ハロウィン記念 Trick or Treat 2021
読者(早く本編進めろや)
日曜日の朝、教室棟の廊下で2人の生徒が話をしている。まぁ、俺と竜にぃだけど。今日は10月分の作業がまだ終わっていなかったから休日だというのに学校に登校していた。
「あー、憂鬱だ。竜にぃ、健二。今日はアレの日だよな。」
「あぁ。あの2人がお菓子を貰いにくる、もといもらうためにいるんだろ?部室に。」
「お前の彼女だろ。空。ちゃんと制御しろよ。」
そう。今日は10月31日、ハロウィンだ。しかも昨日星奈から“お菓子くれないと悪戯するよ?”ってLINE
が来た。竜にぃと健二にも来たらしくお菓子を買ってこないといけないのだが…
「行きたくねぇなぁ。」
「そーだよなー。」
「むしろ帰りたい。」
3人ともお菓子は準備していない。来る時に買ってくればよかったのだが完全に忘れていた。
「昼飯買いに行くときでいいか。」
「そうだな。」
「そうしよう。」
別に行ってすぐ渡さなくてもいいだろうと思い、部室へと向かった。
「「トリックオアトリート〜お菓子をくれなきゃいたずらするぞー」」
案の定、扉を開けて中に入ると星奈と那流ちゃんが待ち構えていた。
「ちょっと待ってくれ、昼飯と一緒に後で買ってくるから。」
「つまり今はないと。」
「あぁ。」
「なら…」
「「大人しくいたずらされなさい!」」
と言って俺に近づいてくる。竜にぃと健二に助けを求めるが俺のことを無視してデータ集計用のサンプルとパソコンの準備をしていた。アイツ…
自分だけ逃げるつもりだな…
「那流ちゃん空の目を隠して。」
「了解です〜」
那流ちゃんに目を押さえられ何も見えなくなる。あ、頭に何かつけられた。おそらくカチューシャだろう。
「那流ちゃん、もういいよ。」
「おい、何した。」
そう聞くと、星奈が俺に鏡を向けてくる。
「…はぁ。似合わねー。」
俺の頭の上には黒い毛並みの猫耳カチューシャがつけられていた。
「先輩、そーでもないですよ。」
「案外似合ってるよ。むしろ可愛い。じゃあそのまま昼までね。買い物行く時には外していいから。」
可愛い…それ男に対する評価じゃねーだろ。てか、健二と竜にぃは逃げる気だな。巻き込んでやれ。
「健二と竜にぃにもやれよ。アイツらも持ってないぞ。」
「「竜にぃ、健ちゃん(先輩)覚悟ッッ」」
あ、竜にぃと健二が作業をやめてがバッとこっちを見てくる。てか行動早っ。星奈がカバンから猫耳を出すまで約二秒。那流ちゃんがその間に竜にぃを捕獲して4
秒後には竜ニャンが完成していた。健二が部室からの逃亡を図ったが努力虚しく那流ちゃんが捕獲。カバンから犬耳を出した星奈によって健ワンも完成した。
「「空ッテメェ!」」
「自分だけ逃げれるわけないだろ!」
そんなこんなで3人ともケモ耳をつけて作業することになった。
「こっち終わったよー。」
「…入力箇所間違えてるぞ?」
「えっ。」
「ほらここ。ってかここから全部。」
「やばっ。やり直さないと。」
「ちょっとまてってあーあ。消さなくても切り取って貼り付け直したらいいのに。」
「あぁヾ(・ω・`;)ノ≡ヽ(;´・ω・)ノ゛」
久しぶりに抜けてる星奈を見たな。オロオロしてる感じが小動物感あって可愛い。まぁ、今小動物の耳つけてるの俺達だけど。
「落ち着け。星奈は那流ちゃんとサンプルの仕分けをしてこい。これは俺がやっとくから。」
こんなこともあろうかと早めに作業を終わらせてたから、後の作業を俺が引き継ぎ、星奈には那流ちゃんの手伝いをしてもらう。
「わ、わかった。ありがと。」
そう言って那流ちゃんの方に移動して作業をし始めた星奈を横目に、俺はパソコンと対峙する。
数分後、竜にぃから声がかけられた。
「空。」
「どうした竜にぃ。」
「それつけながら真剣に作業してるのシュールすぎ。」
程よく忘れていたのに余計なこと言うんじゃねーよ。
「黙れ。程よく忘れていたのに。」
「忘れさせてやるか。巻き込まれた恨みだ。」
「めんどくせぇなお前。」
カタカタカタカタ…
「にしても、久しぶりに星奈のオロオロがみれたな。ちょっと和むわ。」
カタカタカタカタ…
「おーい、空?聞いてるのか?」
カタカタカタカタ…
「空〜おーい?」
カタカタカタカタ…
「そーらー」
「あぁもう鬱陶しいな!作業に集中させろ!」
ガラガラ
「え?なに?何で空がキレてるんだ?」
「健二、竜にぃの面倒見といてくれ。邪魔されて敵わん。」
「あいよ。」
〜1時間後:午前11時30分〜
「あー終わったぁー。」
「お疲れ様。ごめんね、私の分やらせちゃって。」
「俺が言い出したことだからな。気にすんな。」
「お礼として猫耳を外す権利をあげます。健ちゃんもいいよ。」
そう言われたので俺と健二は猫耳を外した。名前を呼ばれてない竜にぃは…
「俺もいいんだよな?」
「竜にぃは途中空を邪魔した罰として午後も竜にゃん続行です。」
「空ッッ!説得手伝ってくれ!」
「健二、早いけど飯買いに行くか。あ、竜にぃのやつ買ってきてやるよ。いつも食べてるやつ買ってくるから。」
「お菓子もな。」
「わかってるって。」
「お前ら俺を見捨てるなぁ!!!」
自業自得だな。まぁ、竜にぃには頑張ってもらおう。
その後、昼飯と共に多くのお菓子を買い込み部室へ戻った俺たちは、残っていた作業を素早く終わらせ、お菓子パーティーと化した部活を楽しんでいた。竜にゃんも最初はムスッとしていたが最後にはなんだかんだ楽しんでいたようでよかった。
作者(今やってます。)