ある夏の日のこと。
なんだろう。
このタイトル。
前にも書いたような気がするのは気のせいだと思いたい。
…ところで…夏ですね。
私事で申し訳ないのですが、それでもいいですか?
今日ですね、花火を見に行ったんです。
それでですね、いい感じの曲を流したんですよ。ちょっとセンチメンタルな。
そしたら、こんな映像が思い浮かんだんですよ。
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
ナレーション 俺たちは東京の人里離れた丘にいた。
浩 「…」
ナレーション 隣には俺の初恋の人が座って夜に咲く大輪の花を見ていた。
音も、彼女の声も、なにも聞こえない。
BGM係 ここら辺でセンチメンタルな曲を流してー!
了解!
チャン…チャララ…
ナレーション 俺は一人、田舎の両親のことを思い出していた。
回想シーン係 ここら辺で親父の回想、お願いしまーす!
了解っす!
ナレーション 思い出すのは、親父のこと。
『お前は、俺を継げ。』
ナレーション 怒るでもなく、悲しむでもなく…ただ静かにそう告げた。
『俺はあんたを継がない。俺は、俺のやりたいことをやる。』
ナレーション 今更のように親父は、眉尻を下げ、悲しみを露わにした。
『そうか。』
主人公の心情 そんな親父が俺は嫌いだった。
人の意見を鵜呑みにして、自身の意見が否定されることを怖がる卑怯者。
だから、嫌いだった。
『俺、あんたのそういうとこが嫌いだよ。』
『……そうか…。…そうだな…』
嫌いだよ。
ああ…嫌いだ。
そうやって人がいいから騙されるとこ。
頼まれたら絶対に断らないこと。
夜遅くまで、文句も言わずに仕事をしていること。
人一倍、人の心配をして、逆に鬱陶しく思われるとこ。
…そのくせ、俺のことは自由にすること。
大っ嫌いで、…大好きなところ。
仁美 「ねぇ!ひろくん!聞いてるの?」
浩 「あ…ああ…」
仁美 「だからね………」
ナレーション 仁美の声は段々と消えて行った。いや、聞こうとしなかったのだ。思考回路の全てが、母親に奪われて。
『浩…帰って来てくれないかい?』
ナレーション 突然の母親からの電話だった。帰って来いとの電話だった。
『…ああ…その内な…』
ナレーション 嬉しそうな母親の声が聞こえた。それはもう、窶れた母親の振り絞ったような声。
その時は、なにも気がつかなかった。
色んなことに追われていた時期だったから。
主人公の心情 いや、気がつこうとしなかったのだ。面倒事を後回しにしたい気持ちが僅かに残る俺のやる気を削いだのだ。
そういう時期だと言い訳を探して、どうでもいいと投げ出した弱さだった。
…。
帰ろう…。
浩 「なあ」
仁美 「え?なぁに?」
浩 「俺さ、田舎に…帰ろうと思う…。」
仁美 「え…?」
浩 「だから悪りぃ。会えなくなる日が続くかもしれねぇ。」
仁美 「…そっか。」
ナレーション 仁美が気になり、隣を見る。その横顔は、笑っていた。仁美のふんわりしたあの笑顔だ。
仁美 「でもさ、突然、どうしたの?」
ナレーション 仁美が俺を見た。
俺を射抜く仁美の双眼が揺らぐ。
炎を帯びた薪のように。ユラユラと。
迷うように。
惑わすように。
浩 「…実は…」
ナレーション 俺は今までのことと考察した全てを曝け出した。
一つも残さずに。全部。
仁美もまた、それに答えるように頷く。
どこまで伝えられたかはわからなかった。
仁美は鮮やかな花火を見つめながら呟いた。
仁美 「…じゃあ、さよならだね。」
そうだ。
…さよならなんだ。
俺は仁美じゃなく、感情を選んだ。
それだけだ。
きっと、仕方のないことだった。
それで片がつく簡単で儚い話。
仁美は自然消滅よりも、自分から終わりを告げることを選んだ。
…それだけなんだ。
それなのに、俺は、なぜ、涙を流しているのだろうか。
もとい、それは、仁美も同じだった。
一瞬の火花は俺たちを物語っていた。
仁美 「…二度と、出会わないわ。…あなたと。…さよなら…。」
浩 「ああ。」
きっと………
出会うことはない。
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
夏のセンチメンタルな一面。
親父と浩は仲直りできているといいですね。
仁美は…いい出会いをっ!
センチメンタルな曲を流すとそれ相応の悲しい?物語が待っているんですね…。
春は出会いと別れの季節とは言うものの、夏の方が、ちょっぴりおセンチになります。
最近、ほんと弟が出てこないのはすみません…m(_ _)m