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300文字で、3つのとびら  作者: たかさば


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8/8

おそろしくてたまらない

……()()()は、人生をやり直すことになりました。


頑張ったのに、残念な結果になってしまいましたね。

気の毒なので、チャンスを差し上げようと思います。


あなたは怖いと思う気持ちを受け入れることができず、ここに来ました。


…3つの扉をご覧下さい。

扉の向こうに選ばなかった人生を用意していますよ。


扉:1

怖がりというレッテルを剥がすためにスプラッタ系彫刻を学ぶ

予想される寿命は86歳


扉:2

恐ろしくてたまらない雷の発生メカニズムをガッツリ学ぶ

予想される寿命は88歳


扉:3

恐怖心は体を鍛えることで克服できると信じて修行に励む

予想される寿命は52歳



さて、あなたは…どの扉を開きますか?




「さんざん怖がらせられたから、今度は…」

あなたは、1の扉を開きました。


小学二年の時、耳なし芳一の話を聞いて泣き出してしまったあなた。クラスメイト達がしつこくバカにしてくることに腹を立て、夏休みの宿題でリアル感たっぷりのゾンビの人形を作って提出したところ担任の先生から絶賛されました。


中学・高校と美術部に入部し、コツコツとフィギュアづくりの腕を磨いたところ、思いがけず大きな賞をもらい、注目を集めるようになりました。専門学校に通いながらスプラッタホラードール造形作家として活躍し始めたあなたのもとには、弟子入りを志願するものがたくさん訪ねてきました。


人付き合いが苦手なあなたは孤独にフィギュア作りに明け暮れていましたが、とある年の創作マーケットの会場で人懐こい青年のブースと隣り合い、意気投合しました。人と人をつなぐことに長けた青年はさりげなくあなたのサポートをし、人脈を広げたり企業との縁を結んでくれました。


青年は伴侶となり、あなたの創作を一番身近な場所で応援し続けました。三人の娘たちはいずれもスプラッタ系が好きな変わり者に育ちました。6人の孫たちの一人は怖がりに育ちました。


ひ孫が生まれるという話を聞いて、赤ちゃんどくろのフィギュアでも作ってプレゼントしようかなと思ったあなた。棚の上にあるクレイを取ろうとして手をのばした時、腰に激しい痛みが走りました。痛みに呻きながら倒れ込んだ時、右側頭部に作業机の角が当たって意識を失い、そのまま目を覚ますことなく天に召されました。


…いかがでしたか?


そうですか、たくさんの作品を生み出せたことに誇りを感じていらっしゃるのですね。

なるほど、今度は旦那さんのやりたいことを支えてあげたいと強く思うのですね。


願いが叶うと良いですね、お疲れさまでした!



~おまけ~

扉:2→小学生の頃から気象予報士を目指す→大学在学中に気象予報士になる→地元のお天気お姉さんとして人気を得る→地域のイベントに引っ張りだこ→PRの一環としてお化け屋敷に入ることに→怖すぎて失神→助けてくれた青年と恋に落ちる→家庭を持ち怖がりの娘のために強い母になる→怖がりの孫のために強い祖母であり続ける→自分の名前を忘れたころから怖がりに戻る→激しい雷雨の夜、恐怖でベッドから飛び降りてしまい打ち所が悪く昇天


扉:3→林間学校で肝試しをして失神→バカにする同級生を見返すため格闘技を習い始める→めきめき頭角を現す→幅広い分野で上位入賞を果たす→悪役女子プロレスラーとして活躍→あらゆる人に怖がられるようになる→怖がりの最強女としてお茶の間で人気が出る→ドッキリを仕掛けられ落とし穴に落ちる→大怪我→入院中に多くの人から励ましの声をもらい感動→復帰試合を翌日に控えた日の午後トラックにはねられそうになった子供をかばって他界

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