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第一話「境界霧の向こうへ」

> ブラックリム第七境界区画。

> かつて都市だった場所は、今や瓦礫と霧に覆われた“境界の死地”。

> 崩れた高層ビルの影に、虚無因子の濃霧が蠢いている。

第一話「境界霧の向こうへ」


アキラ・シンジョウは、量産型11式-TYPE「A」のコックピットに座り、

ヘルメット越しに歪んだ地形を見下ろしていた。


「……ここが、俺たちの戦場か」


通信ノイズの中、ミオ・カザミの声が割り込む。


「アキラ、境界濃度が通常の3.7倍。TYPE Aじゃ限界ギリギリよ。無茶しないで」


「無茶は……しないさ。たぶん」


その背後で、レイ・ハルカゼの声が低く響く。


「前線はすでに三度崩壊してる。ここで踏みとどまれなければ、民間人の避難ラインも危うい。……俺たちが最後の壁だ」


アキラは息を呑み、操縦桿に手を添えた。


「じゃあ、壁になろう。壊れないやつに」



敵影が霧の中から現れる。

ABYSS HOWLER群体が、瓦礫の隙間から這い出してくる。


「接近!距離120!数……不明!」


ミオの声が焦る。


「待て!一人で突出するな!!くそ……間に合え!!」


レイの叫びが響くが、アキラはすでに機体を前へと踏み出していた。



TYPE Aの機体が、霧の中で閃光を放つ。

境界干渉システムが不安定に作動し、機体の輪郭が一瞬揺らぐ。


「……聞こえる。境界の“声”が」


アキラの瞳が、霧の奥に何かを捉える。



戦闘は熾烈を極めた。

だが、三人の連携とアキラの“感知”により、

敵の群体は撃退され、陣地の一部が“解放”される。



その夜、奪還した拠点の地下で、

レイは封印された研究施設の扉を見つめていた。


「……破棄されたはず、だったよな」


扉の奥から、微かに赤い光が漏れていた。



> こうして、ブラックリムでの“もう一つの戦争”が始まった。

> 誰も知らない場所で、誰も知らない英雄たちが、

> 世界の裏側を支えていた。




次回――第二話「境界の残響」

TYPE Aの限界、そして“残されたもの”との邂逅。

境界は、まだ何かを語ろうとしている。


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