心配性
僕は少し変わっている。どう変わっているかというと、過度の心配性なのだ。
いろいろなことが心配で、いつも慎重に行動する。
横断歩道を渡る時は、一度赤になってから、さらに青になるまで待つ。
朝、出かける時間よりも三時間早く起きる。
そんな僕のことを、みんなは変だというが、心配し過ぎて悪いことなんてない。
僕が今、心配なことは、はじめてできた彼女と明日デートする約束をしていることだ。
約束をしたのは三ヶ月前で、デートの場所は七回ぐらい下見をした。
雨が降っても大丈夫で、交通の便が良くて、治安がよく安全な所を選んだ。
実際に三回ぐらいシュミレートして、どこに行けば何があるか把握した。
そして、話題が尽きないように彼女の好きな派手なビジュアルバンドの事も知り尽した。
正直いって、そこらの女の子達よりも詳しいはずだ。
お風呂に入って、体を隅々まで洗い。三回ぐらい洗い。髪の毛も四回くらいシャンプーした。
寝癖がつかないように、きちんと乾かして、明日持っていく物のリストを何度もチェックした。
ここまで、準備をしておけばさすがの僕も一安心だ。
時計を見るとまだ六時を回ったところだが、明日は五時間早く、午前三時に起きる為にはそろそろ寝なければならない。
しかし、明日のデートへの不安と期待と不安で、どうしても寝つけない。
少し考えて、母がいつも使っている睡眠薬を飲むことにした。
一粒では効果があるか不安なので瓶に入っているカプセルを2/3くらい飲んだ。
急速に眠気がして、布団にたどり着く前に意識が薄らぐ。
これで安…し…眠……。