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第百三十五話 Kになれ

次の日の日曜も一聖と野田と達也と、それから和幸とヨッシーもあわせて家に呼んだ。

「なになにどうしたんー?みんなシンとして…」

「どういうことだぁ?」

ヨッシーと和幸のあっけらかんとした声に皆がしんと静まり返っている。

「和幸、ヨッシー…お前早くKをみろ」

達也の深刻そうな声にごくりと和幸は生唾を飲んだ。

「ああ…演劇サークルでたびたび言われるKか…分かったで観よう」

「分かったぞぉ」

そして和幸とヨッシーに一期を観せなおかつ劇場版まで観せた。和幸が観終わった後呆然とした顔で呟く。

「これが…ジャングルで毎回言われていたKの力か…分かったで」

「いやまだ駄目だ、二期の終わりにはKS7があるし舞台化してるし関連書籍は数知れずだ。数量限定生産のKの聖書も読んでお前はようやく完全なるKになれる、巻数は多いし情報過多だがな…継続はほんま力になっぞ」

達也がぼそりと呟いた。俺は続けて言った。

「近所にな瞳さんという神がいるんだ…彼女はKのすべてを知り尽くしている」

「Kの全てを…!?」

何者なんだ瞳さんはどういうことだと野田と一聖と和幸は混乱している。

「瞳さんは今おそらく育児中だから、お邪魔するのは無理だ、お前らはとりあえずネットストアでKを観まくれ…そしたら演技も良くなってくるんじゃないか?」

俺がそう言うと、再びしんと周りが静まり返る。

「了解だ!俺はKになるぞ!!」

野田が元気よく叫んだ、一聖も続く。

「俺もアニメしか追えないかもだけど頑張るな!!」

ヨッシーがなだらかな口調で言う。

「演劇の合間にちょこちょこ見させてもらうぞぉ」

和幸も深刻そうにつぶやいた。

「そうか…俺の演技に足りないものはKだったんだな…分かったで、俺は聖書まで行くわ」

「「さすが先生だっ!!」」


一聖と野田が叫ぶ。

俺と達也はすでに履修済みだ、そして小春も…

そう、Kを知ればみな健康に幸福に絆を深めていける、これが小春の口癖だったな。


*


季節はいよいよ春を迎えた。今日から高校2年だ。

クラス替えを行って、どうやら佐紀さんと楓さんと京子さん。それから、野田と一聖と和幸と達也は一緒みたいだ。担任は一体誰なんだろうなと考えていた。

ガラっと扉が開く。

「あー数学の山中だ。新しい人は初めましてだ、1年のとき一緒だったやつは引き続きよろしくな」

またこいつかよ…とげんなりする。

そして自己紹介に移る。

「田畑颯太です、よろしくお願いします」

後ろからギャルがニヤニヤしながら「颯太君マジイケメン」と呟いてる。気持ちわりぃな。

つまらない授業が終わると、一聖と和幸と野田が、早く部室に行こうぜと誘ってくる。俺は誘いに乗って一緒に歩き出した。



今日は3年の先輩方のお別れ会だった。受験シーズンだからそろそろ勉強に本腰を入れるときみたいだ。

「小春に会いたかったんだけど仕方ないね…」

村田先輩が寂しそうな顔で漏らす。

「謎のjungleは、人数飽和状態だから、新しい人は募集しなくていいと思う」

ツッチーさんが呟いた。そんなの有りなんだろうか…。

「寂しいけど勉強と演劇頑張ってくれな、舞台は必ず観にいくからな」

草薙先輩も寂しそうだ。

「観に行くから頑張って!」

川上さんマチさんも続けて言う。

エイサー先輩はよく分からないけど、本格的にボクシングの道に進むらしい

「みんな頑張れよ!パンツ!まんつ!!」

あまりに下品すぎて2年陣は若干引き気味だ。

そこにバー――んと扉が開いた。まゆ、たん風に。

「お前は……松岡宇宙!」

草薙先輩の動揺した声が響く。みなが慌てふためいてる。こいつは中三の頃一度だけカラオケに行っただけの仲だ。


「いやーなんか暇でさあ演劇でもやろうかと思って」


みながみな、宇宙に駈け寄った。

「宇宙マジで嬉しい!!」

京子さんは宇宙の熱狂的ファンらしい。一聖も同様で宇宙が…この部活に…と呆然とした顔で呟いてる。

宇宙が口を開く。

「なんかさあ、この部活、Kになれで有名だけどさあ、宇宙に行く方がいいんじゃないかあ?」

確かに、それもそうだがKも忘れてはいけない要素の一つだ。

「バカだね宇宙!Kもこの部活に必要なんだよ…!」

村田先輩が必死に説得をする。

「なるほど、ね。でも俺はKは読まない。信じてるのは松岡さんのみってな!」

宇宙がニッコリと笑った。和幸は宇宙猫のような顔になっている。ヨッシーはなんだか嬉しそうだ。野田は「会いたかったぞ!宇宙氏!」と熱狂している。どいつもこいつも興奮状態。一体この宇宙は何者なんだ。宇宙という名前の通り、宇宙へ行ってしまう存在なのだろうか。


早速基礎連が開始される。宇宙は基礎連がすごく上手い。そしてエチュードも。

「んーなんかもの足りないなあ、早く舞台に立ちたいよなあ」

「焦るな宇宙!謎のjungleの2年陣はまだまだ脚本を書く力がないんだ」

一聖が必死の説得を試みる。

「そうなんだーま、俺が書いてもいいけど面倒くさいからパスだなー」

確かに脚本を書くという作業はとんでもないパワーが必要だ。一長一短でできる作業ではない。

まずは俺が書いてみるか…と考えてもみたが、何も浮かんでこない。なんとなく考えてるのは夢十夜と銀河鉄道が混ざり合った話だがいつ書き終えられるかも分からない。

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