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第八話 地獄の部活動

大抵の部活動は中学3年の夏には終わらせてもらえるけど、吹奏楽部はまだやらなきゃいけない。

しかも今年は体育祭でマーチングという面倒くさい行事が待っている。

先生が来るまでぼーっと楽譜を眺めていると野田さんに声をかけられる。

「小春氏ー宿題どうー?いつかノート写させておくれやす」

この人は学年最下位に近い。模試の結果もひどいらしい。無事卒業できるか心配になるレベル。

「いいですけど、ちゃんと勉強してくださいね、中卒とかならないでくださいよ」

「ありがてえ~高校でもよろしこ」

いや、多分違う高校に行くと思われるけど…


私が吹奏楽に入ったのは早智子ちゃんが入るといったから金魚の糞みたいにくっついていっただけだ。それに体育会系の部活に入ったりなんてした日には間違いなく死ぬ。

私は昔からドッチボールすら苦手でバスケとバレーボールに至ってはいつもお荷物扱いで死んでるから吹奏楽部でしかもフルート三番手でよかった。

最初はトランペットにする気満々だったけど、音に責任感がある楽器だと感じて速攻でフルートに切り替えて助かった。居ても居なくてもさほど分からない音だから、ありがたい。


今日の演奏曲はよく分からない外国の曲だ。

これを演奏しながら体育祭はマーチングをしなければいけないという苦行。

本当は演劇部に入りたかったんだけど、この学校には演劇部がない。


入る高校は決めてある。

県内で一番成績のいい人が集う高校。

そこには演劇部もあるのでこれから楽しみだ。


戸がガラガラ開いた。

練習の時間だ。

今日は早めに終わるといいなあ。


「はい、始めるよー楽器と楽譜の準備を」


先生が教壇に立って、指揮棒を用意する。

「今日は交響曲3行目、フルートのところからね」

嘘…全然練習してない…

ここのところ、颯太君に振り回されてそれどころじゃなかった。


「じゃ始めるから吹いて」


先生が指揮棒を振る。

1番手2番手それから私のお粗末な音…。

「3番!!今まで何してきたの!?そんな音ならここから出て、廊下で練習しな!」

「ご、ごめんなさい…先生…」

「じゃあ、もう一回、今度はこの曲の最初の部分から」

初めのトランペットから音程がずれてる。

他の楽器もなんとか持ちこたえてるような音程。なんの曲なのこれ…。

そして相変わらず野田さんのバリトンがうるさい…。

先生が指揮棒を叩きつける。

「今から自主練習。私はあなたたちの曲に指揮棒は振れない」

そう言って、先生は部屋を出て行ってしまった。


みんなが楽譜と譜面台をもってゆっくりと部屋を出ていく。

ああ…面倒くさい、辞めたいけど辞めたいって言ったら滅茶苦茶面倒くさくなるんだよなこの部活…。

「小春ちゃん、今の音はないよ…練習しよ」

声をかけてくれたのは美紀ちゃん。

フルート2番手の美紀ちゃんがそっと教えてくれる。

彼女はフルートとピッコロを弾きこなす超人。

「ごめん…美紀ちゃん、私最近忙しくて…」

「分かる!マーチングとか面倒くさいよね…それより勉強したいよね」

いや…勉強は半分は終わってるし…それより友達と遊びたい、薄い本が読みたい、ネサフしたい。中三の夏休みは貴重だ。

早智子ちゃんが現れる。彼女はクラリネットの天才。将来の夢は保育士になることらしい。

「かぶる部分一緒に練習しよー」

とありがたい一声だ。さすが早智子ちゃん、達也君も惚れる訳だ。

「うん、練習しようありがとう早智子ちゃん」


そしてどうにか午前中には、先生が戻ってきてくれて、地獄の部活は終わった。


*


溶けかけのバニラアイスと麦茶を飲みながら、今日はみなと勉強中だ。

「みなー吹奏楽部辞めたい…」

「およよ…私バレーボールやからもう引退したけど、吹奏楽部は体育祭もやるみたいんやもんね」

そう、吹奏楽部は楽そうと入部した私はとんだバカだった。

まず楽譜が読めない。

メロディラインもよく分からない。

まさにお荷物のフルート3番手、いっそやめたほうがありがたいのではないかと思うレベル。


「それより、春ちゃん」

「なにけ、みな」

「花火どうやった?」


みながキラキラした目でこちらを見つめてくる。なんて言えばいいのかな…。


「まあまあ、楽しかったよー!田畑君も楽しいって言ってくれた」

「…やばいね、春ちゃん、それはもう完璧に惚れられてるよ」

「うーん、なんだかね、不思議なんだけど、田畑君の家入りたい時と入りたくない時ある」

「そうなんかーでも春ちゃんの好きにしたらいいと思うよ。花火いいなあー私も早く彼氏作って一緒に花火見たいわー」


みなは可愛い顔立ちでほんわか癒されるタイプだから高校で間違いなく彼氏を見つけるだろうと思う。


「うち、さきちゃんみたいな度胸ないわー路上であんな…」

「さきちゃんのは極端すぎるやろ…田畑君もさすがに無理やりはしてこんと思うー」


そうなんかー…怖いなセックス、やりたくない。


「なんか最近さ、田畑君の愛情が深すぎると思ってきて、その愛情が重すぎるとしんどいんよ…」

「んーよく分からんな、それより数学教えてくれ」

さすが、みな。よく分からん話は完全にスルー。


早速ドリルを開いて数学を教えていく。

「すごい春ちゃんめっちゃ分かってきたかもやわ」

一昨日田畑君が教えてくれた通り、みなに教えるとすごく分かりやすいと言われた。


もはや田畑自体が真剣のゼミ、赤〇先生…いや×〇先生…


しかし高校に入ったら国語、地理歴史、公民、数学、化学、芸術、保健体育が待ってる…怖いな…頭爆発しそう…

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― 新着の感想 ―
 今さらですが再び読ませていただいております。  今のところ危惧していた展開になることはなく一安心。ですがいつそんな話になっていくのかと少し冷や冷やとしながら読んでおります。できれば全てに責任のとれる…
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