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プロローグ

 目の前で繰り広げられる光景はよく見慣れたものだ。

 リリーは静かにため息を一つこぼす。


(もう、いいんじゃないかしら)

 

言葉を、焦燥を、落胆を、リリーは静かに呑み込んだ。

 二人が共に過ごした十三年の年月と、恋情を、ただ静かに瞳の奥に走馬灯のように巡らせ、そしてそっと胸の奥のもっとも深い所に鍵をかけて大切にしまいこんだ。


(さよなら、私の初恋)

 

 リリーは、木陰で寄り添い微笑み合う良く見知った男女をしっかりと瞳に映すと、そっと目を伏せ小さく微笑んだ。

 そしてしばらくして顔を勢い良く上げると、両手で自分の頬を二度軽く叩くとクリーム色のドレスをフワリと遊ばせて、白いレースの飾りがついた華奢なヒールをくるりと回し、木陰で寄り添い合う男女に背を向けて歩きだした。

 貴族令嬢としては敬遠されがちな少し高めの背をピンと伸ばし、少しキツめの印象を与える面立ちの顔をしっかりと上げ前だけを見て歩く。

 リリー・レッドはその日生まれ変わったのだ。その瞳にもう憂いはなかった。



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