表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/21

第1階層 我が試練の塔 1層

 さて、工房棟を出た我が一味、我と泥水ちゃんはついに我が試練の塔・第1階層に入った。


 我が第1階層はいわゆる迷宮型で、出てくる通常モンスターはゴブリンさんとコウモリさんのみで非常に弱い。


 スキル《神乳》の強い恒常性によってろくにレベルの上がらない我でも辛勝できる。


 とはいえ、戦闘に参加したところで何の足しにもならないので、移動中も戦闘中もひたすら操式魔法や踏式魔法、口式魔法を駆使して泥水ちゃんの能力をかさ増しするのが我の役割だ。


 筋トレも魔トレも全く役に立たない体なので大魔力を消費して急激に能力を上げる、ということは出来ない。


 しかし体力魔力の回復は早いので、微弱な効果だが延々累積するバフ系魔法を四六時中かけ続けることができる。


 一度塔から出ると累積分は消えてしまうけどね。




 さて泥水ちゃん。あの異形の拳鍔シミターでどんな奇抜な戦いをしてくれるのかと楽しみにしていたのだが。


「え、いやっすよ。打ち合って刃こぼれとかしたら怖いっす」


 例の拳シミどころか、下手に受け止めて金属がへたるのも嫌がって両方の手甲を外し、袖も捲ってすべすべの肌をさらしている。


 どうせ《神乳》で治るのだからと、血塗れで白羽取りするのである。


 時にゴブリンソードの錆びた根元を掴み、時にゴブリンナイフのにぶい先端に掌を突き刺して相手の動きを止め、アグリッパ某からもらった鉄串を、これまた骨にぶつかって欠けないよう丁寧に顎の下や鼻の穴から突っ込んで脳髄をグチャらせ仕留めている。


 例の如く泥沼のような瞳で、鼻唄混じりに次々収集ポーチへと詰め込んでいく。


 アグリッパ某の意味深な言葉を理解した。


 一々痛い思いをするなんて割りに合わない?でも装備より体を消耗させた方が経済的で合理的だよね?次の戦闘までに傷治ってるし。


 どんな理屈だよそれ。


 なるほど、3年間、Lv30の化け物と戦い続けてきたやつがまともな神経をしているわけがない。


 愚鈍ゆえに愚直に折れず曲がらず挑戦し続け、鈍感な神経はおかしいと気付かず常識から脱線し続け、今日かかる次第に相成ったというわけだ。


 無能め糞便めと馬鹿にしていたが、ここまでの馬鹿とは思いもよらなかった。


「凄いよ泥水ちゃん。惚れた。今晩は我がお嫁さんになってあげるよ」


「何かいろいろ無茶だと思うっす!?」


 無茶苦茶なのは泥水ちゃんだと思うけどね。




 結局、拳シミの活躍を見ることができずに安全地帯まで着いた。そのままご飯の時間に突入だ。


 試練の塔は元々が丹錬のためのシステムだ。日々の食事もまた、丹錬に欠かせないものだ。


 そして何と学園外の常識では驚くべきことに、試練の塔では内部の生命を取り込むことで、微かだが食べた者の能力が増すのだ。


 初代竜帝が己の塔内で竜の血を浴び続けて力を増し、現在の尾長共の祖となった。というのは内外を問わず有名な話である。


 しかも我が恐るべきスキル《神乳》は、塔内の食事と併せることで能力の上昇を劇的に高めることができるのである。我には恒常性が働いてあまり効果はないが。


 さて、今日のメニューはゴブリンとコウモリのぶつ切りクリームシチューだ。収集ポーチの肥やしになっていた巨大寸胴鍋をやっと使える日が来た。仲間がいるって素敵だなあ。


「何これ溶鉱炉!?聖母様、こんなに食えないっす!」


 大丈夫。我が畏れるべき《神乳》のおかげで、食べた端から消化されていくから何杯でもおかわりするとよい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ