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第百三話 3場

【3場】

編集室。白川・宮本は椅子に座り、白川の傍らに榊・宮本の傍らに一ノ瀬がが立っている。


白川 おい、榊

榊  なんですか。

白川 帰っていい?

榊  駄目です

白川 えーめんどうくさい…

【私また面倒くさい言ってる役…】

榊  こんな時くらい仕事してください

白川 私編集長だぞ、少しは休ませろ。

榊  あなた編集長でしょ。いつも休んでる人がなに言ってるんですか。やることやってからもの言ってください。

白川 お前最近ますますふてぶてしくなったな。

榊  誉め言葉として受け取っておきます。で、一ノ瀬、小池先生の行方は?

一ノ瀬 今、神崎に調べさせています。宮本先生の話からすると、そう遠くへは行ってはいねいのではないかと…。

榊  なるほど。しかし神崎に調べさせて大丈夫なのか?

一ノ瀬 ……恐らく。取りあえず本人はやる気満々でした。『はじめての大仕事ですね!任せてください!!』だそうです。

榊  心配だ…。

白川 ま、見つかったら携帯にでも連絡が入るだろ。大丈夫、大丈夫。しかし小池も薬で眠らせて逃走とは手が込んでいるよなあ。

榊 感心してる場合ですか。

一ノ瀬 そうですよ、編集長!宮本先生のお体が、無事だったから良かったようなものの、もし先生の体に何かあったらと私は心配で心配で仕様がありませんでした!小池先生は、宮本先生の存在がどんなに素晴らしく尊いものかお解かりになっていないんです!いえ、小池先生だけじゃありません。先生の素晴らしさが本当に理解できる人間は誰もいない。奥深さがあり、神秘的な魅力をお持ちになっている…やはり素晴らしいです、先生!

晃二 ははっありがとうございます…

白川 相変わらずだなー、一ノ瀬

榊  普段は仕事できるしっかりした子なんですけどね…ところで、原稿の方はどうしましょうか?

晃二 それはできる限りなんとかします

榊  先生が、お書きになりたいというお気持ちは分かります。しかし原案が上がってない状態で小池先生が不在になってしまったんですよ。より質の高いものを届けるために発売を延期するという方法を取る方法を取る方が最良かと思いますが

晃二 先生がお書きになりたいというお気持ちはわかります。しかし、原案が上がってない状態で小池先生が不在になってしまったんですよ。より質の高いものを届けるために発売を延期するという方法を取る方が最良化と思いますが、

晃二 原案も含めて俺が書きます。締め切りを破りたくはありません。

一ノ瀬 宮本先生…

榊  しかし…

白川 おい、書くのは向こうなんだから、こっち側があれこれ言っても仕方ないんだよ。作家の書きたいって言う気持ちを尊重して、サポートするのが編集者の務めだろ?宮本が書きたいって言うんだから、こっちはそれを待つしかないんだよ。

榊  ……珍しくまともなこと言いましたね

白川 珍しくは余計だ

榊  …お願いします。先生。一ノ瀬は宮本先生のサポートをするように。

一ノ瀬 はいもちろんです!

晃二 ありがとうございます。

白川 それにしても神崎からの連絡遅いな。

榊  そうですね、もう来てもいい頃ですが

神崎 失礼しますっ!

(神崎登場、手には携帯を握り締めている)


一ノ瀬 神崎!どうだった?

神崎 はい、周辺で聞き込みをしたところ目撃情報がありました!!先輩の予想通り、まだご近所にいらっしゃるみたいです。

一ノ瀬 やっぱりね。それから?

神崎 以上です!

一ノ瀬 ……それだけ?

神崎  それだけです!

榊 それ知らせるために走ってきたのか?

白川 なぜ、携帯を使わない。

神崎 え……ああああぁっ!!

白川 お前は飛脚か。

【神崎さん…おっちょこちょいだなあ】

神崎 すすす、すみません!!もう一度探してきます!

晃二 お手数かけてすみません。

神崎 任せておいてください!必ず小池先生を宮本先生の元へお連れします。では行ってきます!(携帯をおいて走り去る)


(神崎、はける)


一ノ瀬 あいつ、言ってる傍から!こら!待ちなさい!神崎!携帯持って行かなかったら意味ないでしょ!


(一ノ瀬、はける)


晃・白・榊 ………

晃二  家帰って考えます。

白川  …おう。

榊   …あまり無理しないようにしてくださいね。

晃二  …はい。


(照明変換。白川、榊はける。小池、登場)


晃二 もしもし!?拓馬か!??

小池 さあ!問題です!

晃二 俺は今何処にいるでしょーうか?次の3つからお答えください。①中国②アメリカ③沖縄 さあどれでしょう!シンキングターイムスタート!ちっちちっち

晃二 おい、ちょっ、まっ……えーっと………唯一国内だし、三番?

小池 ぶっぶー正解は④のまだ宮本家の近所にいるでしたー。

晃二 選択肢3つじゃないのかよ!お前なあ、周りがどれだけ心配してると思って!

小池 ……ごめんな。心配かけて。

晃二 分かってるなら、その分仕事で返せ。…悔しいが俺にはお前みたいに原案は浮かんでこない。だから、早く戻って

小池 (遮って)悪いが、まだ戻れないんだ

晃二 なんで!

小池 男には一つや二つあったほうが魅力的だろう?

晃二 ふざけたこと言ってる場合か!

小池 さあ!次回はどんな問題が飛び出すのか!お楽しみに!さよーならー!

晃二 さよならじゃない!待て!おい!


(電話が切れた音。小池、はける)


晃二 切れた……。あのやろう、勝手に、勝手に切りやがって!

神崎 みやもとせんせぇぇぇい!


(神崎登場)

晃二 神崎さん!?どうしたんですか、こんな夜中に。

神崎 こ・小池先生がいるらしいと聞いた場所を片っ端から探したんですが、見つかりませんでした~……。

晃二 それを伝えてくださるためにわざわざ!?

神崎 はいー。

晃二 携帯で連絡してくださればよかったのに。

神崎 一ノ瀬に持ってきてはいただいたんですが、私機械音痴で……電話の掛け方がいまいち分からないので、直接来ました。

晃二 ありがとうございます。

神崎 いえー。これくらいのことしか出来ませんから。明日も捜しに行ってきます!絶対に見つけてきますから、先生は出番の方頑張ってください。

晃二 はい、頑張ります。

神崎 では、夜分遅くに失礼しました!おやすみなさい!(かばんを置いて走り去る)


(神崎、はける)


晃二 あ、神崎さん、待ってください!!カバン!!行っちゃったよ!…行っちゃったよ。はあー、明日一ノ瀬さんに渡そう…。


暗転


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