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はじまりの物語

どうも!!!!!!

はじめましての人ははじめまして!!!!!!

性懲りもなく人外ものかきだしました!!!!

 とおい昔、一匹の龍がおりました。

 

 その漆黒の龍はずっとずっと一人でした。その龍はずっとずっと山に引きこもってました。同じ種族はいても龍には家族というものがありませんでした。当然親というものも存在しませんでした。生まれてからずっとずっと一人だったのです。

 

 ですが生まれて幾ばくかの朝が来た頃、龍の住処に生き物が現れました。それは自らをヒトだと言いました。ヒトは言います。お前は一体ここで何をしているのかと。龍は言いました。何もしていないと。ただここで生まれここで無意味に時を過ごしていると。ヒトはその答えを嗤いました。なんて無意味なのかと。また、人は続けます。この山を自分のものにするから出て行ってくれないかと。

 龍は断りました。なぜ己が出ていかなくてはならないのかと。

 ヒトは言いました。ならばここで死ねと。

 ヒトは龍の鱗も通らぬなまくら(・・・・)とほんのちっぽけな魔法を龍に向けました。もちろん龍にとっては小さき生き物の力なぞとるに足らないものでした。ただただ龍は見ていました。ただただ、ヒトの成すことを見ていました。

 ヒトは恐れました。龍にとってはなまくら(・・・・)でも、ヒトにとっては凶器を振るったのに、目の前の龍には傷ひとつつけることができなかったのです。ヒトは逃げていきました。小さき生き物は逃げていきました。龍はただただ見ていました。


 また幾ばくかの夜が過ぎ去っていった後、ヒトが群れを成して山へと乗り込んできました。

 龍は問いました。一体ここになんのようで来たのかと。ヒトは答えました。覚えていないのか龍よ、私が今度こそ殺しに来たと。そのヒト曰く数年の月日を経て力を得たから殺しに来たのだと。

 龍は問いました。なぜ?と。ヒトは答えます。この山を自分のものにするのだと。そのためには龍が邪魔だというのです。

 龍は断りました。なぜ己が出ていかなくてはならないのかと。

 ヒトは言いました。ならばここで死ねと。

 ヒトの群れはやはりなまくら(・・・・)とちっぽけな魔法を龍に向けました。ただ龍は見ていました。ただ静かに見ていました。

 とはいえ龍も考えました。またこられては自分の居場所が騒がしくなるのではないかと。だから今回は逃げていく人間を殺しました。龍にとっては呼吸のような火を、ヒトにとっては災厄に思える炎をヒトに向けました。小さき命は簡単に散らすことができました。

 龍は思いました。これで静かになったと。


 今度は数えるほどしか満月が来てない頃でした。

 また小さき命が群れを成して龍の住処を訪れました。龍は問いました。一体ここになんのようで来たのかと。ヒトは答えました。お前によって失った命の弔いに来たと。そのヒト曰く数か月前にあった戦にて散った戦士には友がいたのだと。

 龍は言いました。それでお前たちは何がしたいのだと。その人はなまくら(・・・・)を構えて言いました。弔いのためにお前を倒そうと。

 龍は断りました。なぜ、住処を襲われた己が死なねばならないのかと。それでも人はなまくら(・・・・)とちっぽけな魔法を龍に向けました。ただ龍は見ていました。

 そうして龍は考えました。またちいさき命を散らして住処に押しかけられても困ると。だから逃げずに向かってくる小さき命を散らさないように吹き飛ばしました。

 そうして山は静かになりました。龍は満足してひと時の眠りにつきました。


 そうやって何度か訪れる定命の生き物をあしらっていくばくか経った頃、小さき命の中でも特に小さな――子供のようなヒトが現れた。

 龍は問いました。なぜこんなところに子供がいるのかと。

 俺は子供じゃない!立派な成人だぞ!とヒトは叫びました。そして「邪龍め!この勇者である俺が成敗してくれる!」と声高に言いました。

 なまくら(・・・・)の中でもなまくら(・・・・)な剣を振りかざしてその子供は龍へと向かっていきました。無論、龍の鱗に剣がとおるはずもなく子供は剣をはじかれて盛大にひっくり返りました。

 呆然とする子供に龍は言いました。そんななまくら(・・・・)では我の鱗に傷一つ負わせることはできない、と。さっさと家に帰れと続けて言うと子供は顔を真っ赤にして龍の住処を後にしました。


 一体あの子供はなんだったのだろうかと思い、眠りについて数度の満月が過ぎたころ。あの子供はまたやってきました。

 龍は問いました。ここになんのようだと。子供は答えました。「悪い龍を倒しに来た!」と。前回来たときより幾ばくか研がれたなまくら(・・・・)を振り回し子供は飽きもせず龍に向かって振り下ろしました。龍はただ見ていました。子供が諦めるまで見ていました。

 ところが、子供は自分の剣が龍には効かないとわかるとその場に黙り込んでしまいました。ただただ黙り込んで自分の剣を見ていました。

 龍は問います。一体何をしているのかと。子供は龍を見上げて言いました。これは勇者の剣なのになぜ龍には通じないのかと。

 龍はなまくら(・・・・)を眺めました。ただの平凡な剣にしかみえないそれは、確かに古の勇者と名乗った人間が持っていたものではありました。とはいえ、剣自体はただのなまくら(・・・・)でした。

 龍は素直に言います。それは勇者を名乗る人間が持っていた剣ではあるが、それ自体にはただのなまくら(・・・・)以上の価値は無いと。子供は呆然と帰っていきました。

 山は静かになりました。

 

 次に太陽が昇ったとき、子供は懲りずにやってきました。

 龍は問いました。一体何のようなのだと。子供は言います。自分に力を授けてほしいと。

 龍は呆れました。なぜ自分が力を授けなければならないのかと。それでも子供は言います。魔王を倒したいのだと。

 龍は仕方なく子供の話を聞きました。

 曰く、ここ数年突然魔王を名乗る魔族と人間族の間で戦が始まったのだという。子供の父親は戦にて散り、たった一人の母を守るために勇者の選抜を受けたのだと子供は言った。勇者の選抜は封印された勇者の剣を抜けるかどうかで勇者を選定する儀式だと続ける子供に、龍はただただ呆れました。

 勇者は剣が選ぶのではなく勇者足り得る者が偉業を為した際の称号に過ぎない。だが、まるで剣が勇者を選ぶことが本当のように語る子供に龍は問います。その選抜をしたのは一体だれなのかと。子供は何のことはなく答えます。

 「神がこの剣に加護を授けたから、教会が選抜を行うって言ってた」

 なるほどな、と龍は思います。あの創造主に神という種族として創造された傲慢な一族がやりそうなことだと。

 ちょっとだけ龍はおもしろくないと思いました。とはいえ、理を守るよう創造された龍族。簡単に定命の生き物に力を授けることは()()()()()によって禁じられている。でも、この子供に鱗の一つでもくれてやる分には問題ないか、と龍は考えました。

 力をくれてやることはできないが、鱗の一つや二つであれば持っていけと龍は言いました。そして自分の体から鱗をはがして子供に与えました。子供はしばし驚いたように鱗と龍を交互に見ていましたが、「ありがとう」と嬉しそうに帰っていきました。

 そしてまた山は静かになりました。


 次に龍が目を覚ましたのはそれから幾度の満月が訪れ、定命の生き物にしたら長い――しかし悠久を生きるものからすれば瞬きのような時間がたった頃でした。

 多くのヒトと、見覚えのある――しかし記憶からは大人びた――ヒトが龍の住む山に逃げ込むようにやってきました。人々はやってきて早々に龍を見て恐れおののき、恐怖に身を寄せ合うようにしていました。

 龍は問いました。一体何の用なのだと。すると見覚えのある(煩かった子供のような)ヒト――龍の鱗を身に纏った(鱗を授けた少年だった)ヒトが答えました。

「すまない、俺の力が足りなかったばかりにこんな事態になってしまった」

 記憶より大人びた声でヒトは言います。曰く、ここら一帯は魔王に占拠されてしまったのだと。何とか動ける人を連れて逃げてきたのだと。歯向かう人間を殺すために魔王がすぐ近くまで来ていると。

 その言葉に龍は山の周辺を探るように意識を向けました。なるほどたしかに、周りには魔物の気配が色濃くあり、その中でもひときわ大きな力が龍の住処に向かってきていることが分かりました。全く面倒ごとに巻き込まれたものだなと龍は呆れました。龍は人々を見渡します。女、子供が多く年を取ったものや男が極端に少ない。おそらく山を登りきれたのはかばわれたこの無力なものたちなのだろうと。

 とはいえ、龍は困りました。龍は理を守る古き一族。干渉も過ぎれば禁忌に触れてしまう。さてどうしたものかと龍は考えました。


 その時、まがまがしい気配をまとった一人の魔物が龍の住処に入ってきました。その者は姿かたちはとてもよくヒトに似ていました。

 魔物は龍を一目見ると、とても憎悪に満ちた表情をしました。そしてそのまま魔物はヒトを一瞥します。勇者と呼ばれた龍の鱗を持つヒトに魔物はその歩みを進めていきました。

「我が一族の悲願は今果たされん」

 魔物は剣を振りかざし、勇者に向かって切りかかりました。そのまがまがしい輝きは()()でした。それはヒトが持つ剣によって防がれる。かつてなまくら(・・・・)だった剣は今や見事な輝きを放つ()()へと変わっていました。そう、()()です。龍はいつものように見ていました。

 とはいえ、龍は困りました。ヒトと魔物が自分の寝床で暴れているから?――違います。大勢のヒトが住処に押し寄せてきたから?――違います。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ヒトは神が、魔物には邪神がそれぞれ介入していることが分かったからです。加護を授ける?力を貸す?そんなものじゃありません。この二人に介入したものはそれぞれ自分自身の大権をそのままヒトと魔物に与えてしまっているのでした。これは龍にとっては、創造主との約束(太古の誓約)に反するものだったのです。


 龍は仕方なく二人(ヒトと魔物)を止めました。

 龍は言います。定命の生き物が過ぎた大権を振りかざし、定めに逆らうのであれば太古の誓約にのっとって我らは全てを滅ぼそう。

 ヒトはぽかんとこちらを見ていました。ですが、魔物は龍を恨めし気に見ていました。


 「理の黒龍が……ッ!ただ見届けるだけの者に我が一族の悲願の邪魔はさせぬ!」

 魔物は突然魔剣を自分に突き立てました。すると――その体から邪悪な力があふれ出てきました。それは、邪神と言われたその人そのもののように感じました。一時的な顕現、あるいは降臨。龍は驚きました。創造主のルールを破る行為が目の前で行われているのですから。龍は慌てて自分の権能を使ってその行為を止めようとしました。しかし、邪神の方が一歩上手だったようです。龍は権能を発揮することができずに邪神の力にのまれてしまいました。ですが、そこで邪神の力と均衡する力が現れました。

 それは勇者が聖剣を体に突き立てて顕現した女神の力でした。

 邪神の()()の権能そして女神の持つ()の権能がぶつかり合い、均衡を保ち、そして――()()()()()()

 二つの相反する権能がぶつかり、この世界のルールを壊しかねないエネルギーの波は龍の権能によって止められました。安易に訪れた世界の崩壊の危機は過ぎ去りました。

 

 しかし、エネルギーそのものはなくなったわけではありません。そして厳密には龍の持つ権能もエネルギーを簡単に消滅させるようなものでもありません。

 そのため、エネルギーは龍と、近くにいたヒト、魔物を巻き込んで()()()()()のように固まりだしました。膨大なエネルギーを内包しながら、決して壊れない氷へ。

 龍はやってしまったなと思いました。もっとうまくする方法はあっただろうに。初めての違反者(理に触れたもの)に対して龍は焦ってしまったのかもしれません。まぁ、しばしの眠りにつけばエネルギーも枯渇し目覚めることができるだろうと思いました。

 目を閉じる寸前、自身も氷に飲まれながらこちらに手を伸ばすヒトが見えたが――どうせ次目を覚ますときにはいないだろうと思いました。

 山は、静かになりました。


 これが始まりの物語。本編が始まる前(大筋には関係のない、)の前日譚(でも大事な話)。創造の主だなんて言った、子供の作った世界に懸命に生きる者の話。

神秘的な感じに始めたかった

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