5 女帝
盛り上がってきました。
引き続きお楽しみくださいませ、
中央中学校の正門。
何故かそこには黒山の人だかりができており
大きな歓声やたくさんのシャッター音が鳴り響いていた。
「取材か何かか?」
異様な光景に宇宙は少しだけ興味を示しはしたが
それも一瞬だけだった。
そんな事よりも気になる事が宇宙にはあるからだ
どこかに「なお」がいるはずだ。
当たりを見回し「なお」を探しながら 受け付けまで進んでいく。。。。
結局 宇宙は「なお」を見つけられないまま 受け付けまでたどり着いてしまった。
受け付けでは、配られたクラス分けの記載されたプリントを見ながら 自身のクラスが何組なのかを探す新入生達が人だかりを作っていた。
2つの小学校が集まった中学校は8組まである。
プリントの中から自身の名前を探す作業にそれなりの時間を要するという事もあるが、皆 友人のクラスまで探しているのだ、なかなか受け付けを離れられず人だかりが出来るのは仕方がない事である。
そんな人だかりの隙間を縫うように受け付けに近づいた宇宙は あからさまに面倒くさそうにプリントを受け取った。
そして おもむろにプリントを見た宇宙は
自身の名前を見つける前に 見慣れた名前を最初に見つけてしまった。
その名前は 当たり前のようにプリントの1番最初に記載されていたのだ。
藍亜衣
南小学校の「女帝あいあい」である。
南小学校出身者の男子ならば
自身が同じクラスでない事を祈りながらプリントを確認しているはずである。
もしも同じクラスであった場合は・・・
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
隣の男子が大声を上げてうずくまった。。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ あいあいいぃぃ」
少し離れた場所からも同様の叫び声が聞こえた。
それに呼応する様に 無数の叫び声があがる。
「静かにしなさいっ!」
受け付けの ザマス形女教師が
机を吹き飛ばしながら立ち上がり
激切れで叫んだ。
それはもう 激切れで。。。。
一瞬にして 場は凍り付き
側にあった鶏小屋の 鶏の小さな声だけが響いた。
「コッコッコッコッコッコッ・・・・・」
彼らが悪いのではない
恐るべしは「女帝あいあい」である。
「女帝あいあい」こと 藍亜衣は
日本有数の大企業の令嬢である。
藍家は 全てにおいてトップである事を家訓とし、それは出席番号でも例外ではなかった。
現在の当主、「藍蒼」は
かなりぶっとんだ性格をしている事で有名であった。
「全てにおいてトップ」を家訓とする藍家の歴史おいて 幾度となく考案されてきた
もはや伝説の名前。
日本人の人名として頂点に立つ名前
まさに トップ オブ トップ ネーム。
暴力的なまでに圧倒的な響きを持つその名前は
数百年の歴史を持つ藍家の歴代当主達も二の足を踏んでこの名前を我が子につける事が出来なかった。
蒼は その禁断の名前を我が子に与えたのだ。
歴史の封印から解かれた禁断の名前
「藍亜衣」
女帝あいあいの誕生だった。。。
別件だが、何年か前より 男女別々だった学校の出席番号が男女混合になったのは藍家が文部科学省に手を回したからではないか?とネット上を騒がせたのは 大人達にとっては記憶に新しい出来事だ・・・・
女帝あいあいは
その冷酷とも言える行動の数々と言動で
幾多の男子にトラウマを植え付け続けた事で
南小男子に 恐れられていたのだ。。。
女帝と同じクラスになったうえ 女教師に激切れされたショックもあり うずくまって動かなくなった無数の男子達。
そんな阿鼻叫喚の中
宇宙に声をかける 1人の美少女がいた。
「宇宙」
宇宙は諦めたように顔を上げ
声の主と目を合わせた。
その透き通るような声の持ち主こそ
「女帝あいあい」藍亜衣 その人だった。
2人目のヒロイン登場。
何これ ハーレムものか?
冒険スペクタルとラブコメ
一粒で2度美味しい
と割り切ってご覧ください。
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頑張れそうな気がします。