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第二十一話 名前に込められた意味

とりあえず、給食があるんだから颯太の言葉は放置。


二学期末試験に向けて勉強開始…。

分かるんだけど、これをやる意味が分からない問題は嫌いだ。

リトマス試験紙なんて将来にどうでもいいよ…


とりあえず分厚いドリルをもらったから、それを見ながら予習復習の繰り返し。


なるほど…分かるような分からないような…


あ、すごく素敵な英語発見。

Kで見たやつ


『死が二人を別つまで』

Until death do us apart.


まってこれよりもっといい言葉を知ってる私。


『死でさえも二人を別つことはできない』

Even in death, they won't/can't be apart.


*


そう言えば宇宙君はなんで宇宙君なんだろう…

きっと将来宇宙に行ってしまうぐらいすごいことを成し遂げる人なんだろうな。


私の名前の小春は、好き。

だって春が一番好きだから。

颯太の名前も気持ちよくて好きだな。

田畑はちょっとポプテのあー、一面の草みどりー♪

友達もみんな綺麗な名前を持っている。

いいな、いつか子供ができたら私は子供になんて名前を付けるんだろう。

まあ産まないけど。


颯太の名前を付けたのはお母さんなのかな、お父さん?

ちょっと聞いてみようかな…

ラインを開く。


「ねえ、颯太の名前は誰がつけたの?」


即既読がつき、返事が返ってきた。


「死んだ母親だって。種はどこで何してるか知らない」

「種ってなに?」

「俺の父親だよ…」

「ごめん颯太、気軽に聞かなきゃよかった、ほんまごめん…」

「大丈夫だよ、それより勉強はどう?」

「理科と数学さえできれば、もう完璧だよ」

「そっか…一緒の高校、行きたい」

え、颯太と一緒の高校…

「行きたい行きたい!同じクラスに入りたいね」

「大丈夫、俺の金でなんとかする」

え…それって有りなの、…非合法にもほどがあるよ…

「じゃあ、また明日ね、おやすみ颯太」

「…おやすみ小春」


ラインのトークは終了した。


私は颯太の名前の由来が知りたくなって速攻で携帯でググった。


『颯』は、風が立つという文字の構成通り、風が巻き起こることを表しています。


また、訓読みの『はやて』も、急に吹く風である『疾風』を意味する言葉です。風といっても、その種類はさまざま。こもった空気を一掃するすがすがしい風もあれば、力強く吹き荒れる嵐のような風もあります。同じ風の音でも、聞こえ方や印象は全く異なるのです。


なるほど…とりあえず気持ちのいい名前なんだな…

きっとお母さんがつけたんだと思う。

産んでから死んじゃって、あとはお金だけ父親から渡されて颯太の人生はどんなにひどかったんだろう。


想像したら涙が止まらなくなる。


駄目だ、お母さんに小さい頃、散々泣いたんだからもう泣くなとお説教されてしまう。


*


次の朝、私は颯太の元へ真っ先に向かった。

「ねえ、颯太って名前すごく気持ちいい名前だね、いいね」

颯太はぽかんとした表情をした後、別に気にいってないと言った。

「どうして、颯太の颯って文字すごくいいよ!風が巻き起こること、すがすがしい風っていう意味があるんだって。素敵だと思う」

「……小春が」

「え?」

「小春が俺の名前呼ぶとき、すごくいいなと思うときがあるよ」

「えー本当!?嬉しい颯太!」

「そう、その嬉しそうに呼ぶときとか…」

「そっか!これからどんどん呼んでいくね!」

「好きにしろよ」

「うん!」

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