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賣井坂花織視点

賣井坂花織は大学1年生。



私は入学式の日に一人の男と出会う。


その彼の名は山崎愛音。男性にしては長い髪と鋭い目つき、身長は180cmぐらいで体格はかなり良い方のがスーツの上からでも分かるほど。



入学式でもその鋭い目つきのこともあって、少し目立っていた。だがそれは良い目立ちというよりは悪目立ちに近いような感じだった。だからこそ、誰も彼には話し掛けられなかった。



だけど、私は話し掛けた。


イケメンだとは思ったけど、一目惚れをしたわけでもない。ただ気付いた時には声を掛けていた。





私は一晩を共にした。


彼は私に対して『愛している』や『好き』という言葉を囁いてくれた。その囁きに感情が籠っているように私は感じた。あの瞬間だけはしっかりと私のことを見て、私だけのために言ってくれた。



別に今まで付き合って来た男も私に対して『愛している』などの甘い言葉を言ってくれてはいた。でも、なぜかそれに対してときめいたりすることもなかった。


自分でもなんで心に響かないんだろうと不思議だった。

だから、行為に及んでいる時に自然と冷めてしまうことが多かった。そういうこともあってフラれることもあったし。

でも、なぜか彼の言葉は嬉しかった。言葉は何も変わらないのにその『愛している』や『好き』という言葉が私の心の中を支配していく。今までの男よりも私のことを愛してくれているわけでもないと思う。



一つだけ確かなことを言えば……あの夜は今までの人生で一番愛を感じられた。

それがとても心地よかったんだ。


だからなのか、私は愛音くんの部屋に住みたいなんて言ったんだ。常識的に考えれば昨日会ったばかりの家に住みたいっていう女はおかしい。

いや、これは男女でもおかしいし、特に男だったらもっとやばいかも。



別に私は愛音くんをそこまで信用しているわけではないと思う。だって愛音くんのことを少しは知っていても、そこまで知らない。付き合いだってもちろん昨日からだし。知っているのは体の相性は良い方だとは思うし、お料理が上手いことぐらい。



それなのに一緒に住みたいということを言葉に出したのは……ただ家に帰りたくなかったから。帰ってもアパートに一人暮らしだし、掃除とかを含めて色々しないといけない。


それにあの場所はあの人が決めた場所。私の意思があったわけじゃない。こんなの遅い反抗期とも言えないようなただの我儘。だけど帰らないで済むのであれば帰りたくないという気持ちがある。






断られる可能性もそれなりにあると思っていたけど、結果的には承諾してくれた。承諾してくれたら良いなぁ~ぐらいの気持ちはあった。それでも断られる可能性の方が全然高いと思ってたし、肯定的な返事をしてくれた時に少し驚いてしまった。




何よりお金も入れなくていいと言ってくれたり、掃除を手伝ってくれればいいなんて愛音くんは何を考えているんだろうか。私の体を要求するぐらいのことをするかと思っていたんだけど。




これからの生活がどんな風になるのかは分からないけど、少し刺激的なものになる予感が私はしていた。

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