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18:新作、スライムファンデーションでございます。いかがですか? 

面白いと思った方は、いいねブックマークしていただけると見逃すことなく閲覧することができます! 何卒何卒。

感想や質問は励みになります! どしどしお願いします! 

また昨日からツイッター(@Yumiera_naro)も始めました。こちらのフォローもよろしくお願いします。

「マリィ様。おはようございます」


「ご機嫌よう。オーウェンス! ……あなたってこんなに肌綺麗だったっけ? スベスベでモチモチ、それに綺麗な白い肌だわぁ……」


 マリィはボクの肌をプニプニと触って、終いには肌をすり寄せてきた。


「ちょ、マリィ様……離れてください」


「あら、つい。申し訳ないわ! ところで、どうしてこんなに肌が綺麗なのかしら?」


「新しく開発したファンデーションの効果です」


「まあ! 素晴らしいわ! 早速見せてくれるかしら? マリィが第一人者になるの!」


「もちろんでございます。こちらを……」


 ボクは透明な液体を詰めた平べったい瓶を渡した。まだ試作段階なので、高級なあしらいはなく、簡易的なものしか用意ができなかった。


「…………これは?」


 マリィは訳もわからず、渡された小瓶を見つめた。


「はい。これはファンデショーンでございます」


「でも、オーウェンス。マリィが知っているファンデーションってもっとこう……パフパフとしたわたがついているはずよ? それにこれは液状だし……」


「――はい。その見解に間違いはございません。しかし、今回開発したファンデーションは全く新しく、今までの常識をぶち壊す商品となります」


「ファンデーションの常識を……ぶち壊す……?」


「ええ。このファンデーション……通称、スライムファンデーションは、スライムの魔力効率に着目し、幻覚魔法を刻印することで生み出された全く新しいファンデーションでございます。魔力が少ないものでも、発現するように施しております。また意外なことにスライムファンデーションには保湿効果も含まれ、美肌にも期待ができるのですよ。――もちろん。パッチテストはしておりますので、安全性も保証しますわ」


「え? ちょっっっっと待って。オーウェンス?」


 マリィは焦った表情で、ボクの気持ちい高説に水を差した。これからがいいところなのに。


「――はい。なんでしょう?」


「これって……まさかとは思うけど……魔獣……スライムを原料としていないわよね?」


「いえ。スライムです。純度100%でございます」


「う、うううううううう嘘よね!?!? オーウェンス頭大丈夫なのかしら!? 魔獣を取り込むなんて、そんな末恐ろしいこと……」


「――正確には、魔獣でも、スライムでもないのですよ」


「…………はいぃ?」


 マリィは今まで見たことがない怪訝の表情をした。


「私、すごいことを発見したんですよ! 魔獣の倒せば消えてなくなる長年不思議とされていた問題に、解決の一打を見出したのです! 先ほど説明したように、スライムは魔力効率がかなり高く、この世界で存在する魔道具でもっとも効率の良いモンスターなんです! 魔力を込めれば、術式がすぐに発動し、色によって、種類の見分けがつくほど、そもそもの魔力量が高い……これは、今までに見たことのない発見です!」


「え、ええ。そうね……」


 マリィはややボクの気迫に気圧された。


「そ、れ、に! スライムと言っても、正確には、スライムではないのですよ? 確認したところ、魔獣の特徴は完全に消し去っておりました。今やこれは呼吸に関わるミトコンドリアと同じです」


「ミト、コンドリア……? って何かしら?」


 あ、いっけね。前世の例えは通じないんだった。分子単位の生物学は進んでいないだろうし。そもそも、体内に精霊を宿しているという説が正しいなら、本格的に構造が違うかもしれない。


「えっと。つまり! これはスライムであって、スライムでないのです! スライムは事故増殖・捕食などの特徴がありますが、これには全く見受けれらませんでした。……おそらく、スライムの元の術式が剥がされたことによって、本来の機能を失ったものによるかと」


「な、なんだかよくわからないけどすごいのだけはわかったわ!」


「本当ですか!? では、マリィ様。一度レビューしていただけませんか?」


「――え?」


「ほんと、一回だけ、はじめだけでいいのです。痛くもないし、むしろ冷たいだけです。慣れてしまえば問題ありませんよ」


 なんか、ワルイコトを誘っている大人みたいだ。


「え、ええ……マリィは、す、少し用事を思い出したので……これにてお暇させていただきますわ」


「――逃しませんよ……バインド」


「わっ! きゃああ! 浮いてる! オーウェンス浮いてるからぁ!!」


「大丈夫です……最初だけですので…………」


「い、い、いやあああああああああああああああああああ!?」



「――いかがですか?」


 ボクはマリィの顔に例のものを塗りたくって、そして手鏡を差し出した。


「ーーうっ、うっ。もう、いじめないでぇ……」


「…………」


 やっべ、王家泣かすとか、ボク死刑じゃん。マリィ様ガチ泣きだし。


 やりすぎたかなあ……でも、マリィが自分から言ったんだし、悪いのはボクじゃない。うん、来世ではそう言い訳をしよう。


「――ま、マリィ様! 見てください! ……ほら!」


 刹那、マリィの顔についてあった粘液は少し魔法特有の光を放ったかと思うと、みるみると溶け込んでいき、マリィの肌をみるみると若返らせていった。ボク他のような10歳児でもその違いがわかるほどに。


 肌は透き通るような白肌に、かといって健康さを失わないツヤやハリ、生まれたての赤ちゃんの肌に逆もどりしていった。


「こ、これは……?」


「見てください! 成功です! これがスライムファンデーションの効果です!」


「……幻覚魔法で、マリィを魅せているわけではないのよね?」


「疑うなら調べてくれて構いません。幻影魔法で酸化チタン代わりに光を屈折させ、光魔法で少しばかり、白の発色をよくしただけですよ」


「……そうね! オーウェンスがマリィを騙すわけなんてないものね! 疑って申し訳ないわ!」


「いえいえ」


 ようやくこの商品の有用性をわかってくれて何よりだ。


「――それにしても! これはとても素晴らしいわね! マリィでも変わったと思えるぐらい若返っているものの! 商品化はいつ? たくさん買うわ!」


「まだ試作段階ですので、もう少しかかると思います。まだカルバン商会にも持っていっていないので」


「――ふぅん……カルバン商会にも、ね……」


「はい?」


 カルバン商会に持っていって、何か不都合なことでもあるのだろうか? 


「……てことは、本当にマリィが第一人者、ということかしら?」


「はい。パッチテストのリリィと私を抜けば、そうなりますね?」


「――てことは、マリィが一番大事?」


「……? ――まあ、そういうことになりますね」


 ていうか、マリィが言い出したんじゃないか。


「そっかぁ……マリィが一番、なのかあ…………」


 マリィはこころ心あらずという感じだった。

作品の進行上、スライムファンデーションに刻印されたのは、幻覚魔法と少しばかりの光魔法に変更しました。すみません。(前話の内容もすでに変更済み)

日毎に考えていますので、こういったことが多く続くかもしれません。不審に思った点はご指摘していただけると幸いです。

今後ともよろしくお願いします。

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