表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/68

14:お勉強会ですか?

面白いと思った方は、いいねブックマークしていただけると見逃すことなく閲覧することができます! 何卒何卒。

「オーウェンス! ここがわからないのだけど……」


「――ああ、マリィ様。これは、ここをこうして、そしてこの公式に当てはめれば完成できますよ」


「なるほど! わかったわ! ありがとう!」


 マリィもやはり英才教育の賜物だろうか、飲み込みと理解能力も凄まじく早い。

 さすがはユリウスくんを目指すものだ。


「――オーウェンスって本当に頭がいいのね! 羨ましいわ」


「いいえ。そんなことはありませんわ。マリィ様の方こそ、(わたくし)が少し教えただけで、すぐに理解されているではないですか」


「――あの、オーウェンス様」


「ん? なんですか? リリィ」


「いえ、その……なんで私までご一緒させてもらっているのですか? 私はオーウェンス様のメイドですから……」


「メイドだろうと、なんだろうと、リリィがミドガルド学園の在校生には変わりないわ。それに……最近あんまり勉強が上手くいっていないらしいじゃない」


「うっ……なぜそれを…………確かにそうですが、貴族の方とご一緒するのは少し気が引けます」


「マリィは気にしないわよ! リリィ、だっけ? あなたもオーウェンスのメイドである以上、オーウェンスの顔に泥を塗るような真似はしてはいけないわ!」


「マリィ様。確かにそれはそうですが……」


「――なにマリィの言ってることが間違ってるって言いたいわけ?」


「い、いえ! そんなことは!」


「そう。ならリリィもここにいるべきだと思うわ!」


「わ、わかりました……」

 リリィはマリィの権力に怯えて、すぐに自分の勉強にのめり込んでしまった。


 元々、リリィは頭は悪いわけではない。前の学校でも常に上位をキープしていた。ただ、この学校の進度が尋常じゃないぐらい早いだけだ。ここで潰れてしまっては困る、というのが学校側の言い分なんだろうが、このままでは生徒全員がダウンしかねない。


「……ありがとうございます」


 ボクはマリィにお礼を言った。


 マリィは普段は権力に甘えるなんてことは絶対にしない子だ。先の行動はきっとリリィのことを思い遣ってからなのだろう。


「なんのことかしら」


 マリィは頬を染めてそっぽをむいた。



「――あの、オーウェンス様」


「どうしたのリリィ? ……ああ、短縮魔法の展開式ね、これは共通項を見出してみればいけると思わない……?」


「…………! なるほど! わかりました。ありがとうございます!」


「いいえ」


「…………オーウェンスとリリィって本当に仲良いのね」


「「へ?」」


 マリィの意外な言葉に目を丸くする。


「普通メイドと主人ってそこまで深く関わらないものだもの。いえ、仲がいいのはとってもいいことなのよ!」


「……マリィ様のご家庭ではどんな感じなのですか?」


 ボクはあえて会話の趣旨をずらそうと試みた。この子、めちゃくちゃ勘がいいぞ。


「マリィ? マリィのところは、そうね……」


 マリィは少し黙って、考えたのち、


「あんまり、メイドとは話さないかしら!」


「――う……すみません。差し出がましい真似を」


 リリィはすぐに謝罪した。


「いいのよ。他所は他所、うちはうちだもの! ただ……マリィはともかく、他の貴族はあんまりよく思われないかもしれないから、控えた方がいいと思うわ!」


「ご忠告ありがとうござます。深く心に刻んでおきますわ」



「ええ! でも……」


 刹那、マリィはリリィに抱きついた。


「マリィとは仲良くしてね! リリィ!」


「は、はいぃ……」



 抱きつかれたことに満更でもないリリィを見て、ボクは少しジェラシーな気持ちになった。


   ○○○


「――今日はありがとうございました。今後もよろしくお願いします」


「気にすることないわ! マリィとオーウェンスの仲でしょう! それに……リリィもよろしくね!」


「――は、はい!」


 リリィはさっきのことを思い出したのか、モジモジしていた。


 ボクはマリィの馬車を見送った。


 ボクとリリィは寮(相部屋ではない)だがマリィは後宮住まいなのだ。相手が王家である以上、お見送りをするのは筋だろう。

 幸い、門限を過ぎていても、寮母さんは今日だけ寛容だった。



「――さて、リリィ。今日は私の部屋に来なさい」



「へ?」


 ボクは久しぶりのマジだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ