の17時。彼女の学校終わりの時間にしました」


「ふうむ……17時、か――急遽、支部の方に回してくれ。『私が対応する』とな」


「え! 会長!? しかしここからは12時間程度……着くと言ったら昼になりますよ!?」


「それの何が悪い。そもそも、カルバン商会をここまでのし上げてきてくれたのは紛れもない彼女だぞ? 会長の私が直々に応対しないで、何がおかしい?」


「それもそうですが……無茶すぎます!」


「――よし、馬を回せ! 向かうは王都だ! あの小さくも、恐ろしい彼女の元へ行くぞ!」



「――待ってくれ! 親父!!」


 話を聞いていたらしいクライムは、ドアを思いっきり開け、何かを決意した顔を見せた。


「どうした我が息子よ。今は忙しい。またあとにしてくれ」


「そうじゃないんだ! ……お、俺も、連れてってくれないか?」


「――どうしてだ? お前には全く関係ないことだと思うのだが?」


「……っ。そ、そんなことはありません! 仮に、オーウェンス様がライバル商会にも持ち込んでいたらどうします? もうすでに1週間が経過しているのです。全くおかしくありません」


「……それは……――しかし、お前を連れていく理由にはならない」


「俺なら! オーウェンス様と良好な関係を持っている俺なら! オーウェンス様を踏みとどまらせることもできるかもしれない!」


「……これは遊びではない。ビジネスなのだ。ゆめゆめそのことを忘れてはいけないぞ」


「…………っ!」


 〝これは遊びではない。ビジネスなのだ〟父の最も大事にしている言葉の一つだ。確かに、俺の本心はオーウェンスを踏み止まらせることではない。もちろんそれも大事だが、俺はただただ、オーウェンスに会いたい。会って話したいのだ。


 こんなところで挫けてはいけない。


「――お願いします! 俺を、オーウェンスのもとへ、好きな人の元へ連れて行ってください!!」



 クライムは土下座した。その思いを真意を、ただ誠実に告げたのだ。



「……お前は、オーウェンスを愛しているというのか?」


 親父は、相手を品定めをするいつもの目をした。


「はい! お慕い申しております」


 曇りなき眼で答えた。


「……御者に伝えろ。俺の息子も同伴する、とな」


「は、はい! 直ちに!!」


「お父様……!」


「気にすることはない。かつての俺にもそんな時期はあった。……無事、添い遂げれるといいな」


「もちろんでございます!」


 ――かくして、カルバン家はますます円満になったとさ。

カクヨムコンの方にもあげました。こちらの応援も宜しければ、お願いします!

また、明日からは日程が変更しております(下記参照)。ご注意ください。

「平日:3本(6:00、13:00、19:00)

 休日:5本(6:00、9:00、1300、19:00、24:00)」

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