第十二話 衝撃の漫画
翌日。後ろのドアから教室に入る。
颯太発見。
「颯太おはっ体調もういいの?」
「ああ、大分よくなったから学校来た、昨日はありがとうな」
そんなお礼を言われるほどのことしてないんだけどなあ。
コンビニのお粥チンして部屋の掃除しただけなのに。
教室の真ん中から大野和幸先生が手招きしてきて呼び出される。
「なになに春ちゃん、田畑君と仲良くなったのか」
「そうなんー実は昨日颯太君風邪引いてて看病しに行ったんよ」
先生の顔が宇宙猫みたいになる。
あれ…なんか意味不明だったかな…。
「分かったで…春ちゃん、一聖か達也あたりに詳細確認するわ」
「あーそれならみなのほうが詳しいかもやわ」
先生は何が起きたのかよく分からないまま席に戻った。
「春ちゃんおはっ」
「みなおはっ…どうしたんそのビニール袋…」
「これにはね…衝撃的な漫画が入ってるんよ」
「えっ衝撃的!?」
「これスクバに入れて家で読みなはれ、返さなくていいようち要らんわ」
マジか…衝撃的とかもう早く読みたくて仕方ない。
こっそり授業中に読もうかな、駄目かな。
席に戻ると颯太が聞いてきた。
「なに、漫画借りたの?」
「うん、なんかヤバいやつだって」
「表紙だけ見せて」
「これ…」
颯太はしばらく目を見開いた後ニヤァと気持ち悪い笑みを浮かべた。
そんなやばい漫画なのこれ…。
「これ今日うちの家で読もうぜ」
「えー!そんなヤバいん怖くなってきた」
「早く部活終わらせて一緒に帰ろうぜ」
「うん!」
いつの間にか友達と一緒に帰らなくなったなあ…
でもまあ、…今はいいかな!
部活の最中、私は衝撃の漫画のことで頭がいっぱいで全く部活に集中できなかった。
衝撃の漫画ってなんなの…!?早く颯太の家で読みたい…読みたい…
今日はアルメニアーんダンサーズという曲を弾くらしい。
そんなダンスどうでもいいよ…
想像にふけっていると荻田先生からフルート三番音が全然合ってない何をしてきたの今まで!と怒られてしまった。そして私だけまた外で練習させられるという苦行。
もう部活なんてどうでもいいよ…
荻田先輩は厳しいからどんどん人が廊下に追い出せられていく。そしてとうとう先生自体が音楽室から姿を消してしまった。プロ意識が高すぎる…こんな完璧にする部活だとは思ってもなかった。…辞めたい…
部活を終えて自転車をぶっちぎって颯太の家到着!
「早く漫画見よ!」
「まあ落ち着けって小春」
ロフトに上がっていざ開封!
何この表紙の絵…タイトル
妹とヤリたいなんてタイトルおかしい。
近親相姦は絶対のタブーなのに、どうしてみなはこんな本持ってたの?
パラパラと読み進める。
ああ、どうしよう…エッチしてる
BLのエッチなの好きなのに、これは気持ち悪い、しかも男女、近親相姦。
「どうだった?」
「気持ち悪くて読めなかった…」
「読まなくていいよ」
「ごめんこれ、颯太捨てといて、こんなの家に要らない」
「そう言うと思ってたよ」
ゴミ箱のない部屋だからビニール袋でゴミが捨てられている。
「怖いー颯太ぁ」
思わず肩にすり寄って颯太に甘えてしまった。
「小春にはまだ早かったな、大丈夫だから、今見たのは忘れろ」
「うん…」
みな…忍者の漫画はめちゃ面白かったのになんでこんな漫画を貸したのかな。
次の日。
みなに早速漫画の感想を言った。
「みなあ…あの漫画めちゃ気持ち悪かったどうやって手に入れたんあんなん」
「うちも気持ち悪かったよーうちお兄ちゃんおるし余計しんどくてさ」
「そうなんかあ…でもまた一つ大人になった気がするよ」
「それならよかった、あれね、ゆうひっぺが持ってて要らないからあげるって言われて持ってきただけの漫画よ、ビビらせたんなら謝るわ」
「いいよいいよ、颯太が処分してくれるらしいから良かった」
みながおっとひらめいた顔になる。
「春ちゃん、とうとう名前呼びになったな。早く好きやって認めなはれ」
「えええ…でもうちあいつから告白されたい」
「なんでそんな頑ななん?」
「いや、先に告ったら負けになる気がして…様は告らせたい!!」
「負けず嫌いやね、春ちゃん」
「まあね…いつもお世話になってますわ…」
みなとは保育園からの友達で、よく遊んだ。
私は極度の泣き虫で、二十飛びで負けたら泣くし、今日の占いで射手座が最下位だと泣くし、人生ゲームで負けたら泣くし忙しい。
小学校のころ読んでた漫画雑誌は3冊。
親には確かに投資してもらったよなあ…
しかし同人誌が手に入らない、小為替とやらが必要らしい。
世間では〇●×〇●より、△△×□□が有名らしい。
アンソロージーをお母さんにせびっても〇●×〇●より×△△×□□が人気らしい。辛い。
〇●×〇●オンリー同人誌を手に入れる力がない…悔しい。
待って、郵便局まで自転車ぶっ飛ばしていけば買えるんじゃないの!?
今度自転車ぶっ飛ばして小為替買いにいこう!
即売会に行ける力が欲しい…悔しい…
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