第四話「境界本層」
> TYPE I が境界の裂け目へと消えた瞬間、
> ブラックリム全域の境界反応が跳ね上がった。
> まるで“境界そのもの”が目を覚ましたかのように。
第四話「境界本層」
ミオの端末が赤い警告で埋め尽くされる。
「レイさん!前線基地周辺に敵反応多数!
ABYSS HOWLERだけじゃない……未知の反応も混じってる!」
レイはTYPE Aのコックピットに飛び乗り、
システムを強制起動させる。
「……来たか。
TYPE I が本層に踏み込んだ影響だな」
ミオが叫ぶ。
「レイさん、TYPE Aじゃ無理よ!
境界濃度が上がりすぎてる!」
レイは操縦桿を握りしめ、静かに答える。
「TYPE I はまだ一機しか完成していない。
アキラを信じて、あいつが戻ってくるまで……
このTYPE Aでしのぐしかない」
そして、深く息を吸い込む。
「護りきってみせる。
今度は――誰も死なせはしない!」
---
◆ ブラックリム前線基地 ― レイの死守戦
境界霧が裂け、無数の敵影が現れる。
ABYSS HOWLERの群体、そしてその奥には――
黒い触手のような“境界の欠片”が蠢いていた。
ミオが悲鳴に近い声を上げる。
「レイさん!あれ……TYPE Aのセンサーじゃ解析できない!
境界そのものが形を持ってる……!」
レイは歯を食いしばる。
「解析なんていらん……来るなら、叩き潰すだけだ!」
TYPE Aが加速し、敵群へ突っ込む。
境界濃度の影響で装甲が軋むが、レイは止まらない。
「アキラ……お前が向こうで戦ってるなら、
俺もここで戦う!」
敵の触手がTYPE Aの腕を絡め取る。
警告音が鳴り響く。
「くそっ……離れろ!!」
レイは腕部ブースターを逆噴射させ、強引に引き剥がす。
その瞬間、背後からHOWLERが飛びかかる。
「レイさん!!」
ミオの叫びが響く。
レイは振り返りざまにライフルを撃ち抜く。
「まだだ……まだ終わらん!!」
だが、敵は次々と湧き出てくる。
境界反応はさらに上昇し、基地全体が揺れ始めた。
ミオの声が震える。
「レイさん……もう限界……!
撤退しないと――」
「撤退はしない!!
ここを突破されたら、後方の避難民がやられる!」
レイは叫ぶ。
「アキラ……早く戻ってこい……!」
---
◆ 境界本層 ― アキラの視界
一方その頃、アキラはTYPE Iのコックピットで目を開いた。
そこは――
現実とも幻ともつかない、光と影が混ざり合う空間。
「ここが……境界の内側……?」
耳元で、あの“声”が囁く。
――まもって
――つづけて
――いのちを
アキラは息を呑む。
「……あれは、レイさんの仲間……?」
TYPE Iのコアが脈動し、
境界の奥へと導くように光を放つ。
アキラは操縦桿を握りしめる。
「レイさん……俺、必ず戻ります。
だから――生きててください!」
TYPE Iが境界の深層へと進む。
---
◆ ブラックリム前線基地 ― レイの限界
敵の波は止まらない。
TYPE Aの装甲は限界に近づき、警告音が鳴り続ける。
ミオが叫ぶ。
「レイさん!!
機体がもう……!」
レイは血が滲むほど操縦桿を握りしめる。
「まだだ……まだ倒れん!!
アキラが戻るまで……俺は――」
その瞬間、基地の上空が裂けた。
境界の光が降り注ぎ、
巨大な影が姿を現す。
ミオが絶叫する。
「レイさん!!
新種の境界体……!!」
レイは息を呑む。
「……来いよ。
ここは通さない……絶対にだ!!」
---
次回予告
第五話「境界の巨影」
レイの前に立ちはだかる、境界本層から溢れ出た“巨影”。
TYPE Aは限界寸前。
その時――境界の奥で、アキラが“何か”を掴む。




