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聖なる歌姫は嘘がつけない。  作者: 水瀬 こゆき
幼少期編
21/22

すみませんでしたぁぁぁぁぁああ!!

遅くなりました〜。

お読みいただきありがとうございます!

お母様はその後何故か、訓練場で剣の練習をしているお兄様を侍女を使って呼び出し、それから執務室へと入っていった。それに続きわたくしも入室したのですが……

「えっ??」

部屋の様子が先程とは全く違って、驚いたわたくしは思わず声を漏らしてしまいました。

明るかった部屋の雰囲気はドヨンと薄暗く、やけにジメジメと湿度が高いです。さっきはそんな事なかったんですけど…。それに、部屋の一番奥に腰掛けていたはずのお父様が見当たりません。…あっ、いました。部屋の一番奥の端っこで体育座りをしています。

「お、お父……様??」

心なしか顔が引きつったような気がします。いや、でも仕方ないですよね?誰だって自分の親のこんな姿を見たらビックリしますよね。

一方意外な事にお母様は冷静でした。

お母様はお父様の姿を目にとめると、ハァとひとつ大きなため息をつきました。

「マリオス…?貴方、またそんなことをしているの??全く…いつまでたっても成長しないんだから。」

…え。お母様、お母様。今、またって言いました?聞き間違いじゃ無いですよね?と言う事は、お父様はよくこんな事をしているのですか?

アルカティーナの心の中を見事にも読んだマーガレットは、アルカティーナを振り返ると大きくコクリと頷いた。

「え、えぇぇぇええ~~~…。」

因みにお父様はただ体育座りをしているのではありません。よく見ると人差し指で地面にグルグルと意味もなく円を書き続けています。マンガに出てきそうないじけたボッチのキャラクターか何かでしょうか。

いつまでたっても此方を見向きもせずグルグル円を描いているお父様の頭を、お母様が扇でピシャリとはたきました。…痛そうです。

「いい加減になさいマリオス!大人気ないったらありゃしないわ!!」

はい。その通りですね。威厳溢れるクレディリア公爵の名が泣きますよ。

「だ…だって!ティーナが僕のこと、だ、だだだだだだだいっっきらいって!」

もう、僕は生きていけない。そう言って再び円をグルグルするお父様。


え。それ?それが理由なんですか⁉︎あの捨て台詞本気で捉えてたんですね??


お父様に申し訳なくなると同時に、お父様に呆れてしまいました。

因みに、お父様やお母様、それにお兄様は内面が少し変わってらっしゃるせいで忘れがちになりますが、皆さん美形様です。

まずお父様。少し癖のあるの金髪にエメラルドの瞳。仕事中の凛々しいお顔は令嬢、婦人、共に人気。でも個人的には今の姿を見たら皆さん百年の恋も冷めると思いますよ。

お母様。サラッサラの金髪にピンクの瞳。切れ長の目をした、綺麗な美人さんです。

お兄様。綺麗なさらさら金髪にエメラルドの瞳。黒縁の眼鏡をしています。勉強のし過ぎだそうです。そして例のごとくイケメンさんです。


そうなんです。とっても美形揃いなんです!でも、でも色々と台無しなのは分かっていただけますよね?


「失礼しますお母様、僕をお呼びですか?」

そう言って入ってきたのはやはりお兄様でした。

「ええ、待っていたわよルイジェル??」

何故でしょう。お母様から黒いオーラを感じます。そしてそれにお兄様とお父様が怯えているような…。気のせいですよね??


お母様は、お父様とお兄様を床に座らせるとその目の前で仁王立ちをしました。そのお顔は、にっこりスマイルです。

「で?二人とも?あの図書館の変わりようは一体どう言うことなのかしら??」

…部屋の温度が一気に下降したような…ブルリ。

すると正座した二人は互いに顔を見合わせると…

「「すみませんでしたぁぁぁぁぁああ!!」」

揃って土下座を披露してくれました。


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