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第百五話 5場

【5場】

考浩・杏奈の家。杏奈は、本を読んでいる。考浩が本を読んでいる。考浩が帰ってくる。ドア音。その後ろに龍也、未果、藍。


考浩 ただいまー、

アンナ おかえりなさい、お兄ちゃん。

未果 こんにちは、杏奈ちゃん。

龍也 久しぶり。

アンナ みんな、いらっしゃい。(考浩に)今日は先生の所にゲームしに行かないの?なにか飲み物入れようか?

考浩 いや、大丈夫だよ。ありがとな。宮本さん家にはもう少ししたら行くつもり。母さんは?

アンナ お母さん、今日は遅くなるってさっき電話があった。晩御飯先に食べててだって。

考浩 分かった今日何がいい?

アンナ うーんなんでもいいよ。お兄ちゃんの料理美味しいし。後で一緒にお買い物行こう。

考浩 分かった。それなら一緒に宮本さんの家行って、その足で行くか?

アンナ えっいいの!?すごく行きたいけど、私邪魔じゃない?

藍  邪魔なわけないじゃん。一緒に行こうよ。

龍也 おっさん家広いし、一人ぐらい増えても変わらねーよ。

美果 人数が多いほうが楽しいし、杏奈ちゃんと遊ぶのひさしぶりだから嬉しいわ。

アンナ へへ、ありがと。

考浩 じゃ支度して来い。待ってるから。

アンナ うん!

(杏奈、はける)


美果 考浩君は優しいわね。

考浩 なんで。

美果 お家の方が遅くなると、杏奈ちゃんお家に一人だもの。それが心配なんでしょう?

考浩 …まあ、あいつまだ中学生だからな。女の子だし、家で一人は危ないだろ。

藍  それに杏奈ちゃん、宮本さん達のファンだしねー。

考浩 ああ、新刊出るたびに買って嬉しそうに読んでる。

龍也 割と有名なんだよな、おっさんたち。

藍  妹がファンの作家さんと会わせてあげたいとか、考浩やっさしー

龍也 若干シスコン気味だけど

考浩 ほっとけ。

美果 …あら、仲良しなのはいい事よ。杏奈ちゃんも考浩くんもお互いに大事に思ってるのがわかるもの。見てていつも嬉しくなるの。私、2人のような兄弟素敵だと思うわ。

考浩 ありがと。

龍也 こいつは恥ずかしいことをさらっと言うよな。

藍  それがこの子のいい所だよ

龍也 …分かってるよ


(杏奈、登場)

アンナ おまたせー。…なんの話してたの?

藍  んー、あのね。

考浩 藍!余計なこと言うなよ。

アンナ えー教えてよ。一人だけ仲間はずれつまんないよ

考浩 たいした話してねえよ。いいから、ほらさっさと行くぞ。

アンナ うわっ!ちょっと待ってよ、お兄ちゃん


(考浩、杏奈の手を引っ張ってはける)


藍  考浩、恥ずかしいんだろうね

龍也 そうだな

藍 素直になればいいのに…。

龍也 その方が面白いからか?

藍  うん。

美果 2人とも、早く行きましょ。待たせちゃ悪いわ。

龍也 へーい

藍 はーい

(美果、龍也、藍はける。照明変換。小池、神崎が駆け込んでくる)

神崎 小池先生、待ってくださぁぁい!

小池 待てません!


(ぐるぐる追いかけっこ)


神崎 宮本さんのお家に帰りましょう!先生には書いていただかないと!

小池 それもあるけど俺を連れて帰らないと

神崎 また一ノ瀬先輩に怒られちゃうんですー!先輩怖いですもん!私のためににも一緒に帰ってください~~。もうお説教はこりごりです!

小池 申し訳ないですが、もうしばらく怒られててください!

神崎 いーやーでーすー!

小池 …神崎さん。分かりました、一緒に帰りますから少し休憩させてください。飲み物を買ってきてえくださいませんか?

神崎 それくらいならお安い御用です!行ってきます!


(神崎はける)


小池 ………。


(遥、夏、ゆき登場)


遥 あ、小池さんだ。

ゆき ほんとだぁ。小池のおじちゃんこんにちはー。

夏  よう、元気か小池拓馬

小池 やあ、田村三姉妹じゃないか。今日も晃二のところかい?

夏  おう!今日こそあいつにぎゃふんと言わせてやるぜ

遥  実際にぎゃふんって言う人間はいないと思うけど。

夏  喩えだよ、喩え!負かしたいってこと!

ゆき わたしとはるちゃんはなっちゃんの付き添いでーす。

小池 そうか。晃二はなかなか手怖いからな。今日こそ勝てるといいね。

遥  小池さんは何をしていたんですか。

小池 ちょっと鬼ごっこをね。…そうだ、三人に頼みがあるんだ。晃二たちには俺とここで会ったっていうのは秘密にしてくれる?

夏 なんで?

小池 大人にはいろいろ事情があるのさー

夏  事情ねえ…

ゆき 私約束する!大人の事情は大事だもんね!

小池 おっさすがゆきちゃんだね。2人はどうかな?

夏  あんまり納得いかないけど…おう

遥  分かりました。

小池 ありがとうそれじゃあね。


(小池、はける)


夏 なんだありゃ?

遥 さあ。


(神崎、登場)


神崎 先生、ただいま戻りましたー。…っていらっしゃらない!

遥  小池を捜しているなら、もう行っちゃいましたよ。

神崎 本当ですか!どっちに行かれました?

夏  ええと、あっちに

ゆき (遮って)おじちゃんならあっちに行ったよー!

神崎 あっちですね!ありがとうございます!


(神崎はける)


夏  ゆき、お前嘘をついたな。

ゆき 嘘じゃないよー。おじちゃんと約束したんだもん。約束は守るの!

遥  嘘も方便よね…それにしても、小池さんと宮本さんなにかあったのかしら?

夏  本人に聞いてみりゃ分かんだろ。行くぞ。


(照明変換。宮本家。晃二・葵・龍也・美果・考浩・杏奈がいる)


考浩 で、小池さんがいなくなったと。

葵  そう、締め切りが近いからさ。ここ数日修羅場なんだよ。

藍  へー。なんか大変なことになってんね。頑張れ、宮本さん。

美果 お体には気をつけてくださいね。あまり顔色が良くありませんよ。

龍也 ほんとだ。隈できてるぞ、おっさん。

晃二 …本当に大変だと思ってんなら帰れ。

    学生は勉強しなさい。

藍   反応薄いなー。そう言われないように、宿題持ち込んでるんだよ

龍也  そうそう。

晃二  そうそうじゃないって。全く。

藍   はいはい、別の時に来たらもっと相手してやるよ

考浩  諦めろって。こうなったらこの人には勝てないよ

藍   むー。

美果  大人しくしてましょ、ね?

杏奈  先生の邪魔しちゃ駄目だよ、藍ちゃん。

藍   分かったよー。もー……


(暫く大人しく勉強をしてる。しかし、藍はすぐに飽き話し始める)


藍 ねえ宮本さーん

晃二 なんだよ、相手ならしねえぞ。

藍 そういえば、小池さんいなくなっちゃったんでしょ?でもさ、あの人がいなくなったってそんなに心配することでもないよー。

晃二 …なんで?

藍 だって小池さんっていかにもどっか行っちゃいそうじゃん。そんなに慌てて探すことなんてないってー。宮本さん心配性すぎだよー。あっもしかして宮本さんがそんなだから出て行っちゃたのかもよー?二人とも全然性格違うしさぁ。嫌になっちゃたのかもー!

考浩 おい藍、やめとけ

美果 藍ちゃん。

藍  だあってさあー宮本落ち込んでて全然相手にしてくれないから…。

考浩 だからって、そこまで言うことないだろ。小池さんにだって…

晃二 ……そうかもな。

考浩 宮本さん?

晃二 お前の言う通りだよ。俺がこんなだから、拓馬は出て行ったんだ。知らないうちに追い詰めて…最低だな俺。

藍  え…あの私……

葵  ま、まあ、そんなにピリピリするなって。大変なのは分かるけどさ、兄貴あんまり寝てないんだろ?少しは休憩も必要だぞー。

美果 そうですよ。倒れてしまったら大変です。

晃二 倒れてもいいんだ。何も書けてないのに休憩なんてできないよ…拓馬が居なくなったのが俺のせいなら何が何でも責任をとらなきゃならない。

葵 兄貴…



考浩 …さてと。お前ら帰るぞ。邪魔者は退散退散。

龍也 ああ、そうだな。ほら藍。

藍  うん……宮本さん、あんなこと言っちゃってごめんなさい。

美果 宮本さん、葵さんお邪魔しました。

葵  気を付けてね。


(考浩、龍也、藍、未果はける)


晃二 …行かなくていいの?

杏奈 宮本先生、忙しい時に来ちゃってごめんなさい。

晃二 いや、こっちこそごめん。余裕がなくて。

杏奈 大丈夫です。お仕事頑張ってください。作品楽しみにしてます。

晃二 うん、ありがとう…また皆でおいで

杏奈 はい


(杏奈、はける)


葵 …今なに思ってるのかあててやろうか?

晃二…絶対当たりそうだから嫌だ。

葵 そーかい。自分追い詰めるのやめろよなー。悪い癖だぞ。

晃二 ああ。

葵 なんで兄貴が、小池さんが出て行ったのが自分のせいだって思ってるのか、いいたくなさそうだから、聞かないけどさ。一回ちゃんと話し合えよ。小池さんと。このままじゃ気持ち悪いだろ、お互いに。話してみたらなんか分かるかもしれないし。

晃二 そうだな、…電話でもかけてみる

葵 おーおー、そうしろそうしろ。んじゃ私は夕飯の支度でもするかな。

晃二…今日ハンバーグがいい

葵 子供かっ!……わかったよ。


(葵、はけようとする)


晃二 葵―。

葵 なんだよ。

晃二…ありがとな

葵 …おー


(葵、はける。宮本、携帯で電話をかける。呼び出し音、一向に出る気配なし)


晃二 ……


(もう一度かける。しかし、通じる気配はない)


晃二 なんで…


(意を決してもう一度掛けようとするが、ノック音に邪魔される。無視しようとするがするが鳴り続ける)


晃二 ~~ああもう!なんなんだよっ!


(晃二はける、ここから裏で会話)


三姉妹 お邪魔しまーす


晃二 ぐああああ!お前ら帰れ!!ゆきちゃんだけ置いて帰れ!

夏  おい、ロリコン。早く部屋に入れろ、寒い。

晃二 誰がロリコンだ!誰が入れる

ゆき 宮本のおじちゃん、いれて?お願いー。

晃二 ……どうぞ。


(晃二、遥、夏、ゆき登場)


晃二 お前ら、何しに来た…って聞くまでもないな。

夏  おお!今日こそお前を倒してやる!

ゆき わーなっちゃん頑張れー!

遥  さっさと終わらせて帰りたい。

晃二 お前は本当に暇人だな……わざと俺としりとりしにくるなんて

夏  思えば…たまたま公園に居たこいつと、気まぐれにしりとりをし早々に負けたあの日から、私は幾度となくこいつに勝負を挑んできた。しかし!何度やっても勝てない!悔しいから私の気の済むまで付き合ってもらう。勝負だ、宮本晃二!

晃二 嫌だ。お前に付き合ってる暇はない。

夏  なんでだ、すごく暇そうだぞ。相手しろ。

晃二 大人は、大人の事情があるんだよ。子供は大人しく帰りなさい・

夏  ちぇっなんだよ皆…事情事情って…

ゆき なっちゃん、残念だったねー。

夏 つまんねえから、葵ちゃんに相手してもらってくる。

ゆき あー。わたしも行く!


(夏、ゆきはける)


遥 お仕事大変なんですか。

晃二 まあね。

遥 そうですか…

晃二 遥かちゃんも大変だね、いつも夏に付き合わあわされてそ

遥  いえ、いつものことですから。それにあの子たちが楽しそうならいいです。

晃二 そっか。

遥  晃二さん、あの…

晃二 なに?

遥  いえ…お仕事終わったらまた相手してやってください。夏はなんだかんだでしりとりしに来るの楽しんでるみたいですから。

晃二 うん。


(葵、夏、ゆき登場)


葵 兄貴、この子たち来てたなら声かけろよ

晃二 悪かった、飯は?

葵 一旦中断。今日は勝負しないの?

夏 『大人の事情』で駄目なんだってさー。

葵  ちょっとは相手してやったら?

晃二 仕事終わったらな

夏  ……ケチ

晃二 ケチ言うな。

夏  あーあ、大人って都合が悪くなるとすぐ大人の事情って言うよな…お前も…小池拓馬もみんなそうだ。

葵 え?

ゆき なっちゃんいっちゃ駄目!

晃二 …拓馬にあったのか?

夏 ………

晃二 会ったんだな?

夏  会ったよ。ここに来る前、近くの公園で。

遥  小池さん、ここで会った事は内緒にしてって言ってました。

夏  なんでって聞いても教えてくれなかった。

晃二 そっか…

ゆき 宮本のおじちゃんは、小池のおじちゃんと喧嘩したの?

晃二 いや、してないよ。どうして?

ゆき 小池のおじちゃんね、なんか変だったんだ。

晃二 そういうんじゃなくて、いつもと違ってて変だったの!ね、おじちゃん変だったよね

夏  あー。確かに変だったかも。

遥  そうね、なんか思い詰めていたというか

晃二 隠す、思い詰める…


(白川が入ってくる)


白川 おい、この家鍵開いてたぞ。無用心だな。

晃二 おわっ!!!!白川さん!

白川 よっ!

晃二 いや「よっ」じゃなくて!何しに来たんですか?

白川 なんだよ、私が作家の家に来ちゃ悪いのか?

晃二 悪くはないですが……仕事は?

白川 榊に任せてきた。

晃二 悪くはないですが……仕事は?

白川 榊に任せてきた。

晃二 やっぱり帰ってください

白川 おい、宮本妹。茶くれ。

葵  あんた、相変わらず自由だな。

白川 そういえば、お前に伝えることがあってな。(鞄の中を捜し始める)

晃二 俺に?

白川 …あ、忘れてきた。ちょっと待ってな。

晃二 はあ。

(携帯を取り出し、電話をかけ始める。榊登場)

榊 もしもし。

白川 えへ、やっちゃった。

榊  編集長~~!!」

白川 待て、榊、怒るな。

榊  無理ですよ!なんで大事なもの忘れてるんですか!

白川 いや、ついうっかり。

榊  うっかりじゃなくって…

白川 ま、いいや。とりあえず、宮本に換わるわ。ほれ、宮本(渡す)

晃二 (受け取る)もしもし、換わりました。なんでしょうか?

榊  宮本先生、小池先生から連絡は?

晃二 いえ、さっきも電話をかけたんですが出なくて。

榊  そうですか、やっぱり

晃二 なにかあったんですか?

榊  …先ほど、小池先生から、こちらにファックスが届きまして。「いままでありがとうございました。残念ですが、俺はもう書くことが出来ません。これからは宮本が一人でかいていくことになると思いますが、今後もよろしくお願いします」…と。

晃二 え…?

ゆき おじちゃん?

榊 とにかく、落ち着いてください。今、一ノ瀬がそちらに向かっていますので宮本先生は


(白川に携帯を押し付け、宮本はける)


葵  兄貴!!

遥  宮本さん!

ゆき そういえば、おじちゃん大きな荷物持ってた。どこかに遠く行くつもりだったんだ!

夏  逃げるやつは大嫌いだ。嫌がっても連れ戻してやる!

(葵、遥、ゆきはける)


白川 悪かったな。お前に嫌な役目押し付けて。

榊  ……やっぱりわざと忘れたんですね。

白川 ああ。どうも特定の作家に情が移るのはよくないな。

榊  しょうがないじゃないですか。デビュー前から知ってる作家さんなんですから。

白川 そうだな。

榊  とりあえず、一旦戻ってきてください。編集長。俺たち編集者は待つしかできない。そういったのはあなたです。

白川 …いや、榊、私たちも捜すぞ

榊  はい!?

白川 編集としては、待つことしか出来ないが、友人としては協力しないわけにはいかないだろう?お前も早く来い!

榊  ……全くあなたは。分かりました。明日は残業覚悟していただきますよ!

白川 まじか!

榊  まじです。

白川 …ったく残業でも、なんでもやってやるさ。

【私の役…カッコいい…嬉しい】

(白川、榊はける、暗転)



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