第1話 降誕
2100年、ここは全ての仕事がロボットによってこなされ、人間はひたすら余暇をバーチャルリアルティーの中で過ごす世界。
そして、数多のゲームの中に1つのタイトルがある。
<サバイバーオンライン>
NPCの都市に召喚されたプレイヤー達が都市から出て未知の土地を開拓し、<コロニー>を作る巨大オープンワールドを誇る中世ファンタジーゲームだ。
ゲームの中ではプレイヤーの体感時間が極限まで引き伸ばされ、発売から現実では1年経った現在、ゲーム内の時間はすでに1000年を超えている。
1000年記念で、第3回目大型アップデートが実装されたばかりのサバイバーオンラインのプレイヤー作成空間に1人の男が立っている。
真っ白な空間とは対照的な真っ黒の髪のアバターを作った彼はステータスにボーナス数値を振る作業をしている。
ボーナス数値100
プレイヤーレベル 1
体力 100/100
攻撃力 10⇨60
防御力 10
器用 10
素早さ 10⇨60
知力 10
魔力 10
<装備>
初心者の剣
初心者の革鎧
初心者のブーツ
驚くべきことに彼は攻撃力と素早さのみに数値を振り、そのまま決定ボタンを押したのだ。
そして全ての初期設定の確認画面を読み流し、再度確認ボタンを押し、サバイバーオンラインの世界に降り立つための魔法陣が現れ、魔法の光が彼を包み込んだ。
のちの<厄災の死神>がサバイバーオンラインの大地に産声を上げた瞬間であった。