表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/182

第百八十三話 まんPのGすぽッ…奴

次の日、俺は化学の勉強に取り組んでいた。

一定温度において、気体の体積Vは圧力Pに反比例する。この関係をボイルの法則という。

PV=Kは一定、PとVが反比例するということは、Pが大きくなればその分Vは小さくなるということであり、P×Vは常に”一定”となる。ここまでは分かったが応用問題まで手がつかない。思わず大きなため息をついていたら、前の席の三科が振り返って話しかけてきた。

「なになに颯太君!化学ジーマ―でヤバい感じ?」

「…ああ、ちょっとよく分からない…」

三科にプリントを渡すと、三科はふむふむと問題を読み込んで笑う。

「これは温度一定のとき、ボイルの法則が成り立つかんじかなあー問題式に当てはめると答えは1.0Lが正解だと思うけどどうー?」

俺は慌てて回答ページをめくる。答えはあっていた。

「三科…お前本当に化学できたんだな」

「あっひっっでー!俺にも得意な科目ぐらいあるぜ、それよりさあ颯太君相談乗ってくれよ」

「なんだよ」

「俺さあ…順子のこと忘れられないんだよ…」

その言葉にふと最近フラれていたのを思い出した。

「それはお前が他の女に目移りしてたからだろ、自業自得だ」

「ちっげーよ!俺は順子と付き合ってるときは、順子一筋だったつもりだよ!でもある日、いきなり彼氏できたから別れようって言われて…え?俺今の彼氏だろ?みたいな…唖然としたよね」

ああ、そうか。こいつは別れようとも言われないまま別の男を作られたんだな、と気の毒な気持ちになってしまった。

「お前順子のどこがそんなに良かったんだよ?」

「えー?順子可愛いし意外としっかり者だからさあ…忘れられないんだよ、初恋だったから、他のどんな女抱いても順子の事思い出しちゃうしさあ…順子とのファーストキスの味、忘れられないぜ、ハンバーガーの味だったな」

これはひどい。俺は一体何を聞かされてるのか。

「そうか…よく分からないけど辛かったな」

「ああ、颯太君は小春ちゃんとはもうヤッたの?」

またこの質問かとげんなりする。

「ヤッてない、というか元気になるまでヤラないつもりだから」

その言葉に三科がひえええと驚いた声を出す。

「颯太君、我慢強すぎるわ…俺だったら即ヤリだわ…」

これはひどい。こいつはセックスのことしか考えていないのか。

「よかったらさ、この曲聞いてみない?俺の一押し!」

そう言って無理やりイヤホンをはめられた。流れてきたのはサザンのようだったが…これは何かがおかしい。一通り聞き終えて俺はため息をつくしかなかった。

「おい、この曲やばすぎだろ…」

「俺の一押し!サザンALLSTARS☆の『マンPのGスポット』!今度カラオケで熱唱してあげるよ!」

「それはいらない…」

「そうか…俺だけ颯太君とカラオケ行ったことないから今度行こうぜ!」

「いや、…俺は歌わないタイプだから」

「えええ…そうなのか…じゃ今度聞き役だけでもいいから俺のマンPのGスポット聞いてくれよな!」

そう言って三科はまた前を向き勉強を始めた。

俺はとりあえずもう一度ドクターストームを読み返さないといけないなと考えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 この人ってこういう下品な曲も多いんですよねぇ……。  人生を賛歌しているからこその曲であり、そこがこの人の作る曲の魅力だとは理解しているのですが、いやそれとも人生の虚構さを嘲っているのか……。  と…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ