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弟と私。  作者: 黄色い富士
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弟と恋バナ。

みなさん恋バナって知ってますか?

恋のバラードじゃないですよ〜〜


恋の話ですね〜〜


なんでバナ、なのかはわかりませんが…


(バナナじゃないよ?!)


この間にですね、弟と恋バナ、したんですよ〜〜


弟がですね、

「ねーちゃんはどーせヲタクだからアニキャラとかにしか恋しないでしょ?」

とか煽るから言ってやりましたよ。


「そうです!その通りでございます!」


監獄少年(かんごくショタフィーバー)ってアプリ知ってます?←読み方がwwかんごくしょうねんであってるからねw

そこにですね〜薬学の草間才蔵様がいらっしゃるのですが…いいショタだよね!


番外編見た人はわかるだろうけど、泣き顔で助けてっ…!とか言われたら意地悪しちゃうわ…


と、まあ他にもあんてぃーくの金ピーくんとか鈴屋什ピーくん、もとい玲ちゃんも好きですけど…


その中でね、生身の人間を好きになったこともあるんですよ。


今回ちょっとレズな雰囲気もありますので苦手な方は回れ〜〜右!





恋は、心じゃない…

体でするんだと、貴女に教わりました。


初めて、「人を愛する」ことを貴女に気づかされました。


貴女は今、どこで、何をしていますか?


私は、幸せです。


私がまだ、幼い少女の頃。


一つ上に当たり前のようにその人はいた。


決して可愛いとは言えない。


サバサバしてて、つり目で、ちょっと…いやだいぶ怖くて、男勝りな女の先輩だった。


部活の、先輩。


薔薇のような棘のある厳しさと

百合のようなしなやかな美しさ…


全てを魅了するような妖艶さ。


男どもの顔色はいつも彼女のご機嫌を伺うような、媚びるような…


そんな視線も諸共せず先輩は一匹狼…つまり一人でいた。


美しすぎる容姿に誰一人として近づけなかったのだ。


そう、その人はとにかくすごい先輩だった。


…同時に、悲しそうにも見えた。


一人は、そうは言っても辛いからね。

by今もぼっちの高校生活エンジョイマン


思い切って先輩の一人昼食の時に突撃したんだ。


「ナイスバディーなタコさんウィンナーですね!」


穴があったら入りたい。

この時初めてこの慣用句を使ったのを覚えている。


ナイスバディー、それは先輩を見た時に心に仕舞おうとした。


タコさんウィンナー、これはお弁当の中身…


体は正直?

バカ言っちゃいけねぇ。

お口が正直でした。


先輩はもう呆れ果てて…

もうだめって思ったら大笑いした。


あの冷徹そうな先輩が。


「あっはははははは!!

なんだよ、それ?あははっ!!」


先輩曰くそんなことを言われたのは初めてらしい。


まあ、あんだけご機嫌うかがわれてたらそうさな…。←ほ、方言が…

この田舎もんっ!!

す、すいません…っ!!


そのあと先輩とはもうめっちゃ仲良くなっちゃって…


先輩には、彼氏がいることも知った。

その時は、ふーん…くらいだった。

まだ恋愛感情なんてなかったから…






そんな、ある日。


事件は起こるんだ。


幸せな日々、なんて最悪へのカウントダウンだからね。


その日は、部活もオフで、先輩と二人で遊びに行くつもりだった。


いつもの部室の前。

当たり前が、当たり前じゃないと音を立てて崩れ堕ちた日の当たり前の場所。


もう、夕日が出てて…先輩と夕日を見てなんやかんや語りたいなんてロマンチックな妄想に浸る。


そこに恋愛的要素なんて何もない。

あるのは、先輩と後輩という空虚。

そして、二人の女子がいるという事実。


先輩は、夕日に照らされて、そこにいた。


先輩っ!

後輩らしい私の声は響かない。

空虚な空間が、吸い込んで離さなかった。


響いたとしても、あの時の彼女には届かなかっただろう。


彼女は、おそらくあの日、彼氏といた。

目の悪い私には部室の前で彼女の目の前にいる人物が誰かさえも分からなかったのだ。


わかったのは、争う声と罵声。


助けなきゃ、と本能が叫んだのはその人物が彼女に手を挙げたから。


部室の階段を一気に登って、彼女の前に立つ。


渾身の力を振り絞って出たのはやめろだった。


震えていた。


護らなきゃいけない。


本能が、体が、心が、細胞が。


彼女を助けることだけに集中して、熱く。燃えそうだ。


男は、冷徹そうに微笑んで、私たちの横を通って帰った。


その時、彼は私の耳元で呟いた。

決して彼女には届かない。

小さな悪を残して行った。


「いつか、不幸になるぞ…」



力が抜けたのか先輩が私の肩にもたれる。


その凜とした体は震えていた。


私は何も言わず、立ち尽くすばかり。


彼女は、泣いていた。


花が天の恵みを受け、それを地面に伝えるように。


赤い光を帯びて、私の肩にそっと、落ちた。


「…帰ろうか。」


先輩がそう言ったのは数分後のこと。


「…ごめんね…こんな醜態…ふふっ…」


「…」


私の中で何かが芽生えたのはこの瞬間だった。


「なんで…」


拳が次第に強大な力を帯びる。


「なんで…っ…」


語気が強まって、行く。


「わたしっ…っ…」


ダメ…。これ以上言ったら先輩を怖がらせてしまう。


「私じゃ、ダメなんですか?

…先輩の、力になれませんかっ?!」


戸惑って。

俯いて。

顔を上げて、またあの泣きそうな微笑みで、私を翻弄する。


「私は、そんな顔させないっ…」


先輩の体を抱き寄せて、力一杯抱きしめた。


抱いてわかるのは、華奢なこと。


女だって、分からせられる。


レズじゃないし、普通に恋もしたはずだった。


…もう、理屈じゃなかった。


私という存在自体が先輩を欲しがった。


一人の女としてじゃない。


一人の人として、彼女を愛した。


「……そうか。ありがとう。」


先輩は私の腕の中からスルリと出て、肩にそっと手を置いて、


「…私じゃお前のことを受け止められない。ごめんな…。ありがとう。…さよなら。」


…私は、嘘をついた。

初めて、先輩に嘘をついた。


……「そんな顔」をさせてしまった。

本当は、全て自分のせいだと知ったのは少し後のことだ。


ー…先輩と話したのはこれが最後だった。


次の日からは先輩は部活にも来なくなった。


学校でも合わなくなった。


…風の噂では、転校したとのことだった。


もう、二、三年も前のことだ。


…少し前のことなんだけど、

突然、先輩から手紙が届いた。


先輩の宛先はなく、ある人から受け取ったものだった。


最後も先輩はずるかった。


心も体も…乱れ乱れた私に、

先輩は綺麗な顔をして私から逃げた。


真実も闇に葬ろうとした。


その人に聞いた。

先輩の大の仲良しだったから。


あの日あったのは、やはり先輩の彼氏らしい。


喧嘩の原因は、私だった。


彼としては、先輩が浮気をしたと勘違いしたらしい。

…それが(もつ)れてしまった。


全てを知った私は、正直、死にたくなった。


大事な、本当に大事な先輩を陥れたのは私だったのだから。


もういっそ、消えればいい。


誰も悲しまないように…。


それでも私は生きている。


…それは先輩の手紙だった。


『黄色い富士へ。

元気ですか?

頑張ってる?

今は大変な時期だね。


あの時、貴女から逃げてしまったことを謝らせてください。


貴女の気持ちが迷惑だったわけじゃないの。

むしろ、本当に嬉しかった…。


だからこそ、私は逃げてしまいました。

貴女の未来を奪いたくなかったの。


だから、ごめんなさい。

対面して言えないことも、

私にとっても…辛い。


貴女の視界に今も、私は生きてるかしら?

いないのなら、それが私の本望です。


最後までダメダメな先輩でごめんね


ありがとう。』


やっぱり、ずるかった。


先輩には忘れさせる気はさらさらないのだ。


私の中に深く刻み込んで、


苦しく包んだ。




ああ、見えるよ。

先輩が、微笑む姿が。


いつもの部室の前で、

いつものように、私を待つ、貴女の姿がー…







「ねーちゃんにそんな過去があったとは…」


「こんな話、あったらいいよね〜」


「はぁあぁああっ?!」


「ぜーんぶ作り話だよ〜っだ!」


べーっと舌を出す。


不服そうな弟が愚痴を吐く。


そんな日常が続くのも、これから辛いことが起こるためのカウントダウンだ。







そう。

だって、作り話だもん。



私が作ったと思い込みたい作り話。


本当にあったのか、なかったのかは私だってわからない。


どっちなのかな?


本当にあった話?


それとも作り話?







ねぇ、みんなは、どっちだと思う?










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