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お嫁さんは妄想が好き

作者: ゆみ丸

短編にまとめました。

 魔王は私を顔をまじまじと見て、赤い舌を出した。 舌はヌメヌメと私の顔を這い出してくる。

「い、いや!!」私を顔を背けて避けようとするが、ベッドに押し付けられ逃げることが出来ない。舌は耳朶を這い、そして無防備な耳に達した。 

「いああー」私は嫌悪に身をすくめイヤイヤをする。


 

「おい!きさま!なんてしまりのない顔をしてやがる。早く起きろ朝飯だ!」眉間に皺を寄せまくった魔王に体を揺すられる。いや、揺すると言うとより脅される勢いです。 

「魔王様痛いですよー。起きますからそんなに体をいたぶらないで下さいよー」 

「い!いたぶる!寝惚けてるんじゃねえ、ふざけるな早く起きろー!」怖い、黒いオーラただ漏れですよ、魔王様。  

 

 慌てて飛び起きた私を確認して、魔王様は顔を反らした、少し顔が赤いような、熱かしら?  

 私が魔王様の顔を凝視していると、「よ、よだれをふけ汚い」眉間皺を更に増やした魔王様にハンカチを渡されました。 

 

「すいません。楽しい妄想だったもので」ハンカチを受け取り笑顔で返します。 

「またか…」魔王様は心底嫌そうに吐き捨ました。 

「早く飯が冷める前に食堂に来い!」と私を残して行ってしまいました。 


  


 私は、クレアこう見えて魔王様のお嫁さん兼人質です。

魔王国と帝国の友好の証として王女の私が差し出されたと言うわけで、第5王女の私が害されても帝国は痛くも痒くもないです。 

 

 結婚してすぐに魔王様に八つ裂きにされると散々妄想して悶えてたけど、無事に生きております。  

   

もちろんですが、手を出されてません。寝室別なんです。

魔族のお姉さんめちゃくちゃ綺麗だし悔しいですが、私に興味ないようです。 


 初対面でどうせ殺されるだろうから、魔王様の角に触らせてもらいすんごい感動しました! 

魔王様には変な女の称号を貰いましたが……  


 

 食堂に着くと朝ご飯を前に魔王様が食べずに待っていてくれました。優しいです。 

 「早く座れ、食べるぞ」魔王様に促され座ると侍女が直ぐにスープを運んできます。  

野菜スープをスプーンで口に運ぶ魔王様。 

時折長い舌がスプーンに絡みます。 

今日も色っぽいです。 

魔王様は綺麗です、真紅の目も黒い長髪も、その目に見つめられたら妄想が止まりません!長い髪が私の素肌に… 


「おい!汚い!よだれをスープにたらすな!」 

また魔王様に怒られてしまいました。

 






 

「申し訳ありません」

侍女のミゼルは深々と頭を下げた。魔王のカップに紅茶を注ごうとして、倒してしまったのだ。白いテーブルクロスに染みを作っていく。ミゼルは身をすくめ魔王を見た。ああまたやってしまった。 

「魔王様お許しくださいませ」恐怖にだんだん声が小さくなる。 

魔王は恐怖に震えるミゼルを見下ろし告げる。 「まだお仕置きが足らないようだな」薄暗く笑い、ミゼルの腕をきつく掴み立たせた。 

「昨夜の続きをしたいんだろう?」手には縄を持ち、捕食する前の肉食獣の目をする。 

ああ、また私は乱される…   



「お、おい!」 

突然の大声に柱に縛りつける所で私の妄想は飛んでいきす。 

「何で邪魔するんですか!大人しく縛らせて下さいよ」きっと魔王様に抗議します。

「だ、誰を縛るんだ、誰を!また馬鹿な妄想してたのか」 

魔王様に焦ったように怒鳴りつけられました。


「これから、お仕置きで魔王様が見事な縄縛りを披露する場面だったのにー!」   

「披露するかー!」叫びながら、椅子から立った魔王様はカップにぶつかり紅茶をこぼしてしまいました。 

 

「お仕置きですね。魔王様」私がニマニマ笑うと魔王様の肩が震えました、その瞬間空が光り後ろの木が倒れました。

魔王様が雷を落としたようです。        

  

「ごめんなさい調子に乗ってましたー!」私は魔王様にひれ伏しました。



 



……………




  

  

 初めてクレアを見た時に俺は密かに唸った。 

脆くて壊れそうだと、嫁として迎えると別の意味で唸った。 

こいつの俺を見る目は怯えるどころか、爛々と見すぎだと時にぶつぶつダメよとか呟き、よだれをたらしている。 

人として怖いぞ。 

 

 呆れた俺はクレアに聞いた何をぶつぶつ言っているかと彼女は「たわいもない妄想ですよ。魔王様のエッチー」うふふとはにかむ。はにかむ姿は乙女そのものだが…  

 

「も、妄想!エッチって何だ?俺は真面目だ」思わず睨むがクレアはしたり顔で「魔王様が真面目なのは知ってますよ。本命一筋なんですね!素敵ー」 

訳のわからんことを言い出した。 

 

「待て、俺の本命って誰だ?」俺でも初耳だ。

「うーん。ガーデルさんかマキュレーさんですか?二人とも爪が銀色で鋭く服を引き裂さいてくれそうですし、大きな角でつ」  「おい!」まだまだ続きそうな話をぶったぎる「二人とも男だろうが!よだれをたらすな!」    

 

 怒鳴るように叫ぶがクレアは頬を明るめながら「愛があれば性別なんで問題じゃありません!魔王様、至らない嫁ですが、魔王様の恋応援します」手をガシッと捕まれた。 


 違うぞ!


 

 クレアの妄想攻撃に地味にHPを削れた俺は心配顔の侍女ミゼルにクレアの相手を押し付け執務室に向かう。 

クレアはミゼルの出したデザートのケーキを食べ微笑んでいる。笑顔に一瞬目をひかれるもののあれは観賞用だと我にかえる。 


 

  

「魔王様疲れていますか?」執務室に入るなり宰相のマキュリーに声を掛けられる。珍しい、いつもの無表情だが心配しているようだ。 

「本当だ珍しい。魔王様疲れてる。珍しいー!」軍事指令官のガーデルは嬉しそうだ。     

   

「お前は嬉しそうだな。ガーデル」睨みながら言うがガーデルは怯まず「クーちゃんと一緒にいたんだろ?今どこに居るの?」 

 

「あいつなら内庭でケーキを食ってる」ケーキと聞くとガーデルは目を輝かせる。 

「俺も食べるー!」 

「ガーデル!書類が途中です」マキュリーの発言は空しく響く。疾風のガーデルは執務室から姿を消していた。 

今頃クレアに合流しているだろう。   

「ガーデル、後で書類を増やしておきましょう」マキュリーが無表情で呟く、ガーデル御愁傷様。 

 

  

 俺は書類の山を見ないように椅子に腰かける。 

「疲れている魔王様に申し訳ないのですが、お聞きしたい要件があります」マキュリーは淡々と俺に言う。 

 

「子供を作る予定はないのでしょうか?」まったくの無表情。 

 

「!!」驚き過ぎて声すら出来ない、目だけをマキュリーに向ける。 

「マキュリーは人間を嫌いだと思っていたんだか」やっと言葉を絞り出す。 

「嫌いですよ、もちろん」マキュリーはキッパリ言った。

 

「では何故だ?」  

「魔王様が彼女が角に触るのを許したからですよ。魔王の力の象徴で唯一の弱点である角に…」

「深い意味はないぞ」 

「本当ですか?   

 確かに、人間の女に欲情しないのは理解できますが、宰相としてお二人の子供がもたらす経済効果を期待しています」 

マキュリーは瞬きすらしない、言いたい事を言うとすぐに興味をなくしたのか書類をみている。

 

 

 俺が本気で欲情したら人間である彼女はひとたまりもないだろう。

俺も男だ、何度か寝室に入ろうと思いドアノブに手をかけたことがある。 彼女の妄想通りに振る舞いたいと思う夜もある。 

 

しかし、俺とクレアじゃ多きさが違う。彼女に無理をさせて嫌われたくないのが本音だ。

我慢だ…俺は溜め息をつくと机に座り書類に目をやるが何一つ入ってこない。  

頭をかきむしり角に触る。 

クレアに触れられた時を思い出し熱を持ったような気がした。 

 


……………… 



 

 

 私が5個目のケーキを頬張っているとガーデルが心配そうな声で言いました。 

「くーちゃん、すげえ食うな。ケーキそんなに食べてブタにならないのか?」  

 

ぐぐぐっ殿方が女性に一番言っちゃいけない一言をサラッと言いましたよ。 

 私のドン引き顔に悪いと思ったのか慌てて「くーちゃんは、少し太ったほうが、魔王様も抱き心地がいいだろうし」 

更にセクハラ発言まで飛び出す始末です。  


「ガーデル!セクハラですよ。魔王様に怒ってもらいます」 

「ご、ごめんよ、くーちゃん。詫びに魔王様のちょっとした秘密を教えてやるから、言わないでくれ」

「魔王様の秘密!是非とも知りたいです」 

「魔王様、実は抱き枕を愛用しててそいつが面白いんだ」 

まあ!意外なギャップ萌えですわ! 

あんな強面なのに私、大興奮です。 

1人寂しさを抱き枕で静める魔王様!是非とも愛用シーンを生で見たいです。 




 

  

 真夜中に私はベッドからこっそり抜け出しました。目指すはもちろん魔王様の寝室です。ギャップ萌えです。大理石の床は冷たく裸足で来た事を後悔してますが負けません。 

 

 寝室の場所は、初日に来ることはないだろうが念のために教えてくれています。長い螺旋階段を登った西塔の端が魔王様の部屋です。 

見張り?護衛?そんな無駄な物は要らないと魔王様が言ってました。俺が一番強いからだそうです。      


 私はシンプルな作りの白いドアをゆっくり開けます。 

協力者のガーデルが魔王様にお酒を飲ませてくれたそうなので(魔王様お酒弱い)少しの物音は大丈夫そうです。 


キングサイズのベッドの真ん中に魔王様が寝ているのが見えました。横向きに寝ている魔王様、抱き枕はどこでしょう?  

長い黒髪が肩にかかって素敵です。

私はベッドに登るともっと近くて見ようと魔王様に接近しました。ビバ抱き枕です。 

  

 すると魔王様が上半身を起こして、私を見ました。視線は定まらず、ぼーとしています。   

あっヤバイかも「あ、あの」言い訳は出来ませんでした。 

魔王様が私をぎゅーと抱きしめると抱き枕見つけたとばかりに、私を抱き込んで寝てしまったのです。 


嘘でしょ魔王様?これ妄想ですか? 

魔王様はローブがはだけて筋肉質な胸板が見えています。胸板にぎゅうぎゅーと押し付けられています。  

力強い両腕で抱きしめられて、息苦しいです。 

私は酸欠にならないために深呼吸をしました。 

  

「うっ」とたんに魔王様が艶のある声を上げました。私の息が胸に当たってくすぐったかったようです。なんて色っぽいのでしょう。自分の心臓の音がメチャクチャうるさいくて、どうしたらいいのかわかりません。 

抱きしめられるだけで壊れそうなのに、それ以上されたら…

 

妄想より現実の刺激が強すぎて私はくらくらしました。

  


 

 

…………… 





      

 目を開けると嫁をクレアを抱きしめていた。 

酔っぱらってとうとう欲情のままに抱いたのか?焦ったが二人とも服を着ているからセーフのようだ。部屋は自分の寝室で間違ってもクレアの寝室ではない。 

俺が酔った勢いで引っ張ってきたのだろうか?記憶が曖昧ではっきりしない。ただ夢の中にクレアが出てきて抱きしめた。あれは本当に夢だったのか? 


「ううん」抱きしめる力が強かったのか腕の中クレアが身じろぎした、少し力を弱めると寝息をたて始めた。呼吸に連動してクレアの胸が動き俺を魅了する。    

   

「我慢だ。我慢だ」俺は邪念を振り払おうと頭をふる。

「何が我慢なんですか?」寝ていた筈のクレアが起きて俺を見上げていた。俺は腕を離して彼女を自由にした。

 

「起きたのか?」 

「はい。起きました。それで何が我慢なんですか?」  

「それより、クレアは何で俺の部屋にいるんだ?酔った俺が引っ張って来たのか?悪かったな」 

「違いますよ、魔王様は悪くありません。私が抱き枕を見たくて侵入したんです」 

「抱き枕ってなんだ?俺はそんなの使ってない」 

「えっガーデルが魔王様は面白い抱き枕使っているって言うので、こっそり見にきたら私が…だ、抱き枕にされまして…」クレアは顔が真っ赤になってしまった。 

「ガーデルに騙されたんだな」 

「ぐぬぬぬ。魔王様もお酒飲まされ騙されたんですよ!」 

「俺は役得だ」にやりと笑うとクレアは驚いたように俺を見上げた。 

「役得なんですか?私を抱きしめるのが? 

魔王様は趣味が悪いと思いますよ。魔族のお姉さん達なら役得でもわかりますが」 

「はっ!何言ってやがる俺の嫁はクレアだろうが、他の女じゃない」俺はイライラしていて後半は怒鳴り口調だ。

「でも、寝室別ですし何もないので、てっきり」 

「てっきりなんだ?」 

「いろんな妄想をしていましたわー」クレアは爛々としていた。

「俺の我慢は無駄か!」 






………………  




 やっぱり私、魔王様に我慢させていたようです。 

我慢して悶々とする魔王様も素敵ですけど、私も頑張らないと。     

 

 「魔王様!我慢は体に良くないので、私に出来ることなら協力しますわ。だって私魔王様のお嫁さんですもの!」 

「俺は無理をさせて嫌われたくないのだか」 

「私が魔王様を嫌いになるわけないじゃないですか!抱きしめられて嬉しかったです」  

「本当か?本当にいいのか?」魔王様に肩をがっと捕まれました。ちょっと痛いです。 

「ええと。現実が嫌にならない程度にお願いします」 

「わかった!二度と妄想に戻れないようにしてやる」 

魔王様に戻れない国に連れて行かれそうです。 

私、嫌な予感しかしません。

 

 


 私が魔王様の寝室から出られたのは一週間後でした。


 

 

結果、宰相様大喜び。 

   

抱き枕は宰相の入れ知恵です。

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