オギャレッド
そう遠くない未来。
地球は異世界からの侵略者による脅威にさらされていた。
我々人類が猿から進化したように、侵略者たちは豚から進化した豚人類だった。
豚人類は人類よりも優れた科学技術や腕力を用いて秘密裡に侵略を開始した――
「キャー! タスケテー! 豚の人に襲われるー!」
「ぶぇへへへ! ロリータちゃん捕まえた~!」
「タッケテー! お母さん! お姉ちゃーんっ!」
「おうおう、活きが良いねぇ。
安心しな。ロリータちゃんのお母さんもお姉ちゃんも美人一家で有名だから、まとめて誘拐する事になってるからさぁ。ぶぇへへへ!」
「そ、そんな……あっ! た、助けて! そこの通りすがりのお兄さん!」
「え? 嫌ですよ。
ロリータなんて助けでもしたら後からどんな言いがかりや難癖つけられて社会的に抹殺されるかわかったもんじゃないじゃないですか。
僕が社会的地位を捨てるリスクを抱えてまでロリータを助けたいなんて考える低能に見えますか? 失礼する。」
「そ、そんなぁ!
……あっ! た、助けてください。通りすがりのお姉さん!」
「はぁ? 嫌なんですけど? てゆーか私そんなん出来ないし? ムリだし。
てゆーか私より将来性の有りそうなロリータなんていなくなった方が私の為だし?」
「…………」
「……ぶ、ぶぇへへへ…その……なんだ。まぁ、落ち込まないでロリータちゃん。
誘拐って言っても別にエッチな展開になるわけじゃないし。いや、そりゃ君が成人したらそういう展開もありかな? とは思うけど、我々もそんな鬼畜じゃないし誘拐した後の君たちに接する規則とか色々あるからさ。」
「……ぐすん。」
「な、泣かないで! 大丈夫大丈夫! お姉さん達を誘拐するのも、なんていうの君たち母子家庭なワケじゃない? で、生活も苦しそうだし、それならいっそのこと僕らで保護しちゃお? 的なノリの方が大きいからさ。
いや、そりゃ君たちが美人ってのが大きいよ? 誰にでも誘拐とかそんな野蛮な事しないし、君なんか特にアイドル性が見いだされてってのが大きいからさ。」
「……アイドル?」
「そうそう。こっちだと歌ったり踊ったりしてテレビに出てるアレみたいな。
僕らの場合は、テレビというか3D配信なんだけど、もちろんスカートの中とか覗けないようにクリーンなアイドルとして売る対策はとるし安心して活動できるようにバックアップするから安心して。お給料もちゃんと出るから。税金とかの面は僕がバックアップするからさ。」
「難しい事はわかんないよー! うわぁぁん!」
「あわわわわ!」
「待て―いっ!
「誰だっ!?」
「超可愛い天使のロリータちゃんをどうするつもりだぁっ!」
「あぁっ! アパートの204号の隣のお兄ちゃん!(スっ)」
ピュインピュインピュインピュイン
「ちょっ!? なぜに俺が登場すると同時に防犯アラームを鳴らしたんだ! ロリータちゃん!」
「だって、お母さんが引きこもり無職のお隣のお兄ちゃんが声をかけてきたら、すぐに鳴らしなさいって……」
「お母さんっ! 俺をそんな風に見ていたのか!」
「ちょっとロリータちゃん。ポリスメン来ちゃうかもしれないしソレ止めてもらってもいい? 僕がロリータちゃん抱えてるから安全だからさ。耳痛くなっちゃうし。」
「あ。ごめんなさい(カチっ)」
「おおぃっ! 呼べよポリスメン!」
「きゃあ(スっ)」
ピュインピュインピュインピュイン
「大丈夫大丈夫。ほらあのお兄さん近づいたら僕がその分逃げるから。なんなら一回おりる?」
「ホント?(カチっ)」
「ありがとー。ポリスメン来ちゃったら僕がポリスメンをブッ飛ばさなきゃならなくなるからね。
あんまり暴力とか使いたくないし。どうしても力と文明の差で勝っちゃうし怪我とかさせちゃったら申し訳ないからね。保証とか賠償とかそういうの言われると構成員の僕の責任になるかもだし。」
「はーい。優しいねー。ブーちゃん」
「ぶぇへへへ! そうだよー。ブーちゃんはこう見えて優しいんだよー。」
「クソーうっ! なんで俺よりも豚の方が信頼されているんだぁっ! 俺は誓ってノータッチなのに!」
「いや、そりゃあ無職ニート引き籠りロリコンよりは、まだ侵略者の方が信頼されて当然じゃないかと思うけど……」
「ざけんなっ! 豚人のくせして! 吐く息くせーんだよ豚がっ!」
「あー。お兄ちゃん悪口言ってる。」
「ロリータちゃん! 悪口じゃないんだ! 事実なんだ! そんな豚は信じちゃダメだよ! 口だけならいくらでも言えるさ!
ロリータちゃんは誘拐されたら、それこそ鬼畜エロ同人が如く性欲魔人のブタに、らめぇっ! なプレイをされる展開しか俺は思いつかないよっ! そんな事になったら俺はもうたまらん! 早くブタから逃げるんだっ!」
「えっと……きちくえろどうじん? ってなに? ブーちゃん。」
「ん~。ロリータちゃん。良い子は知らなくていいよ~。
ちょっと無職ニート君。未来のアイドルを汚すような事はやめて貰えないかな? アイドルを守る為なら僕はこの手が汚れても構わないと思っているんだよ? ふんっ!」
「っ!? ブロック塀が一撃で粉々……だとっ!」
「分かったかい? 分かったのなら無職ニートは回れ右してさっさと巣に帰りな。ぶぇへへへ。」
「くぅっ……ふ、ふふふ。ふはははは。
俺をただの無職ニートと思うなよ! 無職ニートとは仮の姿っ!
真の姿は地球を守る秘密結社の一員だっ!」
「……うわぁ。」
「おい……うわぁ。ってなんだよ。素に戻って引くなよ。」
「いや……だって……
……ニート君。この空気でももっかい今のセリフ言える?」
「言えるさっ! 俺の真の姿は地球を守る秘密結社の一員だっ!」
「あーいたー…イタイタッタッターいたー……
あー。ロリータちゃん。見ちゃいけません。」
「大丈夫! お母さんに『ああはなっちゃダメよ』って言われてるから。」
「クソーうっ! もういいっ! ブッ飛ばしてやるからな! 腐れ豚人がぁっ!」
「もうっお兄ちゃん! めっ! ひどい事言っちゃダメなんだよ?」
「……」
「……」
「……」
「……おほぉ」
「「 ? 」」
「おほぉおおおおおおおおおおっ!
キタキタキター! ちょっと変則的だけど微かなバブみを感じたぁあぅおぉぅううっ!」
「えっ?」
「うわぁ……」
「オギャぁああああああああっ!!」
「まぶしっ!」
「なんだっ!?」
「天が吠え、海が鳴り、地が叫ぶ! バブみを守れと轟き叫ぶっ!
バブみ戦隊オギャリオンっ! オギャレッド! 参上っ!」
「ええっ?」
「変身した……だと?」
「とーうっ! オギャレッドキーックっ!」
「ぐわぁっ!」
「ブーちゃん!」
「さぁ、ロリータちゃん! 逃げるんだ―! 早く逃げるんだ―っ!」
「いててて……ロリータちゃん。危なそうだからここから逃げた方が良いよ。」
「う、うん! あ、ありがとー!」
「ムゥン! さぁ、立て豚野郎!」
「このニートが……よくもやってくれたなぁ。
だがこのキックの威力を見るに普通の人間とは違う。手加減する必要は無さそうだな。ふんっ!」
「(くっ! 辛うじて避けたが風圧だけでも分かる。こいつは強い)
ふん、どうした? 随分大振りなパンチだな? そんなパンチは当たらないぞ? お返しだっ!」
「(むっ、早い。一撃のダメージは少なくとも積み重なると危険かもしれん)
まさか今のがパンチって事はないよな? あぁ、蚊でもいたのか? 退治してくれてありがとう。」
「……」
「……」
「ふんっ!」
「ムンッ!」
「おらぁっ!」
「ダラァッ!」
「オギャァアアッ!」
「うぉおおおっ!」
「ギャバアァアアッ!」
「がぁああああっ!」
「ハァッハァッ!」
「フッ、フゥッ!」
「っ!?
コレはロリータちゃんの匂いっ!?」
「なんだと!?
戻ってきちゃダメだ! ロリータちゃん! このニートは危ない!」
「お巡りさん。あの人達です。」
「「 えっ? 」」
「確保―!」
「「 ナムサーン! 」」
こうして今日も地球の平和は守られた。
戦えオギャレッド。 頑張れバブみ戦隊オギャリオン。
タイトルを思いついたら書いていた模様。
後悔しかしていない。