第七十二話 勉強が分からなくなってきた
今日の一限目は厳しい数学の先生だ。
「じゃあ、教科書を開いて、問題を解いてもらうぞ」
先生の板書きする音が聞こえる。
単項式 −5ax2y について、次の問いに答えよ。
(1) 係数と次数を答えよ。
(2) a について着目したときの、係数と次数を答えよ。
(3) x とy について着目したときの、係数と次数を答えよ。
…???
「じゃあ、この問題を立花」
「は、はいぃ」
また周りがドッと笑う。
壇上へ上がって問題と向き合う、えーと答えは、答えは…
震える手でチョークを落とす。
「すみません、分かりません」
「なんでこんな基礎的問題も分からないんだ立花!!」
「ごめんなさい…!」
「俺、問題分かります」
颯太がすっと立ち上がって問題を代わりに解いてくれた、嬉しい…
実をいうと、またkのことについて考えてて頭がパンクしてたところなんだよね…
数学の担任の先生厳しい…中学の担任の社会の先生は優しかったのに…
しかしまったく分からない…中学の時は解けたのにどうして…
お母さんに申し訳ない…
*
翌日ジョイジョイフルで演劇サークル同期と先輩で勉強会をした。
「小春、本当に数学苦手なんだね」
マチさんが笑う。
「だって、こんなこと将来の夢に要らないです、なんで理数系を勉強しなきゃいけないんでしょう?」
「小春の将来の夢は?」
かわかみさんに聞かれる。
「えーと、お笑い芸人か、舞台俳優か、看護師か、漫画家か、小説家です」
みんながドッと笑う。なにか変なこといったのかな私…
「欲張りすぎだよ小春…何か一つにしなさい」
楓が笑う。
「いや、夢はいっぱい持ってたほうが人生楽しいよ…!頭空っぽにして夢詰込みましょ!」
「それ龍の玉じゃん~」
みんなでゲラゲラ笑いあう。勉強会のはずなのに、気づいたらゲラゲラ笑う溜まり場になる。ソフトドリンクやスープをおかわりしまくりながら4時間は勉強会をしていた。
*
そのまら翌日私は、マック的ドナルドで颯太とポテトを分け合いながら勉強していた。
「颯太ー何一つ分からないよーしんどいよー」
「まさかここまで小春が出来ないとは思ってもなかった」
よっぽど理数系に興味ないんだな…と颯太が呟く。
「だって夢に関係ないんだよ!?やる必要ある!?」
「まあ…ないとは思うけど、0点続きはまずい、留年するぞ」
「りゅ、留年…」
やばいわ、これは…私頭がいいと思ってたけど実は悪いの…助けてゆうちゃん…
いやゆうちゃんは今頃高専でさらに頭のいいこと教わってるんだから助けてもらうことはできない…
「颯太、数学、理科、化学、物理、徹底的に教えて」
「お、おう…急にどうした?」
「私、せめて赤点回避して進学するわ…演劇サークルを続けなきゃあるまいからな…」
「そうだな、とりあえず分かりやすいようにノートにまとめておいてやるからそれ見て勉強しろな」
「ありがとう…颯太」
どうして颯太はこんなに私に優しいんだろう。
「颯太、私に惚れてもいいんだよ?」
「いや、…それはまだいい」
まだってどういうこと!?




