第二話「境界の残響」
> 奪還された第17防衛拠点。
> 地上は瓦礫と霧に覆われていたが、地下だけは奇妙なほど“静か”だった。
> まるで、誰かが意図的に守ったかのように。
第二話「境界の残響」
アキラ・シンジョウはTYPE Aを降り、レイ・ハルカゼと共に
地下へ続くエレベーターシャフトを慎重に降りていく。
「……ここ、本当に破棄されたんですよね?」
アキラの問いに、レイは短く答える。
「“公式には”な。だが、俺は信じてない」
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◆ オペレーター室 ― ミオ・カザミ
ミオは複数の端末を同時に操作しながら、
奪還した拠点のデータベースへアクセスを試みていた。
「……おかしい。破棄ログがあるのに、データが残ってる。
しかも、アクセス権限が“上書き”されてる……?」
ノイズ混じりの通信が、アキラたちへ届く。
「二人とも気をつけて。誰かが撤退後に“触ってる”わ、この施設」
—
◆ 地下施設 ― 調査開始
レイは懐中ライトを構え、薄暗い廊下を進む。
壁には焦げ跡も破壊痕もない。
まるで昨日まで稼働していたかのような清潔さ。
「……やっぱりだ。破棄したにしては綺麗すぎる」
アキラは、廊下の奥にある隔壁の前で足を止めた。
「レイさん……これ、開けます?」
レイは一瞬だけ迷い、そして頷く。
「開ける。だが、絶対に俺の後ろを歩け」
隔壁が重々しい音を立てて開く。
—
◆ 隔壁の奥 ― “残されたもの”
そこは小型の研究室だった。
中央には、透明なカプセル状の装置が鎮座している。
アキラは息を呑む。
「……これ、境界干渉システムの……?」
ミオの声が割り込む。
「アキラ、それ以上近づかないで!
その装置、データ上は“破棄済み”になってる……
でも、稼働ログが……昨日まで続いてる……?」
レイの表情が険しくなる。
「誰かが……ここで“実験”を続けていたってことか」
アキラは装置の表面に手を伸ばしかけ、
その瞬間――
カツン……
研究室の奥で、何かが落ちた音が響いた。
アキラとレイは同時に振り返る。
「……誰か、いる?」
—
◆ オペレーター室 ― ミオの異変
ミオの端末に、突然大量のログが流れ込む。
「なにこれ……境界干渉データ……?
こんな密度、TYPE Aじゃ処理できない……!」
画面が一瞬ノイズに染まり、
ミオは思わずヘッドセットを押さえる。
「アキラ……レイ……聞こえる……?
施設内で“境界反応”が急上昇してる……!」
—
◆ 地下施設 ― 不穏な気配
レイはアキラを背に庇い、銃を構える。
「アキラ、退がれ。これは……ただの残骸じゃない」
アキラは、研究室の奥に揺らめく“影”を見た。
それは人の形をしているようで、
しかし輪郭が霧のように揺れていた。
「……境界の……残響?」
影が、こちらへ一歩踏み出す。
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> ブラックリムの地下で、
> 失われたはずの研究と、境界の“記憶”が目を覚ます。
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次回予告
第三話「試作機の亡霊」
レイが封印してきた過去。
そして、研究施設に残された“影”の正体とは――
境界は、ただの現象ではない。“意志”を持っている。




