第一話 戻ってきた日常
「んじゃ、またな」
「もう行ってしまうんですか?」
アキラ・ミオ・レイは少し寂しそうにトリックスター達を見送る。
「ああ。“俺たち“は一つの戦場にはそんなにいられないからね。多忙ってのもあるけど、影響も大きすぎるのさ。“色々と“ね」
「・・・」
「ああ、そうだ、ミオさん」
「なんですか?」
「あまり気に病まない方がいいよ?」
「!?」
「え?なんの話?」
アキラはよくわかってないようだったが、
「・・・戦場ではそれぞれの役割がある。問題はなかった」
と、レイは声をかけるが、
「・・・今回、私は通信兵として、何もできなかった。それが歯痒くで・・・」
「・・・ミオ・・・」
アキラとレイは自身の機体を持っているため、自力で戦える。
だが、今回、通信兵としての出番がほとんどなかったミオがその点を気にしているのだ。
「レイも言ってるけど、問題はなかったと思うよ?それに、“戦果の一部“も上げたじゃないか」
「え?」
なんのことかわからずきょとんとするミオ。
「イグニスとアークのことだよ。この2機は君たち“3人“を守るためにこの力を得ることができ、事態が収束できた。これは立派な戦果と言えるんじゃないかなあ」
「・・・」
「ま、捉え方は人次第さ。今回納得できなかったなら、次頑張ればいいだけの話。じゃ、またね〜」
そう言ってトリックスターはてをひらひらと振りながら去っていく。
上空ではナニカ・ゲームチェンジャーがふわふわと浮かんでいた。
「・・・決めた」
「?何を?」
「私、もっと二人のサポートができるようになる」
「今のままでも十分だが・・・」
「私が納得できないの!!」
そう言ってズンズンと隊舎に戻っていくミオ。
「まあ、元気なのはいいことか」
「元気すぎるのも考えものだがな」
「ま、こうして未来のことを話せるくらいには余裕ができたってことか」
「ああ、そうだな・・・」
着任当初の絶望的な戦況を思えば、今の日常がいかにかけがえのないものかがわかるというもの。
そして、それを守るためには不断の努力が必要だということも。
「俺たちも負けてられないな」
「そうだな。イグニスとアーク。もっと彼らのことを知らなければならない。もう、ただの機体ではなく、仲間と言える存在だからな」
意思を持った機体。
そのさきに何があるのか。
「さて、今日も一日がんばりますか」




