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体育祭 最終種目 決戦トーナメント

 第二種目はおおだまころがし。これはしゅももちゃんが自慢の足さばきで大活躍だった。


 玉を転がせれば手だろうが念動力だろうが何でも良い競技なのだが、しゅももちゃんは曲芸のように上に乗る、という周りの冒険者共と比べれば真っ当な手段でミスリル合金製大玉を転がしていた。


 他チームの妨害もOKなのでしゅももちゃんの大玉も道中、熱したり冷ましたり、パンチしたりされて、粉々に砕けたのだが、準備体操時に討伐されたはずの莞爾ちゃんが登場。射出した粘液で大玉を固めて最後まで走りきる、という敵キャラが味方になる王道展開もあって我満足。


 いや、元々莞爾ちゃん味方チームだったか。なんであいつカッコつけて、"借りは返したぜ"、って言ったんだ?あ、負債を返済したって意味か。だったらあってる。


 その次はお昼休憩を挟んで、神官系や支援系臣民による応援合戦。


 各塔民の間で受け継がれた歌や踊りの披露と、伝統料理なんかの数々が観客側には振る舞われる、各勢力の示威行為の場である。昼休憩の後に何でまた飯を振る舞うのか。スケジュール組んだやつは何考えて、いや、色んな思惑に板挟みなのかもしれない。


 平和な応援のはずが一番政治が絡んでくる種目である。レクリエーション種目なので全員が同じ点数が入ってるはずなのに、悲喜交々の顔があちこちで見受けられる。


 これは最終的に神々の代理戦争にシフトしてっておもしろかった。とくに龍帝が顕現して懐かしそうに自分の尻尾をステーキにして振る舞った時にみんな苦い顔をしていた所とか。討伐されたこと全然根に持ってないどころか進んで祭事として取り込んでくる神様なので、罪悪感で辛いよね。あるのだ、冒険者学園帝国にはドラゴンステーキ記念日が。


 と、面白エピソードはあれこれあったのだけど、そろそろ冒険したくなったので、体育祭のいろいろはしょって目玉のトーナメント戦にうつるね。気が向いたら語るよ。気が向いたら。


 トーナメント二回戦目にしてしゅももちゃんを降した木苺心子(こころこ)ちゃんとシード枠生徒会長ドラキュラ☆キララの戦いがトーナメント三回戦では特に注目の白熱したバトルだった。


 その裏番組として裏穢田院と呼ばれる《攘蛆(パライソ)》からの刺客、攘蛆(パライソ)人尽(にんじん)による学園帝国転覆作戦を絡めた戦闘がエルドラド泥水ちゃんを主人公にやってたのだけど、劇場版オリジナル展開って感じでそっちも趣き深かった。少ない予算と人員で良くやったと思う。


 ここから四回戦目、キララと泥水ちゃんの戦いが始まる。


「鬼とカテゴリーされるモンスターの特徴は、核と呼ぶ本体があることでしゅ」


 君臨猪(オークロード)さんの核から作り出した拳鍔シミターが、泥水ちゃんと融合し、キララの肉を噛み切り、その姿を変えていく。


 己の防御力に任せてノーガードで攻めるキララは泥水ちゃんの攻撃に驚くも、動きが止まることはない。龍帝素材で磨製石器の鋸を再現したみたいな国宝の牙剣《顎》を軽々振り回し泥水ちゃんを刈り取ろうと迫る。羽ばたいて体を反らし距離を取る泥水ちゃん。


「スキル悪食同化にこんな力はないでしゅ!耳鬼(ミミック)の寄生、ここまでの」


丸耳の耳長(先祖返り)のエルドラドが、我らの希望たる所以」


 何か耳長にまつわる重要なエピソードが付近で流れた気がしたがそのまま聞き逃し、泥水ちゃんを応援する。キララが嫉妬でいきんでいるのが背中越しでもわかったがそんなもん知らん。我聖母ぞ。権力ないけど権威はお前とトントンだからな。


「泥水どの、お力添え痛み入る。しかしここは最早、約束の地」


「ケッ。つまんねーの。まあ仕方ないか。そういうヤクソクだもんな。せいぜい、聖母ちゃんの癇気に触れないように立ち回れよ。あんた、嫌われてっから」


 泥水ちゃんが一人二役でぶつぶつ喋りだした。いや、別に嫌ってるわけじゃない。ただ、あいつ順当に武人過ぎてちょっと取っつきづらいだけである。


「あなた、誰?」


「お初御目にかかる。これなるは丸耳の耳長エルドラド泥水が宿主」


 三下ロールプレイしてる下衆、なエルドラド泥水がお気に入りなので普段から表に出てきてもらっているのだが、どうも二人の間で取り決めがあるらしく、ここ一番の大勝負では必ず彼女に切り替わるらしかった。耳長とエルフの関係性はまた違うらしいのだが、寄生というより契約関係みたいな二人である。


「名を、穢田淋圉(りんご)と申します。いざ、参る」


 穢田院の麒麟児。真の足長。丸耳からの使者。私の末尾(おわり)。色んなあだ名を各地で貰う彼女の、その最も有名な二つ名は戦士の中の戦士。


 この試練の塔では多くが特殊で強力な職に就くなかで、彼女の職業は平凡なただの戦士。己の塔も攻略できない、なんの功績もなく、何の力もなかったはずの彼女をしかし、誰もが尊敬して止まなかった。その恐ろしさを、キララと僕はこれから味わうことになる。

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