31 約束
宇宙と莉奈に何があった?
気になる内容は。。。
莉奈は泣きながら1人で歩いていた。
宇宙は昔の約束を忘れていた。
莉奈にとって大切な約束だ。。
それは小学校4年生の頃の出来事だ。
宇宙は学校にある 地面に沢山のタイヤが半分埋まっている遊具で クラスの友達達と「落としっこ」をしていた。
「落としっこ」
それは 2つのチームにわかれ 沢山の埋まったタイヤの上を戦場に落とし合う バイオレンスな遊びだ。
もちろん男子のみで行われる。
しかし女子にも人気があり 女子は観客として場を盛り上げていた。
勝利の条件は 両端にある横向きに置かれた大きなタイヤ この拠点を占拠するか 敵チームを全員タイヤから落とす事だ。
各拠点には 拠点を守る防御の要が1名おり 残りは全員 敵の拠点を落とす為にタイヤの上で壮絶な落とし合いを行う。
一度落ちた者は 戦死とされ 戦場を離れ仲間の勝利を願い見守る事になる。
チーム分けは 毎回 "グウ パー"をして分けられる。
この日 宇宙と壱は別チームとなった。
当時からガチムチの壱の持ち場は もちろん拠点防御。
宇宙は特攻を得意とする 攻撃の要。
この戦いはいつもにも増して壮絶なものとなった。
10対10で始まった戦いは 時間たつにつれ 戦死者をだし 残りは 宇宙チームは宇宙と自陣を守る1名。 壱チームは なんと拠点を守る壱だけとなっていた。。
宇宙は自陣を守る仲間を拠点から出し 2人で壱の守る敵拠点を攻める戦法を選択した。
2対1 多勢に無勢。。
壱は最後の賭けにでた。。
なんと 拠点を捨て宇宙チームの拠点を奪いに来たのだ。。
「はやい」
壱は見た目に似合わず 機敏なのだ。
一瞬の隙を突いて 壱は宇宙チームの拠点に迫った。
まずい!
不意を突かれた宇宙は 一歩遅れてしまう。
宇宙チームの拠点を守る友達は なんとか壱の侵入を阻み 壱を跳ね返したが 自身はタイヤから落ちてしまった。。。
しかし壱も態勢を崩している!
「チャンス!」
宇宙は壱に飛びかかる。。
ドカァーーーーーン ブチュウ
宇宙は壱だけを落とす事ができず 2人共が絡み合うようにタイヤから落ちた。
と同時に宇宙の唇は壱の唇と重なっていた。。
「うぉーーー」
「きゃーーー」
「宇宙と壱がチューしたー」
観客達からは悲鳴のような歓声が上がった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その日は一日中 大騒ぎだった。
宇宙と壱がキスをした。
小学生にとっては大事件だ。
当然 宇宙も冷やかされまくった。
冷やかされ以上に宇宙にショックを与えたのは
ファーストキスを壱としてしまった事だ。。。
ショックを受けたのは 宇宙だけではない
亜衣と莉奈のショックも相当なものだった。
壱は。。。
よだれを垂らしながら虚な表情でニヤニヤしていた。
放課後 宇宙は1人で逃げるように帰宅し 丘の上の公園でぼんやりと夕焼けを見ていた。
「宇宙。。。」
そこに莉奈が現れた
宇宙は一瞬莉奈の方を見たが
無語でまた視線を夕焼けに戻した。
「宇宙。。。」
「・・・・・」
「宇宙。。。。
男の子同士の事故なんてキスのうちにはいらないよ。。。」
「。。。。。。。」
宇宙は黙ったままだ。
「宇宙。。。。」
莉奈は静かに宇宙の目の前い行き
チュッ
そっと 宇宙に口づけをした。
!!!!!
「宇宙のファーストキスは 私がもらったよ」
莉奈は顔を真っ赤にしながら笑顔で宣言した。
「莉奈。。。。」
宇宙の心は救われた。。
宇宙は莉奈を直視する事はできず 夕焼けの方を向き涙を堪えながら莉奈に言った。
「俺がお前に似合う男になったら ここでお前にプロポーズする。 それまで待っててくれるか?」
莉奈は泣きながら笑顔で答えた。
「待ってるよ。 早く私に似合う男の子になってね?」
「ああ。。」
夕焼けに包まれた公園は 優しく柔らかな空気につつまれた。。。
2人だけの大切な約束。
絶対に忘れる事のない約束。
この時2人は この後に悲劇が宇宙を襲うことになるなどとは思いもしなかった。。。
次回 衝撃の展開が2人を襲う。。。
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