第百六十七話 と、いうわけで
母親の墓参りも終わったことだし、そろそろチェックインして、あるいはタクシーで帰るかと思っていたら小春の様子がおかしかった。びくびくと震えている。
「小春…?」
「ごめ…颯太なんか…生理きたみたいで…」
震えるのを我慢する声、握る手が熱い。
ナプキンを持ってこなかったらしい。
俺は慌ててドラッグストアを探す。今近くに見えたのは…コスモスか。
「買ってくるからここで待ってろ、と言うと小春が嫌だ行かないでと手を離してくれない。
俺はもうしょうがないから、近くに見えた「と、いうわけで」という訳の分からないラブホに小春を連れて行った。入室すると店員が慌てた声で未成年は云々かんぬん言ってたが財布から万札を取り出したら大人しくなった。
ホテルの外観は子供の遊び場みたいでベッドがくるくる回ってるやつだ。
ふざけたラブホだな…
「小春今、服とか買ってくるから待ってろ」と言うと、小春は呆然自失状態でうなづいた。
俺はラブホを出て、適当なスーパーでスカートを買ってナプキンを買ってすぐにラブホに帰った。
小春はトイレに入っていて、脱ぎ捨てられていた血まみれのスカートとパンツが置いてあった。
シーツは血まみれ。
俺は慌ててそれをタンスに放り込んで新品のシーツに取り換えてやる。
さて、どうしたものか…
「颯太ー、ごめん買ってきてくれた?」
トイレから小春の声が聞こえる。慌てて俺は、叫んだ。
「小春、俺今から風呂入るから」
え、どういうこと…と言う言葉は完全無視して、慌てて風呂に入る。
シャワーを最大限温めて、ごしごしとこするだけで大量に精液が出た。
シャワーの温かい水を浴びているとぼーっとしてめまいがする、すっきりした。
危なかった…抱くところだった…
俺はのそのそと風呂から上がって元の服に着替えて何事もなかったようにベッドに戻る。
小春は俺の買ってきたスカートを着てベッドに腰かけながら笑う。
「颯太…なんで突然、お風呂入ったの!?まだ昼だよ!??」
「いや、気にしなくていいよ…もう帰るか」
「う、うん…よく分からないけど帰ろうか…」
そしてタクシーで富山まで買えることになった。
精神的に疲れすぎて、俺は富山に帰るまで爆睡してしまった。




