第六十二話 いざ勝負!
公立一般入試前日の夜。
案の定私は眠れなかった。
親に迷惑をかけたくない一心だった。
颯太からラインが来る。
「小春、寝てないんだろ」
「うん、寝てない」
「体を横にして目をつぶってみ?少しは体休まるから」
「ありがとう颯太」
会話は終了
*
お母さんの呼ぶ声より早く目が覚めると気持ちがとても楽になっていた。
「お母さん、おはよっ」
「よく寝れた?」
「うん!すごく気持ちが楽だよ!」
受験会場までお母さんに送迎してもらう。
「お母さんーなんか緊張するよー」
「大丈夫やちゃ小春なら」
車から降りるとほらもっとちゃんと、しゃんとしよっと姿勢を正される。
私って基本猫背だからな
そのほうが楽だし。
試験会場はすでに暖房が効いてて暖かかった。
いざ勝負!!
そして何故か隣の席に座っている颯太。
「それでは、ぺんと消しゴムはもったでしょうか?開始の合図があるまで問題は開けないでください!
じれったいなあ…
「それではよーい、開始」
とにかく、書きなぐった。
それもこれも真剣のゼミ、友達に教えたところ、颯太に教えてもらったところばかり。
解ける、やれる。
一番偏差値の高い高校へ行ける!
テストはもう終わってしまった。
でもリスニングは苦手だ。
一瞬で理解しろと言われても無理なものは無理。
英検3級も、リスニングテストが駄目で落ちたし…。
とりあえず、結果発表を待とう…!
*
結果発表まで怖くてなんだか不安でお母さんのベッドで寝ていた。
もうすぐ携帯に番号が入ってくる…!
うそ、…受かってしまった!
すぐさまグルチャを開いてみんなの近況を聞く
>みんなー行きたいところ受かった?私は受かったわ!
>みな 受かったよー春ちゃんーありがとうー
>さきちゃん みなと同じ高校行くわー春ちゃんがんば
>友子ちゃん 受かったわ~高専行くから立花あばよ
>智美ちゃん 真衣ちゃん 受かったよーでも春ちゃんと離れるの寂しい><
>佐紀ちゃん 受かったよー春ちゃんと演劇やりたい!
>楓 受かった!演劇やろっ
異性の友達は…
>大野和幸先生 演劇サークル入ろうず
>野田さん 小林と離れて悔しいビクンビクンっ小春氏と演劇をやるしかないキリッ
>一聖くん 春ちゃん、同じ高校受かったよ、演劇やろうね
>達也君 受かった同じ高校
とりあえず、佐紀ちゃんと、楓と、先生と、野田さんと、達也君、一聖君くんが同じ学校だ!
そしてみんな演劇がしたくて仕方ないらしい。
しかし野田さんがこの頭いい高校来れたのが謎すぎる…
今度柳沢京子ちゃんとライン交換してグルチャに入れよう
そしてもう一件ライン
「同じ高校受かった、よろしく小春」
知ってたよ。
それから流れるように時間が経った。
そして…
卒業証書授与式。
まず体育館に集合、なぜか私は颯太の隣。
座席に行き、社会の先生の案内とともに席に着いた。
着席したら、手の位置を整え姿勢を正す。
ここに至るまで颯太はルールを一切無視。手をブラ下げて適当に座っている。
そして偉い人の答辞、申し訳ないけどこれはスルー。
式辞等の中で「おめでとうございます」などのお祝いの言葉に対して、感謝の気持ちを込め座ったまま学年でそろえて礼をする、颯太はもう寝そう…
証書はもたついたけどなんとか受け取れた。
それから校歌斉唱。「有磯の~海の~綺麗さに~泣け」
もうよく分からない…。
教育委員会告辞
『富士見町教育委員会 教育長 常木裕様 お願いいたします。』
教育長さんの言葉でみんな着席。
そしてまた校歌合唱。
ようやく卒業証書がもらえた!…嬉しい!
みんなで卒業証書を持ちながら、たくさん写真を撮りまくる。
「みんなまたねー!」
「およよ…寂しいよ春ちゃんー」
みなが泣きついてくる、私も寂しいのは同じ。
「また溜まり場会おうねー!」
そう言って手を振った!みんな頑張ろうね!高校!!




