第五十七話 セロリが好きだったりもする
翌日。
私は颯太に瞳ロゼリエッタを読んだことと、瞳さんが元婚約者にされた仕打ちを洗いざらい話した。
私の拙い言葉ではうまく伝わらなかったかもしれないけど。
「なにそいつクズだな」
颯太の意見に激しく賛成する。
「まあ、そいつは仕事して金と自分の子供が欲しかったんだろうな」
「それも分かるけどひどすぎるよ…」
「瞳さんすごいな…その状態から回復するなんて神に近いと思うぞ」
そんな男、どこかで結婚しても絶対幸せになれないと思うぞお陀仏、と颯太は付け足した。
「ねー私も瞳さんみたいな神になれるかな」
「なんで小春が瞳さんを目指すんだよ、小春は小春だろ?」
そうだよね、ありがとう颯太。
「しかし瞳さんはダイヤの原石と言っても過言じゃないぞ、今の時代30代で結婚してもいくらでも子供産めるからな。年数から逆算しても30代、30代女は行き遅れババアなんて価値観はクソ、多分もう結婚してるんじゃね?」
「ねー私は誰と結婚するのかな?」
「……さあな、運命って分からないからな」
そうだね…しばらくは考えないようにしよう。
「颯太!私とりあえず、花嫁修業するわ!」
「はなよめしゅぎょう…?」
「いつどこで素敵な男性と巡り合えるか分からないから、今からお母さんに料理を教わってくる!」
「…お、おう」
あれ、私また颯太を混乱させてる?
まあいいか!明日からお母さんの料理勉強するぞ!!
*
翌日。
そろそろ冬休みも終わりそうだ。
お母さんから教わったレシピを持ってフラフラと颯太の家に行く。
「で、花嫁修業の成果はどうよ?」
「えーとね…ノート読んでくね」
【ごぼうの味噌汁】
①ごぼうの皮をそぐ、泥をとる
②鉛筆のようにそぐ
③灰汁をとるみそとほんだし
④味噌とほんだし
【蟹の味噌汁】
①お湯がぐつぐつしたら蟹を半分に切っていれる
②5分煮る
③最後に沸騰させる
【豚汁】
①人参、ごぼう(鉛筆切りななめ)こんにゃく、さといもを先に入れる
こんにゃくは短冊切り
②だいこん切る、入れる(いちょう切り)
③白菜、エノキ、豚汁入れる
★白い茎から先に切って入れる
④白菜の緑の部分を入れてから味噌を適量入れる
⑤ねぎを切って入れる
【カワハギの味噌汁】
①鍋の水を沸騰させる
②カワハギを軽く洗って入れる、灰汁をとる
③味噌と柚子を入れる
【ぶっかけそうめん】
①干し椎茸を戻して細かく切る
②玉ねぎをぶち込む
③醤油を煮てみりん、うどんのつゆ、砂糖を入れる場合も…
【ポトフ】
ジャガイモ
人参
玉ねぎ
ウィンナー
キャベツ
鶏ガラスープ
こんそめスープ
【こずくら煮】
斜めにきって中のものを出す。
醤油、砂糖、みりん
【ピーマンの肉詰め】
ピーマンを半分に切って種を出す
てんぷら粉を付ける
ひき肉を詰める
焼けてきたら、醤油と砂糖で味付け
【かきあげ】
ごぼうほそぎり
にんじん千切り
玉ねぎ適当
桜エビ
てんぷら粉で水を入れてかき混ぜる
フライパン油で出来る
【ポテサラ】
ハム
じゃがいも
きゅうり
マヨネーズ
【お好み焼き】
たまご
お好み焼き粉
キャベツ
お好みで塩こんぶ
【アジの天ぷら】
油をフライパンに入れる
天ぷら粉を入れる
塩コショウを入れて混ぜる適当に
フライパンへ…
【ふぐの煮物】
しょうゆ
さとう
みりん
適当に味付け
【チャーハン】
味の素
塩(入れすぎない)
胡椒
卵
ねぎ
チャーシュー
弱火で卵を落とす
固まってきたら混ぜだす
胡椒ねぎと紹興酒
チャーシューを入れて混ぜる
紅ショウガ
どの料理も弱火からやる
【カツ丼】
①玉ねぎを刻む、水に入れる、しょっぱい時は砂糖を足す。
②火にかけてほんだしを適当に入れる。
とんかつ刻む
醤油と砂糖を適当に入れる
③煮立った頃にとんかつを入れて少し煮る
④最後に卵を二つ入れる
【芋煮】
①里芋四角切
人参いちょう切り
ごぼう鉛筆か斜め切り
しいたけ4等分
こんにゃく
ざっと洗って全部入れる
②ほんだし
みりん
醤油
(適当)
砂糖も適当に入れる
③ねぎ
汚いところを捨てて斜め切りする、入れる
【とんかつ】
①肉を切って胡椒を振る
包丁の背で叩く
②てんぷら粉に浸す
たまご
パン粉
③揚げる
【カレイの煮つけ】
①カレイをお鍋で解凍する
解凍したら一度水を捨て、もう一度水を入れる
②醤油、みりん、砂糖を適当に入れる
中火~弱火で煮る
【目玉焼き】
フライパンの水を飛ばしてから油入れる
【きんぴらごぼう】
①ごぼうを鉛筆切り
②灰汁をとる
③人参の皮ごと鉛筆削り
④フライパンに油、醤油、砂糖、水、みりん、ほんだし 中火
水を入れ10分ほど煮る
【お雑煮】
①ごぼう鉛筆削り
②人参いちょう切り
③鶏肉
うどんつゆ
みりん
しょうゆ
ほんだし
「どう…颯太」
「小春…お前、……がんばったな」
「うん」
「これでいつでも俺に料理が作れるようになったな」
「なってない」
「は?」
「お母さんの言ったことメモしただけだから頭にまったく入ってないよ」
颯太が笑いを堪えている。
なんでそんな笑うの私を…
「でもね達也君が前にね、ようつべで見れば何でも作れるようになるって言ってたよ」
「なんて、番組?」
「まかないの道場!飯!!」
「なるほど、な。小春は嫌いな食べ物ある?」
「…ほとんど食べるけどなすびだけは無理」
「俺もなすびだけは無理」
しなしなした味しかしないから無理と、呟いた。
え…すごい運命的なものを感じる…
「あと苦手なものは?私虫全般!!とくにアゲハチョウの幼虫」
「あー俺は…カエル」
なんでカエルだけ…?
「忍者の漫画の主人公はカエルに乗るんだよ、だから颯太も乗るってばよ」
「すまん、それは無理…」
夏が駄目だったり、セロリが……分かるよ。




