32 緩み
宇宙と莉奈 こんないい感じの時期があったの?
将来の約束をした2人は 並んで帰路についていた。
小学生のよくある口約束。。。
しかし2人にとっては大切な約束だった。
莉奈の幸せは絶頂に達しており 周りが見えなくなっていた。
その時。 一台の車が信号を無視して2人に迫ってきた。。
いつもの慎重な莉奈なら すぐに気付いた事だろう。
しかし 周りが見えなくなっていた莉奈は 車が目の前に来るまで気付く事が出来なかった。
「え?」
気付いた時には もう車は目の前だった。
!!!!
「莉奈っ!!」
隣にいた宇宙が莉奈を突き飛ばした。
ガシャーーーーーーン
車はガードレールに激突し大破した。
莉奈は間一髪 車に接触する事なく歩道に倒れた。。。
「いたたた。。 ?? 宇宙?」
起き上がった莉奈は 後ろを振り向き宇宙を探した。。。。。
そこには 変わり果てた姿の宇宙が横たわっていた。
「宇宙ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
倒れた宇宙に駆け寄る莉奈。
「宇宙 宇宙 宇宙 宇宙ぁぁぁぁぁ」
何度呼びかけても返事は無い。
「誰か 誰か助けて!!
宇宙が宇宙がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
周りにいた大人達は 驚きのあまり動けなくなっていた。
「宇宙! 宇宙! 宇宙! 宇宙ぁぁぁぁぁ!」
叫び続ける莉奈。。。
その時 1人の老紳士が現れ
泣きじゃくる莉奈の頭に手を乗せ優しい声で言った。
「大丈夫ですよ お嬢さん」
この一言で莉奈は少し冷静さを取り戻した。
老紳士は素早く宇宙の脈と瞳孔を確認
気道を確保すると 触診で内外傷がないか確認した。
確認後すぐさまスマホを使い何処かに電話をすると 宇宙の症状を明確に伝えた。
「安心してください。 直ぐにドクターヘリが来ますら」
ドクターヘリ??
今は夕方の帰宅ラッシュの時間帯
ほとんどの幹線道路は渋滞で動かない。
救急車では時間がかかってしまう。
そう判断した老紳士は 迷うことなく
どんなルートを使ったか分からないが
ドクターヘリを呼んだ。
落ち着きを取り戻した莉奈は ここに来てやっと老紳士の顔をしっかりと見た。
老紳士は見覚えのある顔だった。。。
「服部さん?」
バッバッバッバッバッバッ
その時 上空にドクターヘリが到着した。
ドクターヘリは事故現場の横にあったグランドに着陸した。
老紳士「服部」は救急隊と共に宇宙を収容した後 莉奈に病院の連絡先を渡すとドクターヘリに乗って病院に向かい飛びたった。
「服部」
壱の実家一文字家に仕える 筆頭使用人。
彼が、かの服部半蔵の子孫にあたる忍者の末裔であり
一文字家を陰で支え 一文字家を繁栄に導いた偉人である事を知る者は少ない。
「服部さん ありがとうございます。。」
メモを握りしめ莉奈は自宅に向かった。
あの服部さんは モブキャラではなかった!
今後の服部さんの活躍にもこうご期待。。
さて 宇宙の怪我はどうなる?
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